ダブルバインド
御早う御座います!書いてみました。よろしければ御読みになって上げて下さいまし。
「わからない事があったら、いつでも、何でも訊いてね」 水面に浮いているように見える睡蓮の花は、湖に満たされた水たちに向けて言いました。 水たちは、なんだか無性に嬉しくなって、睡蓮の花に向かって訊きました。普段から訊きたいことごあったのです。 「睡蓮さんは何故、いつもそんな風にぷかぷか浮いているような格好をして見せているのですか?そんな無理な咲き方して、疲れないのですか?」 素直な質問でした。 ところが、睡蓮の花は突然、怒り出してしまったのです。 「そんなことは、自分で考えなさい。その為に頭があるのでしょう?」 睡蓮の花は、顔を真っ赤にして怒ります。 湖の水たちには、お花が怒る理由がさっぱりわからず、湖面をぴちゃぴちゃ揺らしながら困り果ててしまいます。 睡蓮の花は言えなかったのです。 水面の上では自分はこんな綺麗な顔をしてみせているけれど、実は生きるのに本当に必要な根っこの部分は、汚らしい泥だらけの湖底の泥濘にいやしくも張り巡らされているのが恥ずかしくて堪らなかったのです。 一度、御近所の雄一君に興味本位で泥の中から掘り起こされて恥ずかしい思いをした経験があったから、それだけは訊かれたくなかったのです。
御読み頂きまして、誠に有難う御座いました!