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第51話 新人バイトちゃんたちと深夜のドライブ⑤

「あれ、あいつらどこ行った?」


 俺は気づいた。


 そういえば、さっきから玲緒奈と猫屋敷さんの姿が見えない。

 兎紗梨ではあるまいし、迷子にはなってないと思うが。


 今はそれよりもパンツだ。

 俺はパーキングエリア内に入って、パンツが売っていそうなお店を探す。

 深夜だけあって、ほとんどの店が閉まっているが、一部の店にはまだ明かりが灯っていた。流石は、トラックドライバーや夜行バスに乗っている運転手や乗客に需要がある深夜のサービスエリアである。

 そんなサービスエリアの館内で見つけたのは、コンビニエンスストアだ。こういう時に頼れるのは、やはりみんな大好きコンビニだろう。

 普段コンビニというものは、値段が高いしキャパも狭いし、スーパーやドラッグストアの下位互換だと思ってしまうが、利便性においては右に出る者はいない。流石は、コンビニエンスストア、直訳すると便利な店である。


 中に入ると、普通のコンビニの倍ほどあった。

 お土産が売っていて、お土産も兼用している店舗らしい。

 しかし、どこにあるんだよ。通常とは異なるコンビニの形態に加え、普段コンビニで下着なんて買わない分、少し探すのに手間取ってしまう。


 ようやく下着コーナーを見つける。

 よく見ると、Tシャツや、充電器、電池といった日用品も多く売っている。

 コンビニに行ったら弁当か飲み物かコンビニ限定のアニメグッズしか買わない、購入ラインナップ小学生の俺からすると目から鱗だ。

 その中には女性用の下着も売っていた。

レディース用ショーツ、多分これで合っているよな。当然女性ものの下着なんて買ったことない(買ったことあったら、逆に問題)から、確証は持てない。

 とにかく、誰かに見られると嫌なので、早く買って帰ろう。


 誰にも見られないように、盗人の如くスッと何食わぬ顔で素早くブツを手に取ると、そそくさとセルフレジに向かおう……とした、その矢先。


「何してんの、鷹雄くん?」


 聞き覚えのある声がした。

 後ろを振り返ると、そこには玲緒奈と猫屋敷さんが立っていた。


「あ……」


 人は何かやましいことがあると、「あ」しか言えないらしい。情けなさすぎるだろ。


「何を買おうとしているんですか?」


 猫屋敷さんが俺の手の中にある例のブツに鋭い視線を送る。どうやら隠し通すことはできないらしい。

 俺は観念して、買おうとしていたものを差し出した。


「うっそだろ、鷹雄くん。まさかそれを使って、しこ……」

「鳥越さん。確かに我々オタクというものは、エッチな作品が好きであり、そういったものに興味あるのは認めます。しかし、それはあくまで二次元で楽しむものであり、三次元で実践するのは間違っています。あと、普通に気持ち悪いです」

「ちょ……ちょちょちょ、誤解だ! 冤罪だ! 俺はただ、兎紗梨のパンツを買いに来ただけなんだ!」


「「は?」」


 ゴミを見るような目で俺を見る玲緒奈と猫屋敷さん。

 それはそれでご褒美で……って違う!


 俺は誤解を解くために、事情を玲緒奈と猫屋敷さんに話した。


「んだよ、そういうことかよ」

「紛らわしいですね。早くそれを私たちに伝えれば良かったのに」

「は~あ。伝わって良かった~」


 誤解も解け、清々しい気持ちでレジに向かう。


 と、冷静な気持ちになって改めて玲緒奈と猫屋敷さんの方に注目していると、彼女たちはカゴを持っていて、その中には色々入っているようだ。


「二人でなんか買いに来たのか?」

「それは後でお楽しみに。なあ、みゃお」

「はい。お楽しみにしてください」

「分かった。先に戻っているぞ」


 不安半分、楽しみ半分で、俺は会計を済ませ、一足先に車に戻る。

 兎紗梨が一人でいるし、ここに長居することはできない。

 というか、ノーパンの女子を一人、深夜のサービスエリアに停めてある車に放置しているって色々とヤバいからな。

 後ろを振り返ると、玲緒奈と猫屋敷さんが二人仲良く買い物している姿が目に入る。

 なんか、二人が普通に仲良くなっている姿を見ると嬉しくなるな。

 特に人見知りの猫屋敷さんが他の新人バイトの子に心開いているのが何より嬉しい。


「せーんぱい、待ちくたびれましたー」


 車に戻ると、兎紗梨が助手席にちょこんと座っていた。


「一応、買ってきたぞ。これでいいのか?」

「わー、可愛いパンツですね! せんぱいから貰ったパンツ、大切にします!」

「いや、あげてねえよ。しっかりパンツ分の代金は払ってもらうからな」

「はーい、分かってますよー」

「あと、ビニール袋に使用済みのパンツ入れておいて。直にポケットは汚いだろ。それに万が一、ポケットからポロリと落ちたら色々ヤバいだろ。……主に俺が」

「なるほど、有効活用ですね!」


 兎紗梨はルンルン気分で、パンツをビニール袋に突っ込んだ。どういう気持ちなんだ、それ。


「せんぱい? これからパンツ、履きますよ?」

「あ、そっか」


 完全に失念していた。これから俺の車にて、卯月兎紗梨の着衣ショーが行われるんだ。


「車、出た方がいいか?」

「嫌です。不安なんで、ここにいてください」


 どういう論理だ、それ。

 意味が分からないが、本人がそう言っているんだし、ここにいるしかないか。


「目を瞑っているから、その間に履いてくれ」

「別に開いていても良いですよ? 何なら、私のお着換えじっくり見ても良いですよ?」

「そんなこと出来るか!」


 だって、兎紗梨はこれからパンツを履くんだろ?

 つまり、兎紗梨の兎紗梨が丸見えってことだろ?

 そんなシーン、刺激が強すぎて見られるわけがないだろ!

 俺は目を瞑り、それだけでは不可抗力で見えてしまうかもしれないので手で顔を覆いかぶせ、二重ロックの厳戒態勢を敷く。


「せんぱい、今私丸見えですよ?」

「~~~~ッッッ⁉⁉」


 なんてこと言っているんだ、この淫乱小悪魔!


 俺のすぐ隣では花園が広がっているのか。いつもはありがたい、たくましい妄想力が、この時ばかりは憎い。

 兎紗梨のあんな姿やこんな姿が、脳内を駆け巡る。

 静かな車内に、布と肌がこすれる音が聞こえてくる。くっ、耳からも刺激するのか、抜け目なさすぎだろ。


 下腹部が熱暴走し始め、限界を迎えようとしたその時――。


「おーい、帰ったぜー。鍵、開けてくれー」

「お待たせしました」


 ベストなタイミングで、玲緒奈と猫屋敷さんが帰ってきた。

 あぶねえー、あと少し二人きりだったらおかしくなるところだった。

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