39話 最弱の鍛治師 ⑦
僕達はクリスタルを採取出来る場所に来ていた。
「ここはマグマガエルの縄張りだけど、端っこの方だから探知魔法で警戒していれば安全な場所だからゆっくり採取出来る。探知に引っかかった場合、すぐにマグマ貝のところに戻れば安全だから安心して採取してね」
カガミは探知魔法を常時発動して警戒しながらも、まったりモードになっていた。
「それなら俺は少し休ませてもらうぜ」
疲れ果てていたレイドは横になり始める。
「オラは採取頑張るだぁ」
「アタシも手伝うよ」
「私も」
3人はクリスタルの採取を始めた。
「もう少し丁寧に・・・もう少し大胆に・・・もう少しダイナミックに・・・」
ムーアには様々な指示が飛び交うほどにクリスタル採取は難航を極めた。
そんな時、カガミはレイドの異変に気がついた。
「レイドさん、しっかりして」
「・・・」
レイドは脱水症状を起こし気を失っていた。
「回復魔法・ヒール」
「・・・」
レイドに反応はない。
「もっともっとだ。回復魔法・ヒール」
「・・・」
レイドに反応はない。
回復魔法を続けるが一向に目を覚ます気配は見られなかったが、レイドの顔色は徐々に回復していった。
「レイドくんの方はだいぶ良くなってきたようだな。だが安心はしていられない。早く戻るためにもこちらも採取を急ぐよ」
「わかっただぁ」
ムーアはアイの指示の元、徐々に採取出来るクリスタルの質は良くなってきていた。
そしてレイドが気絶していたため、採取されたクリスタルはアイテム収納される事なくあちこちに置かれていた。
「回復魔法・ヒール」
カガミはずっとレイドにヒールをかけていた時だった。
近くに落ちていたクリスタルが光り輝き、水色のクリスタルに変化していた。
「こ、これは・・・」
戸惑うカガミ。
「どうやらヒールの付加効果がついたみたいね。だけどヒールの付加効果なんて初めて見たわ。どういう事かしら・・・帰ったらオウルさんに聞いてないとね」
アイは素早く鑑定していた。
「ん・・・」
そんな出来事が起こっていたとはつゆ知らず、ようやく目を覚ましたレイド。
「良かった・・・」
ホッとした表情を見せるカガミ。
「どうやら少し寝ていたようだな・・・悪いな」
すっかり体調の良くなったレイドは起き上がり、辺りを見渡し始め、落ちていたクリスタルを拾い集めた。
元気になったレイドを見たカガミはホッと胸を撫で下ろし、再び辺りの警戒をしようと思い探知魔法を使った。
「あっ・・・」
カガミは言葉を失っていた。それはすぐそばまでマグマガエルが来ていた事に気づいてしまったからだった。




