35話 最弱の鍛治師 ③
僕達は離れにある廃炉寸前の鍛冶場に来ていた。
「おいおい、こんなところで本当に大丈夫か?」
「アタシだけなら出来なかったかもしれない。でもみんなの特別な力があれば余裕だ。安心してくれ」
「そこまで言うならさっそく取り掛かろうぜ」
「「「「オッーー」」」」
こうしてカガミ達は大楯を作り始めた。
「廃炉寸前だけあって火力は安定しないので、タマミくんはファイアで火力補助をお願いします」
「はい」
「レイドくんは一緒に槌を打ってもらうからね」
「素人の俺が手伝ってもいいのかよ?」
「自分の大楯だろ。自分で打つ事によって自分の思い、想念が大楯に宿る。原料の上級の鉄鉱石にだって君達の想念、いわゆる魔力の残り香があるのもとてもいい事なんだ。その想念は大事な場面で君に力を与えてくれる」
「そういう事なら頑張るぜ」
アイは火力の安定した炉に上級の鉄鉱石を入れ、ドロドロになった鉄が出てきた。
「これを一度型にいれてブロックを作る。冷めて形になったのをインゴットと言う。そしてここからが鍛治の本番だ」
「はい」
鉄のインゴットが出来上がった。
「これを熱して槌で打って、薄く伸ばして折って層を作っていく。普通の鉄鉱石では盾の型に鉄を流し込むだけだから層は1層。この層を何層作るかによって魔力の使用量が決まる。アタシは魔力1だから1層しか出来なかったが、今はカガミの特別な力のおかげで10層まで出来る。普通の銀鉱石で20層だからこの大楯は銀鉱石で作る盾より半分の防御力を持つ事になる。これはすごいモノが出来そうだ。レイドくん、行くぞ!!」
「はい」
打って伸ばして折ってを繰り返し、ついに10層のモノが出来上がった。
「あとはこれの形を整えて大楯の出来上がりだ。普通の鉄鉱石なら付加効果は低級の防御アップなどしか付ける事が出来ないが、この上級の鉄鉱石で作った大楯ならばもう少しいいモノを付けれると思う。詳しくは付加効果を付けてくれる人に聞かなければならないが」
「そんな事を言われたらちょっと期待するじゃねえかよ」
ニヤけるレイド。
「付加効果を付けてくれる人はかなりのお年を召してるが実力はかなりの実力だ。大楯の形を整えるからレイドくんにとってどういう形がいいのか教えてくれ」
「わかった」
こうしてレイドの大楯は完成した。
「これが俺の大楯・・・感無量だぜ」
「あとは大楯に魔力を流し込んで魔力誓約を行えば、自分だけの盾になる。魔力誓約を行えば他人が扱っても真の力は発揮されないようになっている」
「わかった。大楯よ、俺に力を貸してくれ。魔力誓約」
大楯は光り輝き、レイドのモノとなった。
「よし、これで大楯は出来上がった。次は付加効果を付けてもらいにいくぞ」
こうして僕達は付加効果をつけてくれる人のところに向かっていった。




