31話 最弱の錬金術師 ⑫
カガミ達は中級の解毒ポーションを持ってギルドに来ていた。
「待たせたな。なんとか中級の解毒ポーションを作る事ができた。みんなに飲ませてやってくれ」
ミズキは受付嬢に中級の解毒ポーションを渡した。
「では私は第3王子を助けてくる。急がないと手遅れになってしまう。後は頼んだぞ」
そう言った途端、寒気が漂うくらいミズキの雰囲気が変わった。
「雷魔法・シュンライ」
ミズキは雷を身にまとい一瞬にしていなくなった。
「すげぇだぁ!!オラこんなにすげぇと思ったのは心の剣聖のファントムオーラ以来だぁ・・・すげぇだぁ・・・」
ムーアは小さな声でつぶやいて、心の底から驚いていた。そんな時だった。
バチッ!
「イタッ!静電気かぁ・・・オラびっくりしただぁ」
何かの拍子にどこかに触れてしまい静電気が起きたようだった。
「すみません、解毒ポーションをみんなに飲ませるのを手伝ってもらえないでしょうか?」
あっという間にいなくなったミズキの事に呆気に取られて動けないでいたカガミ達とは対照的に1人慌ただしく受付嬢は毒で倒れた者達の看護をしていた。
〜〜〜
「だいぶみなさん回復してきて容体も安定してきましたね」
「間に合ってよかったです。後はミズキさんの方がどうなっているのかが心配です」
受付嬢とカガミが話をしていた時にギルドの扉が開かれた。
そしてミズキの背中には意識を失った第3王子がいた。
「一足遅かったようだ・・・死んではいないが意識が戻る事は難しいと思う・・・それこそエリクサーでもない限りは無理だと思う」
「生きてさえいればどんなケガや病気でもあっという間に治るという伝説のポーション・エリクサー。初代国王・イザナのみ作る事が出来たと言われる幻のポーション」
「ないものねだりをしても仕方ない。とりあえず今は王国騎士団達に毒の後遺症はないみたいで一安心だ。私は今回の事案を報告するために王都ギルドに一度戻るにする」
そう言うとミズキはギルドを出ていった。
「フッー、今回はさすがに疲れたな。・・・そして毒のスケルトンは魔王石を持っていた。それも王室管理室の魔王石を・・・イヤな予感しかしないな・・・・・急いで戻るとするか。雷魔法・シュンライ」
ミズキは雷を身にまとい一瞬にしていなくなった。
「バタバタしたけど、僕達も一度王都に戻る事にしよう」
「そうだな」
「そうだね」
「オラ、早く憧れの王都に行きてーだぁ。ワクワクするだぁー」
こうしてカガミ達は鉱山の町をあとにした。




