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ついに入学の日が来てしまった。
アルヴィンお兄様の婚約者はあれだし、ヒューお兄様は地味に私に興味がないし、ローズお姉様は婚約者とイチャイチャしているので不安しかない。
ローズお姉様は幸せになって欲しいという気持ちしかないので別に良いのだけれど、兄がいるのに頼るの戸惑うってなかなかないんじゃないかなぁ。
あ、やっぱりアルお兄様は良いです…。自分の婚約者に集中してください。こっち来られた時のエメルダの眼差しの方が怖いので。エメルダとはさっさと縁切りたい。あの人、私のこといびってくるんだよなぁ。たしかにお兄様の婚約者だけれど今はまだ私の方が地位上なんですけど。
「フィーネ様っ!」
「セーラ様、ごきげんよう」
名前を呼ばれて振り返ると、元気に手を振って走ろうとして隣にいた青年に首根っこ掴まれた女の子がいた。それが友人だったのでご挨拶すると、私とその少女を見比べて青年は溜息を吐いた。
「セーラ、もう学院に通う年齢なんだよ。フィーネ嬢を見習ってもう少しお淑やかにしなよ?」
「もう!お兄様はすぐ意地悪を仰るのね!わたくしだってもう立派な淑女ですわ!!」
頬を膨らませてぷりぷり怒るセーラは可愛いけれど、おそらくケビン様が言ってるのそういうとこだと思う。
可愛いけど。
原作でヒロインの同室でお助けキャラクターのセーラは私の友人で攻略対象ケビン・ホーンス伯爵令息の妹だ。ヒロインに現在の攻略対象との親愛度やライバル令嬢に纏わる噂なんかを教えてくれる。おそらくだけれど、攻略対象という立場の兄と攻略対象の妹の私から色々聞いた結果をヒロインに教えていたんじゃないかなって。私の兄とか二人とも攻略対象だもの。
「アルたちは一緒に来ていないんだね」
「ええ、わたくしローズお姉様以外の姉兄とはそう仲が良くありませんしね」
「フィーネ嬢、意外とあっさりしてるよね……」
頬を掻きながら、「アル泣いちゃいそう」と呟いて首を傾げた。私と仲良くないくらいで泣かないよあの人ー。
「そもそもヒューお兄様なんてわたくしに興味ありませんしねぇ」
「ヒューくんも泣くな」
「ホーンス様は冗談がお得意ですのね」
ふふ、と扇で口元を隠して笑うとちょっとホーンス様がセーラを引き寄せていた。
「なんであんな誤解してるのさ」
「嫌味しか言えないまま遠巻きにする不器用なあの方達が悪ぅございますわ」
こそこそと二人で話しているので「置いていっても良くって?」と問いかけると「一緒に行きますわ!」とセーラが小走りでやってきた。
入学式に出て王太子殿下の顔見たら6歳くらいのお茶会でカエルを投げられた事を思い出してしまった。
すでにもうちょっと気分が悪くなってしまった。顔面に張り付いたカエルの感触とかちょっと思い出してしまった。
よく考えたら私あれのせいでお茶会苦手になったんだったな。しかも大爆笑しやがったのも思い出したぞ。ヤンチャで済ませてはならない。
そんなことを思いながらも淑女らしく笑みを絶やさなかった私えらい。