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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編ホラー

良くない夢|車の下

作者: 壱原 一

閉店後の商業施設から同行者と去ろうとしている。


同行者が乗用車の運転席へ乗り込みつつ、車の下に誰か居ないか確認してと言うので、助手席のドアに背を向けて車体の半ばの傍へ屈む。


地面に両手と右頬を付けて這いつくばり覗く。


車の下に人が居る。


車体前方に足を向け、地面に両手と左頬を付け俯せにへばり付いている。暇なレジで客を待っている店員のような表情で、ひたりと此方を見据えている。


車の下に人が居るって同行者に教えてあげなくちゃ。


思って、立ち上がる端から、エンジンが唸り、ブレーキが弛み、タイヤがじゃりっと向きを整え真っ直ぐ前へ発車する。


停まらずゆっくり進んで行く。


発車した後の地面に車の下の人は残っていない。


ざりざりざりと進んだ地面に斑の跡が遺っている。


繊維と組織が遺留して、刷毛で刷いた風に延びてゆく。


跡を目で辿り追い付いた車体後部と道の隙間から、ぞりぞりぞりと擦り減ってゆく車の下に居る人が、不安げに強張った表情で顔を煽り此方を見詰めている。


車は順調に遠ざかり、下の人も跡を遺し遠のいて、小さく細く消える寸前で右折して民家の車庫へ入る。


跡も右折して車庫へ入る。


停まった車から同行者は降りず、車を車庫から出して去り、代わりに車の下の人が、ずるずるずると家へ向かう。


商業施設も同行者も乗用車も下の人も跡も知らないが、1点、明白な事があり、起床後の家人に言わせると結構な奇声を発して両手足をばたつかせていたらしい。


あれは大切な人の家。


防げたかどうか覚えていない。



終.

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