私と宇宙の周波数
誰にも聴こえない声を持つ女の子は人類の代表として舞台に立つ
全人類が固唾を飲んで見守り、そして大きく声を上げた。
その中心にいたのは、私だった。
私が生まれた時、私の泣き声を誰も聴けなかった。
人間にも動物にも声が聴き取れる周波数があるみたいだが、私の声はその周波数に合わなかった。
誰も私の声を聴き取ることが出来ない。
計測しても上手く測ることができず、私の声は宇宙人のようだと言われた。
子どもの頃はTVにも出て一躍有名になったが、人々の興味はすぐに移り変わり、今の私はただ声の周波数が合わないだけの女子高生だ。
私が喋っても誰も私の音を聴けないけど、みんなの言ってる事は分かるし何だかんだ楽しく過ごしている。
そんなある日、空に巨大な宇宙船が現れた。
人々はパニックになりつつも何とか宇宙人と交渉しようと思い立ち、国々がこの時ばかりは力を合わせ、この子だったら宇宙人と会話が出来るのではと白羽の矢が立ったのが私だった。
世界中の人間が私に注目する。
生中継のTVカメラやマイクが何台も設置されている台が宇宙船の真下にあった。
歴史的瞬間を一目見たいと人々も押し寄せ、私はまるで地球の命運を背負ったヒーローのようだった。
壇上に上がると何やら電波のような音が耳に流れて来る。
でもあんまり理解出来ない。
「私が話す言葉で話せますか?」
と私が聞くと、電波は日本語になった。
宇宙人の適応力凄い。
宇宙人の言ってる事が分かるのか押し掛けたインタビュアー達に聞かれたので頷く。
それだけで人々は大盛り上がりをした。
私は宇宙人から言われた事を紙に書いて見せる。
『こんにちは、初めまして。』
『あなた達を見付けられて、良かった。』
またそれで皆が盛り上がる。
歴史的瞬間だ!遂に宇宙人と接触した!
TVでは私の様子を国内外全チャンネルが生中継し、各国の大興奮した様子が伝わって来た。
そんな中また電波が私の耳に届く。
え?
私が宇宙船を見上げる。
目の前で盛り上がる人々を見つめながら、それを今みんなに言うのは何ていうか、気まずいな、と思う。
私は躊躇したけど、でも言わなきゃならないよな、と腹を括り紙に宇宙人からの言葉を書く。
人々が見守る中、私は紙を見せた。
『これから、この星を侵略します。』
全人類が固唾を飲んで見守り、そして大きく声を上げた。
その中心にいたのは、私だった。
但し、上げられた声は歓喜ではなく、恐怖と絶望の悲鳴だった。
〈終〉




