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ふぅ、と汗を手で拭いながら良い笑顔を見せるレオお兄様。手にもっているのはアメジスト。紫色の美しい宝石には浄化の魔力が篭っている。

あれから何度か見せるように頼まれたのだけれど、結果的に自分でできるように色々調べたらしい。



「僕は研究が進み、君は勉強が進む。お互いに良い関係だよね」



そう言って兎を抱きしめているレオお兄様は癒し系に見える。いやまぁ黒幕系になる男ですが。

あっれぇ?と首を捻るものの、特に困ったことにはなっていないので良いかと思い直した。考え込んで良い方に転がることなんて私には少ないし。こんなのだからポンコツ公女とか言われるんだろうって思うけど、公爵家の令嬢をポンコツ扱いしてしかも私の耳まで届いてる時点でどっちがポンコツだよって思ったりもする。お母様に言ったら苦笑していた。



「ところで、受験勉強は進んでいるの?」

「もちろんですわ。お父様にみてもらったら一番上のクラスも見えてくるって言っていただけましたわ!」



どやとばかりに胸を張った。張る胸があるのか、という言葉が出ても黙殺する。

レオお兄様が教えてくれたおかげですっかり持ち直した。今までの家庭教師に言われたこともちょっと愚痴ったらなんだかすごく良い笑顔をしていたのだけれどあれはなんだったのかしら。



「そう!頑張ったのねぇ」



えらい、えらいと頭を撫でられてちょっと照れた。フィーネの人生では褒められたことが少なかったので余計に照れくさい。でも悪くない気分である。


そして、ふわりと微笑んだお母様に癒されていると、「それじゃあ、淑女教育の方も少しずつまたやっていきましょうね」と言われてしまった。


その言葉で、フィーネが本当に全部投げ出して我が儘を言っていたのを思い出した。そう、淑女教育なんて中級講座くらいで終わっている。言い訳をするならば、姉達も教わっていた家庭教師の夫人が私には合わなかった事と、私への当たりが異様に強かったことが悪いと思う。


そっと目を逸らした私だけれど、「フィーネ」と名前を呼ばれる。



「大丈夫よ。生徒の個性に合わせられないような半端者を呼んだりはしないわ。わたくしがじっくり教えてあげますからね?」



そう言うお母様に恐る恐る頷けば、翌日からビシバシ扱かれた。

気分は顔がくしゃくしゃになった某電気ネズミである。


初めはキツかったものの、日を重ねるに従って褒められるようになった。比例してできるようになってきた。

学院受験前には上級編まで一応クリアした。



「フィンは怒ると萎縮して余計にできなくなってしまうタイプの様ですわ」

「うん。それはローズ達につけた家庭教師では合わなかっただろうね」



両親にそんなことを言われているなんて知らずに私は意気揚々と受験会場でペンを動かしていた。

ちなみに二週間後に合格通知とSクラスになったというお知らせが来て両親はとっても喜んだし、春休みで帰ってきたお兄様達は通知を二度見していた。



「……よく頑張ったな」

「フィン、えらいわ」



アルヴィンお兄様は気不味そうに、ローズお姉様は満面の笑みで褒めてくれた。なお、ヒューお兄様はケーキを買ってきてくれた。

私だってやればできるのよ!って言いたいけど授業についていけるかがまだわからないし入学したら流石にレオお兄様につきっきりで勉強教えてもらうのは無理なのでSクラスに不安大きいです。助けて、お父様。

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