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第18話 ベテランアルバイター、久しぶりの休日

気づけば、お昼の十一時だった。昨晩は仕事に加え、新人バイト三人とラインでトークしていたせいで、すっかり疲労がたまっていたようだ。


 昨日の反省を踏まえ、忘れずにラインのチェックをしよう。

 三人から新しいメッセージは届いてないみたいだ。ホッとするような寂しいような……。

 とにかく、歓迎会の旨を獅戸さんと猫屋敷さんに伝えなければ。


《おはよう。皆の歓迎会をやろうと思っているんだけど、参加する?》


 同じメッセージを二人に同時に送った。

 すぐに、獅戸さんから返信が来た。


《れおたん☆:おっす。絶対行く! いつ?》


 食い気味で返ってきた。

 そういえば、獅戸さんが働いていた前の職場では毎月のように打ち上げがあったんだっけか。

 そりゃあ、食い気味で参加希望出すわな。


《来週の水曜日だね》

《れおたん☆:空けとく!》


 そうこうしていると、猫屋敷さんからもメッセージが届く。


《猫屋敷宮緒:おはようございます。お酒は飲めますか?》


 気になるところ、そこかよ!


 まあ、歓迎会といえば普通に考えれば居酒屋だろう。三人とも二十を超えているので問題ない。ちなみに俺はあまり飲めないが……。


《飲めるよ》

《猫屋敷宮緒:行きます!》

《了解。来週の水曜日だけど大丈夫?》

《猫屋敷宮緒:バイト以外やることないので大丈夫です》


 それはそれで大丈夫じゃないだろ。


 とにもかくにも、三人とも参加できるそうだ。

ちなみに、鹿島くんはこの定休日を利用して彼女と旅行に行くとのことで、不参加だそう。リア充爆発しろ!


 結局、新人歓迎会オンリーとなり、お店の手配をすることに。

 ……というか、歓迎会をやるのに適した居酒屋とか知らないんだけど。

 三十年弱生きてきて、打ち上げだとか居酒屋だとかに指を数えるほどしか行ったことがない人生経験の乏しさが、こんなところで響くとは。


 居酒屋……。

 ちょっと待てよ……。

 居酒屋といえば、いるではないか。その界隈に詳しいどころか、以前そのものに働いていた人材が。

そうと決まれば、話が早い。早速トーク画面を開く。


《獅戸さん。実は俺が幹事やることになったんだが、歓迎会に適した居酒屋知らない?》

《れおたん☆:よっ、幹事! だったらうちが前働いてたとこに来る? 元スタッフだし、割引とかしてくれるんじゃね? 知らんけど》

《俺は良いけど、獅戸さんは良いの?》

《れおたん☆:え? なんで?》

《いや、普通に気まずくないのかなって?》

《れおたん☆:おい。うちがバックレたとか思ってるの? 円満退社だから問題ねえよ》

《それならお願いしようかな。ちなみに場所は?》

《れおたん☆:七姫駅前の『肉華族』な》

《あー、肉が美味いと評判のあそこね。七姫駅前だと、皆が行きやすくていいね》

《れおたん☆:お! うちに来たことあるの?》

《行ったことはない》

《れおたん☆:来いよ~》

《来週の水曜日お邪魔するから》

《れおたん☆:んじゃ、前の店長に伝えておくわ》

《お願いします(手を合わせる絵文字)》


 獅戸さんの伝手で、とんとん拍子で会場が決まった。やっぱり持つべきものは、バイト仲間だな。


 何とかなりそうでひと段落ついた俺は、気分転換に寝転びながらラノベを読む。

 今日は久しぶりのオフだ。

 休みの日に寝転びながらラノベ読むのは至高である。異論は認めない。


 ☆

 

 俺は現在、車を走らせている

 休日といえばドライブだ。免許は十八歳に取ったものの、職場からの行き来しか使っていなかったが、インドアもアウトドアもできるハイブリッド陰キャになりたかったので、最近ようやく高速道路の乗り方を覚えドライブに力を入れているのである。

 といっても、腹が減ったので近場の飯屋に向かっているだけであるのだが。


 行きつけのラーメン屋でこの世で一番好きな食べ物である味噌ラーメンを啜り、腹を満たしたところで、公園に向かった。

 アラサーとは、何もしていないのに(何もしていないからこそ)腹が出てしまう生き物なのである。せめて公園でも行って散歩しないと、メタボリックシンドローム一直線である。


 俺が来た公園は職場の近くにある大きな公園で、野生の猫が生息しているのが特徴で、地元民のみならず、遠方から猫好きの人が来ることでも知られている。


 どこからか、にゃー、と癒される声を聴きながら公園の散歩道を練り歩く。

 どうせだったら、猫に直接触れて癒されたいな。ここ最近、新人の指導を立て続けにしていたせいで、疲労が溜まっている。


 猫の鳴き声に導かれて広場にやってくると、猫と戯れている若い女性の姿が目に入った。なんとも画になる光景であろうか。

 そんな優美な光景に魅入っていると……。

 俺はある違和感を覚えた。


 その猫と戯れる女性にどこか見覚えがあった。……それもめちゃくちゃ最近。


「猫屋敷……さん……?」


 おしとやかな系陰キャオタク女子こと、猫屋敷宮緒がいた。

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