表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の烙印  作者: アマカケ
1/1

プロローグ

 ーー見えてるものが全てじゃないーー


 こんな言葉をよく聞く、だけど僕の知ってるこの言葉は、だから全てのものに心を開いて接しましょうね、なんていう説教じみたものではない。


 ただ、自分と知らないところで自分の知らないことが起きているかもしれないってことだ。



 「おーい!一緒に帰ろうぜ!」


 後ろからでかい声で呼びかけられ、振り返るとそこには、もう高校生活が始まってから1年半は経つというのに、小学校の頃から変わらぬ太陽のような底抜けの笑顔で笑う腐れ縁の友達が立っていた。


 「あぁ、今いくよ陽向!」



 もう陽向とは、生まれた頃から一緒に居たと言っても過言じゃない。もともと家が隣で3ヶ月だけ先に生まれたあいつが少しだけ大きくて、小さい頃は兄貴面してたような気がする。今じゃ身長も追いつけ追い越せで、いつの間にか目線もおんなじくらいになってた。


 「いやぁ、今度のテストしんどくね…」


 「わかるわ…、急に難しくなりすぎなんだよな…」


 他愛もない会話を続けながらいつもの帰り道の河原を歩き、家の前で別れる。こんな当たり前の毎日が続いて行くことを俺は疑っていなかった。


 いつも通り、やっつけで課題をして、少しだけテストの勉強をしてみる。当然のように何もわからない俺は一縷の望みをかけて陽向にラインを送り、ベッドの上に携帯を放り投げる。


 いつもなら数分で着信音が鳴るはずの携帯は何も音を立てなかったがさりとて気に留めることもせず、気分転換に掃除でもするか、なんて思い立ち、足の踏み場という生存領域を広げて行った。小一時間片付けをしていた俺は、熱中してしまい、母さんが階下から呼ぶ声も聞こえていなかった。

 

 「龍紀!!何してるの!早く降りてきなさい!晩御飯よ!」


 「ぇ!わかった!母さん!今行く!!」


 階段を一段飛ばして駆け下りリビングに転がり込むと、鼻をくすぐるのはスパイスの効いたカレーの匂い。すでに席についている母さんに謝りながら滑り込むようにして食卓につく。


 「いただきます!」


 仕事をしながら、女手ひとつで自分たち兄妹を育ててくれている母さんには頭が上がらない。うちは妹が生まれた直後に親父が事故で死んじまったらしくて、そっからずっと一人で育ててくれている。陳腐な言葉になってしまうがすごい人だ。そういえば、


 「母さん、姫乃は?」


 「今日も部屋で食べるみたい。私たちは何も言わないのにねぇ…」


 2個下の妹は、多分、俺のことを蛇蝎の如く嫌っている。母さんとは顔を合わせているみたいだが、ここ半年くらい俺とは顔を合わせてくれない。いわゆる反抗期のようなものなのだろうとは思っているが、兄としては心苦しいものがある。


 そんなこんなで夕食を終えた俺は、日課のランニングに行き、風呂に入って汗を流し、疲れたと思いながらベッドに倒れ込む。こんな毎日がいつまでも続いていくと思っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ