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19/20

第十九話……造船所の破壊。そして地球へと~

「あっちは危ないニャ―」


「了解!」


 ニャーゴのことは道案内位に考えていたのだが、各種センサーを上回る彼の眼の良さが光った。

 宇宙の難所が多いコルセア星系において、これほど優位な存在は無かった。

 私の見えないものが彼には見えるのであった。



「敵発見! 中型艦三隻」


「……ぇ!?」


 ニャーゴは恐ろしいほど早く宇宙海賊船を見つけた。

 熱波や磁気嵐を突き抜ける感度、言わゆる超能力かもしれない。


「砲撃用意!」


「重力子砲発射!」


――ドドーン


 こちらの姿は相手に見えず、こちらは相手の様子が手に取るようにわかった。

 ニャーゴが海賊仲間に一目置かれる訳だった。


 此方の砲撃によって、敵方は次々に破壊され、三隻の敵は時間をおかず、こちらの降伏勧告を受領した。




□□□□□


「この寝返りネコめが!」


 降伏した宇宙海賊はニャーゴに罵詈雑言を浴びせる。

 だが、ここをサポートするのが良い雇い主というものだ。


「うるさいクマ! 文句があるなら宇宙船から放り出すクマ!」


 私は暴虐の限りを尽くしそうな野蛮なクマを演じる。


「……いえ、ご勘弁を……」


 そうすると大体はおとなしくなるものだ。

 だれもが進んで死にたいわけではない。


「……では、惑星ジャグシーに戻ろう!」


 こうしてレーム星系とコルセア星系を往復し、何度も宇宙海賊を拿捕。

 海賊はギルドへと引き渡たすことでお金を得、拿捕した海賊船のうち、気に入ったものはインテグラ号にくっつけた。

 その結果、インテグラ号は全長500mもの比較的大きな宇宙船になったのだった。


 私はコルセア星系の外縁にて、宇宙海賊に失血を強い続けた。

 ……が、ある日。

 地理に詳しい側の我々が遭難してしまう。

 それは見張り係として信用していたニャーゴの飲酒による泥酔が原因だった。

 彼は酒癖が悪かったのだ。




□□□□□


 インテグラ号はコルセア星系のどこかにある大きな小惑星に墜落。

 修理ロボットに急ぎ修理を命じるも、修理に24時間以上かかるとのことだった……。


「寒いポコね」


「ああ」


 暇なので、ポコリーヌと共に宇宙船から外に出る。

 墜落原因のニャーゴは、酒が抜けず宇宙船の中で寝ているのだ。


 上を見上げると暗い宇宙。

 下を見ると、無機質な岩盤であった。

 もちろん空気は無く、宇宙服が無ければ凍死するような環境だった。


 暫くあたりを歩くと、大きな岩盤の割れ目を見つけた。

 その割れ目を覗くと中には宇宙海賊たちがワラワラといたのだ。


「ここはなんだろう?」


「そうポコね。なんだかわからないけど、壊しておくとギルドからお金が貰えそうポコ!」


 それもそうだ。

 相手は法が定める悪党。

 やっつけるのに理由は要らないはずであった。


「見張っているから爆薬を持ってきてポコ」


「わかった!」


 私達はこの割れ目の下を爆薬で破壊することしたのだ。

 私はインテグラ号からモッサリと爆薬を運んでくる。


「導火線良しっと!」


「発破!」


――ドドドーン!



 離れたところから見るに、爆破は成功。

 内部で多数誘爆しているようであった。

 そうして船に戻ると……、


「……ニャ? ここは何処ニャ?」


 ニャーゴが起きてきた。

 航路図で位置を教えると、


「ここは宇宙海賊たちの造船所ニャ! え? 爆破したニャ!?」


 という頃には、インテグラ号は件の天体から離れており、艦砲にてさらに追い打ちをかける態勢であった。


「砲撃開始!」


『了解!』


 インテグラ号の砲撃後、更なる誘爆により件の造船所は大破。

 さらにミサイルを撃ち込み、二度と使えないまでに壊しておいた。


 これにより私のギルドカードはA級に昇進した。

 位置が確定した海賊のねぐらに、惑星政府からの討伐軍が出向いたが、その頃にはもうもぬけの殻で、私の手柄のたてる場所もなくなってしまっていたのであった。




□□□□□


「モフモフなクマがきた~」


「タヌキもいるぞ~」


 ここは工場跡にできたパナッチ氏の孤児院。

 うっかり顔をだしてもみくちゃにされる。

 タヌキは既に脱走中だ。


「……あ、デブ猫がいるぞ!」


「ニャン!? なにをするニャ?」


 ここへきて、孤児院の子供たちに免疫がないニャーゴは毛並みがボロボロになるまで子供たちに遊ばれた。


 ニャーゴがもみくちゃにされている頃。

 私はパナッチ医師からある標本の輸送を頼まれていた。


「次郎君。これが他所にバレるわけにはいかん。無事に地球まで届けてくれ」


 地球とは人類文明の中心地。

 そこに届ける標本は冷凍カプセルに入っていた。


「覗いてもいいですか?」


「ああ、君だけならな……」


 私は冷凍カプセルの覗き穴から中を見た。

 凍りつけにされているのは、例の異星人だった。

 もう半ば忘れかけていた奴だ……。


「惑星ジャグシーの政府としては、人類全体のまとめ役である地球政府に、この生物のことを任せたいようだ。まぁ厄介者を丸投げしたいということだな」


「……はぁ」


「次郎君は地球にいったことはあるかね?」


「ないです。航路図とかはありますかね?」


「それはあるんじゃが、まぁ、土産は忘れんでくれ」


「……ぇ!?」


「冗談じゃよ。航海の安全を祈る!」


「了解!」


 こうして、私とインテグラ号は、休むことなく地球へ出発した。

 人類発祥の地、地球。

 一度行ってみたいところでもあって、私のこころは昂っていたのであった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 地球キターーー!!!!(大歓喜)
[良い点] お、次なる舞台は地球ですか! どんな風になってるのか興味深いですねぇ♪
2023/04/09 13:22 退会済み
管理
[一言] 地球からみんな旅立ったんですよね。
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