45話 王国騎士団武闘大会 ④
第4部隊隊長の風の使い手である疾風剣のフウタ。
第3部隊隊長の水の使い手である水流剣のスイ。
第2部隊隊長の氷の使い手である氷河剣のヒョウ。
これからは自分より格上の相手と勝負だ。そう思い試合に望んだが100点の溶岩真珠の威力は凄まじく、あっという間に試合は終わった。
彼らは決して弱いわけじゃない。赤の女王の息子のタマモが強すぎたんだ。何かイヤな胸騒ぎを覚えながら、決勝戦最後の相手で最強の男、総隊長のヤマツチと勝負に挑む。
決勝の舞台は最高潮の盛り上がりを見せていた。
決勝の舞台には様々な者達も観に来る。
国王、第一王子、第二王子。
王国魔導部隊四天王、赤の女王、青の錬金術師、白の聖女、黒の魔女。
王国獣王部隊二台巨頭、太陽の炎獅子、月の火熊。
しかし今回、白の聖女でもありこの国の王女でもあるマリアン王女は姿を見せていなかった。
最高潮の盛り上がりを見せる中、2人は決勝の舞台に足を踏み入れる。
「よくここまで上がってきたなサクヤ殿。ソナタは武器が強ければ強いほど、それを力に変えて強くなる。新たな力を携えた桜花剣見せてもらいましょう」
「お手柔らかにお願いします、総隊長」
試合は始まった。
まず動き出したのはサクヤ。
「桜花剣・乱れ桜」
真っ赤に燃え盛る桜花剣。サクヤは目にも止まらぬ速さでいくつもの斬撃を飛ばす。
しかしヤマツチはその斬撃の全てを剛剣で受け止める。
ヤマツチは反撃するように剛剣で横一文字に薙ぎ払う。
その威力は風を斬り裂き、ソニックブームが巻き起こる。
サクヤは冷静に桜花剣の炎でかき消した。
「手合わせはこの程度で良かろう。本気でかかってこい、サクヤ殿」
フッとひと息をついてサクヤは本気の桜花剣を披露する。
たちまち辺りは蒸し風呂かのように熱気に包まれていく。
「いきます。・・・桜花剣・桜雨桜流し」
真っ赤に燃え盛る桜の炎は桜を洗い流す雨のごとく、ヤマツチに降り注ぐ。
ヤマツチは剛剣で振り払うが圧倒的な桜の炎の雨は徐々にヤマツチにダメージを与えていく。
しかしただやられているだけのヤマツチではなかった。
「ならばこちらも」
シンプルが故に最強の剛剣。ヤマツチは一瞬で距離を詰めて上段からの振り下ろしで一気に勝負にかかる。
一撃、一撃が必殺技。サクヤは徐々に追い込まれいく。そして誰もがサクヤの負けを確信していく。総隊長のヤマツチの実力はそれほどまでにかけ離れた強さを見せていた。
しかしただやられてるサクヤではなかった。
「これで勝てなければワタシの負けです。桜花剣・奥義・八重桜」
刹那の時間に放たれる八方位からの斬撃。
剛剣では受け止めきれず、もう倒れるのではないかと思うほどヤマツチはかなりのダメージを受けていた。
「ハッハッハッ」
高笑いをし始めるヤマツチ。
誰しもが勝負は決まったと思った。
「久しぶりに本気を出せる相手が出てきたな。心の剣聖以外でこの技を使うのは初めてだな」
ヤマツチが魔力を解放していく。
「剛剣・奥義・重力剣」
辺りには息も出来ないほどの重圧がのしかかる。
ヤマツチは無属性の剛剣の使い手だと誰もが思っていた。しかしその剛剣の真髄は土の使い手。
強重力となったサクヤはガードしようとするも手をほとんど動かす事は出来ずに剛剣の一閃で激しく吹き飛び、意識を失った。
「そこまで!!」
こうして王国騎士団武闘大会は終わりを見せた。




