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44話 王国騎士団武闘大会 ③

その後サクヤは順調に勝ち続け決勝に進出した。


決勝に残った者達はほとんど変わらぬメンバーだった。特に上位部隊の6名はここ何年も変わらず現隊長が決勝に来ていたが、今回は見慣れぬ顔がいる。


いつもいるはずの第6部隊隊長の炎剣のエンケンがいない。ワタシと同じ火の使い手でいつもライバルとして争っていた仲だ。コワモテの顔だが情に熱い人だったから騎士団の中でも人気のある人だ。


今回第6グループを勝ち上がってきたのは、王国魔導部隊の四天王、赤の女王の息子のタマモという者だ。

赤の女王は王国一の火の使い手。その息子も火の使い手だと聞いていたが、同じ火の使い手である炎剣のエンケンを倒したのであれば火の使い手としては炎剣のエンケンより実力は上だ。

いくら新しい溶岩真珠をもってしても勝てるのだろうか。そんな心を見透かされたかのようにタマモはこちらを向いて不敵な笑みを浮かべていた。



決勝は始まり、ワタシは下位部隊の隊長達を圧倒してかなりの余力を残して勝ち進んだ。


次の相手は未知数の相手、赤の女王の息子のタマモが相手だ。


決勝の試合会場で相対した時に気づいた。こいつはかなり出来るヤツだ。


「サクヤさん、はじめまして。同じ火の使い手としてよろしくお願いします」


「よろしく・・・若造といえ炎剣のエンケンを倒したのであれば遠慮なく行かせてもらうぞ」


「お手柔らかに」


試合が始まった。


100点の溶岩真珠は自分より上の相手に使おうと思っていたサクヤは75点の溶岩真珠を桜花剣に取り付けていた。それでもタマモをかなりの実力者として始めから魔力全開で行く。


「桜花剣」

刀身が赤く光り輝いていく。それはもうピンク色の桜花剣とは言えないほどに赤く光り輝く。


「ではこちらも・・・妖狐よ我に力を貸したまえ」

タマモの背中から真っ赤に燃え盛る9つの尻尾が見え始める。


「お主、テイマーの才能もあるのだな・・・」


タマモのそれぞれの尻尾からファイアというには大きな火の玉がサクヤに襲いかかってきた。


「桜花剣・シダレザクラ」

サクヤは9つの火の玉を柳のように受け流し、斬り裂いていく。


「次はこちらから行くぞ・・・桜花剣・桜星」

サクヤは五芒星、桜の形に斬りかかる。

だがタマモは9つの尻尾でがっちりと受け止める。


「これで本気ですか?」

不敵な笑みを浮かべるタマモ。


「ならば次はこれだ・・・桜花剣・乱れ桜」

サクヤは目にも止まらぬ速さでいくつもの斬撃を飛ばす。

しかしタマモはそれすらも受け止める。


「ハッハッハッ!騎士団最強の火の使い手はこの程度なんですね。ではこちらも本気を見せるとしましょう」

タマモの姿は妖狐の姿に変化していく。その圧倒的な魔力は観戦している者達ですら恐怖を覚えるほどの重圧な魔力だった。


(力を温存しておくのはここまでか・・・仕方ない。100点の溶岩真珠を使うとするか)

サクヤは胸に隠していた100点の溶岩真珠を桜花剣に取り付ける。


先程までの桜花剣とは比べ物にならないほどの真っ赤に燃え盛る桜花剣の熱量は観客達の方まで届くほどだった。


「まだ力を隠していたのですね。ではどちらが火の使い手として上か勝負です」





勝負は一瞬でケリがついた。

サクヤの一閃の熱量にタマモは身を焦がし、気を失って倒れ込んだ。


「そこまで!!」


100点の溶岩真珠でなければ確実に負けていたと実感したサクヤはさまざまな思いを胸に次の試合に向かった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 武器性能で戦況がコロコロ変わる様では、 武闘会としてはちょっと納得いかない様な・・・ 貧乏人は強くても優勝できないし、 弱くても最強の武器があればそこそこ勝ち進めるってことだよなw
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