36話 最弱の鍛治師 ④
僕達は火山の町から少し離れた森の中にきていた。
「おいおい、こんなところに本当に付加効果をつけてくれる人なんているのかよ」
「彼女、オウルさんは人嫌いなのよ。それに付加効果をつけてくれる人達は基本的にテイマーの人だから相棒の事を考えると森とか自然の中の方が過ごしやすいの」
「そういう事か」
納得したレイド。そうこうしていると森の中から急に古くて立派なお店が現れた。
コン、コンとドアをノックするアイ。
「どうぞ」
中から声が聞こえてきた。
そっとドアを開けたがギィーという音ともにドアの扉は開かれた。
「珍しいね、アンタが人を連れてくるなんて」
中にいたのはしわくちゃなおばあさんで隣には一羽のフクロウがいた。
「今日はこちらの大楯に付加効果を付けてもらいたくて来ました」
レイドは担いでいる大楯をオウルに見せた。
「これは・・・珍しい事に上級の鉄鉱石で作ってあるね。しかもアイが作ったとな・・・アンタは魔力1しかない。どういう事だい?」
カガミは自分の特別な力の事。そして自分に相棒が出来ない事も伝えた。
「カガミも大変だったろう。もともとテイマーの数は少ないからね。相談出来る人もいなかったんだろう」
「はい」
「テイマーは相棒の魔力を10倍にする能力を持っている。一見するとその能力がみんなに働いてるように見えるが、今までの歴史上そんな人物は誰もいない・・・イヤ、1人だけいたな」
「だ、誰ですか。その人は?」
必死に食らいつくカガミ。
「初代国王様の仲間のテイマーじゃ。彼は龍を相棒に持っていたという。そのテイマーは仲間達の魔力を上げる力も持っていたという伝説が残っておる。」
「それじゃあ僕も龍を相棒に・・・」
「それはわからん。龍を相棒に出来たヤタの一族はもう滅んでおる。龍の被害にあうたびにヤタの一族は災いをもたらすモノとして人々から恐れられて迫害されてきた過去がある」
「そ、そんな・・・」
「昔々のもう過去の話じゃ。そろそろ本題の話に戻すとするよ。付加効果を付けるのにはクリスタルが必要なんじゃが普通の鉄鉱石なら誰でも採取できるクズクリスタルでいいのだか、上級の鉄鉱石で作った大楯にクズクリスタルを使うのはもったいない。かと言って銀鉱石用のクリスタルを使うとなればカネスキーが喜ぶくらいのお金がかかる事になる。それはイヤだからな。ちょうどいい具合のクリスタルがあればいいんだが、そのちょうどいいクリスタルは今手元にないんじゃ」
「えっ・・・じゃあどうしたら・・・」
「アンタ達が火山に行ってクリスタルを採取してきてくれたら、普通の鉄鉱石の値段でやってやろう。それに火山に行けば天然のマグマ貝がいるからのう。カネスキーが育ててる養殖のマグマ貝よりはるかに質のいい溶岩真珠も手に入るんじゃないのかい?」
「それはたしかにそうですけど・・・」
「アンタ達5人の力を合わせれば大丈夫じゃよ。自分で採取した溶岩真珠にはアイの想念が宿る。父親のサクヤにはそういった武器を使って欲しいんじゃないのかい」
「・・・はい」
「なら決まりじゃ。アンタ達もアイの事を頼んだよ。アイの目は特別な力を持っている。魔力は1しかないが必ず役に立つよ。よろしく頼んだよ」
「「「「はいっ!」」」」
僕達は火山に向かう事となった。




