15話 ライントーーク
家に帰り、風呂に入り、コンビニで買ってきた飯を食べ、寝支度を整える。
自室には本(ラノベや漫画)が本棚にギッシリ詰まっていて、作業机にはアニメを見る用のモニターが取り付けられていて、その横にはアニメのフィギュアが並んでいる。部屋の壁にはアニメのポスターが貼られている。
典型的なオタク部屋である。
「そういえば、猫屋敷さんがラインで布教活動するって言っていたな」
さっきの会話を思い出し、ラインを開く。……そういえば、ライン一週間くらい開いていなかったな。
ラインを一週間放置しても普通に生きていけるのは、友達ゼロの悲しき陰キャの証明だ。
……だが、思い返せば、この三日間、交換イベントが立て続けにあったな。
なんだか嫌な予感を覚えながら、トーク画面を開くと、その予感は的中した。
ものの見事に新人バイト三人からメッセージが届いていた。
猫屋敷さんからはたった今届いたみたいだから平気だけど、卯月さんと獅戸さんに関しては、昨日届いている。新人バイトのメッセージを一日放置とか終わったんだけど。もう指示聞いてくれないんじゃね? 何なら辞めちゃうんじゃね?
と絶望感に苛まれながら、一人一人メッセージを見ることに。
まずは一番放置していると思われる卯月さんから。
卯月さんとは、車で送った時に何度かやり取りをしたが、その後に未読のメッセージと未読のスタンプが送られていた。
《卯月兎紗梨:お疲れさまです。昨日はありがとうございました。お願い、考えました~?》
《卯月兎紗梨:(ぴょんぴょん嬉しそうに跳ねているウサギのスタンプ)》
このメッセージが送られたのは昨日の十時。卯月さんと仕事したのは一昨日だから、仕事した次の日の朝に送っていることになる。
一日半遅ればせながら、卯月さんに返信する。
《お疲れ様です。返信遅くなってごめん。ライン見ていなくて……。こちらこそ昨日はありがとう。卯月さんの接客、良かったよ。お願いは考え中かな》
卯月さんの返信を待っている間に、次は獅戸さんのトーク画面を開く。
この『れおたん☆』というユーザー名にしているのが獅戸さんだろう。ラインの名前をあだ名にしているあたり、あちら側の人間であるということがひしひしと伝わる。
《れおたん☆:おつ! 昨日は色々教えてくれて助かったぜ。あと、『たびっこ』の話、出来たから楽しかった》
獅戸さんからメッセージが送られていたのは、昨日の夜0時を回ったところ。仕事が終わって、彼氏とよろしくやっていた頃合いだろうか。
……いかんいかん、こんなキモい妄想を勝手にしてしまうところが童貞たるゆえんだ。しかし、妄想というのはいいものだ。いくら、どんな妄想をしようがタダなのだから。
そんなしょうもないことを考えている暇があったら、返信内容を考えるべきである。ということで、こちらも一日遅れで返信。
《お疲れ様。返信遅くなってごめん。獅戸さんは仕事慣れているみたいで助かったよ。『たびっこ』の話、またしよう》
そして返信を待っている間に、猫屋敷さんのトーク画面を開く。猫屋敷さんのメッセージはさっききたばっかりのようだ。
《猫屋敷宮緒:お疲れ様です。今日はありがとうございました。『ミナリア』の選りすぐりの画像、ご査収ください》
というメッセージの後、画像が連投されていた。ミナ×リアのカップリングが描かれた二次画が大量に送られている。中にはエッな際どい画像も含まれている。
なかなか返信に困る内容だが、既読スルーするわけにもいかないので、とりあえずメッセージを送る。
《お疲れ様です。今日はありがとう。猫屋敷さん、お店のこと詳しくて助かったよ。ミナリアの画像送ってくれてありがとう。というか、こんな二次画があるのか! 勉強になります!》
ふー、これで全員分のメッセージの返信を終えた。
というか、三人の女の子と同時にメッセージのやり取りをしているとか、どんなプレイボーイだよ。
しかし、中身は女の子とロクにやり取りをしたことのない弱者男性なので、俺のクソつまらないメッセージにいい加減愛想をつかすだろう。




