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ライバル令嬢の妹になりまして〜目が覚めたら推しの妹!?〜  作者: 雪菊


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夏休みの残りをミーシャさんのお家の事を知るために使う、とお兄様たちは行ってしまいました。

私はレティシア様も交えての王子妃教育で王城に行ったりしています。お父様の出勤に合わせて向かい、お父様の退勤に合わせて帰る。

そして、私のお父様を誘惑しようとする「うちのお父様既婚者ですが?は?」みたいな方をメモして帰り、お母様に報告もしている。お母様、とても良い笑顔で褒めてくださるのでとても嬉しい。



「道理で侍女がソコソコの量、入れ替わった訳だ」



引き攣った顔のクリスに「ああいうのは他の方にもやりますわよ」と言って、カップを置いた。



「他国の貴人への失礼とか、略奪とか庶子とか。そういう問題が増えるのも困りますでしょう?」


「本音は」


「お母様とわたくしたち以外の女性がお父様を振り回そうなんて、どういうおつもりかしら?」



許し難し。

にっこりと微笑んで見せると、クリスは苦笑しながら「君は本当にギルバードが好きだね」と言った。尊敬するお父様ですので。



王城のお庭で、そうやって二人で語らっていると「お兄様に近付かないでいただける!?」と本気で怒った声が聞こえた。



「何なのあなたたち。昨日の侍女と交代してちょうだい。あなた方のような仕事もできないくせに、男に媚びる女が王城の使用人なんて最悪だわ」



ごもっともである。

早速こうなったではありませんの、とクリスを見ると、「セレスティアのお二人に躾のなってない犬を放ったのは誰」と厳しい声で尋ねていた。そっと、男性の使用人が一人消えた。

仕事が早いといいな。国際問題はちょっと。



「そこの使用人。もういい。下がれ」



クリスの後ろについてアナスタシア様とアルス様がいるところへ向かう。今度はクリスにうるうるとした目を向けてくるその女性に「うわぁ」と思っていると、彼はにっこり微笑んで「沙汰は、追って下す」とパチンと指を鳴らした。近衛兵が彼女を引っ掴んで引きずっていく。



「我が国の者が失礼をした」


「全くですわ!!」



アナスタシア様、おこである。

そりゃあ、そうである。いくら我が国がそこそこ大きな国で魔法と妖精の研究を頑張っていても人間がクソとか国際問題必至である。



「あら、フィーネではないの。そういえば婚約したのですってね。おめでとう」


「ありがとう存じます」



礼を取ると、「もしわたくしたちが帰るまでに決まっていなければ攫って帰ろうと思っていましたのに。もったいないですわ」と恐ろしい事を言い出した。



「僕の婚約者を勝手に持っていこうとしないでください」


「妹はわがままなのだ。すまん」



さらりと全く申し訳ないと思っていなさそうな顔でアルス様が告げる。



「妹は人間の好き嫌いが激しい上に、兄愛ここに極まれりという厄介な性格なのでここにいる間に良い相手でも見つからないかと思っていたのだが」



思ったよりこの国が酷かった、という事だろうな。

少しだけ遠い目をしてしまった。



「国の人間も、アナスタシアに媚びるばかりで良い相手がいないからな」



セレスティア帝国は魔力至上主義国家である。リリアナお姉様は魔力がすごく強かったので、ジュードお義兄様との間を邪魔しようと思う人間がそもそもいなかった。

同様にアナスタシア様も非常に強い魔力をお持ちなのでそれに目をつけた人間がアプローチを仕掛けてきているらしいのだけれど、欲しいのはアナスタシア様という「魔力の強い胎」であるとのことだ。


価値観というのは国によって違う者ですけど、隣国も十分怖いなって思いました。



「けれど、我が国でも今婚約者の決まっていない、高位貴族で魔力が強く、比較的まともな性格の殿方はアルヴィンお兄様くらいでは?」



ケビン様は確かミーシャさんがヒュバードお兄様と婚約した次の週くらいに、私と同じクラスの伯爵令嬢と婚約が決まっていたし。レオお兄様は、性格が、あの……お姫様向きではないので。

そう言うと、アルス様に肩を掴まれた。



「アルヴィンが、嫁探しをしているのか?」


「あの、…釣書がたくさん届いておりますわ。ほとんど暖炉に焼べられていますけれど」


「ナーシャ、手配する」


「わたくし、お兄様が相手を決めるまでは婚約致しませんわ!」


「俺はローラを確保している」


「フィーネ。紹介をしてくださいまし!」



ローラという女性を確保していると聞いた瞬間にアナスタシア様の目の色が変わった。いや、隠しキャラとはいえ攻略対象、確保してる人居るの!?……皇子様だもんね!!



「フィー。アルヴィン、本当に婚約者選びをしているの?」


「しておりますが!」


「じゃあ…国的には悪い話ではないけれど」



お父様に話を通すと、「我が国も好物件は売約済みだからね。ちょうど良いかもしれない」と乗り気だった。

後日、婚約が決まって「わたくしのことはお義姉様と呼んでよろしくってよ!」と楽しそうに笑うアナスタシア様がいた。

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