3話 最弱の三人 ③
「おかしい、どうなっているんだ。このままだとまずい事になるかもしれない」
俺の名前はレイド、王都のギルドに所属し、剣の紋章を掲げる騎士だけど、アタックスキルがない最弱の騎士だ。
「ぶつぶつ独り言言ってないで今日中にギルドの会費払ってくださいね。今日払えなかったらギルドを脱退してもらいますからね」
ギルドの受付のお姉さんはゴミを見る目で見ていた。
「今日中にスライム討伐の依頼を終わらせるようにするから待っててくれ。それでギルドの会費は払えるからさ」
「なんでもいいから早く払えよ!・・・払ってくださいね」
お姉さんはイライラ全開だ。
「わかった、すぐ下水道に行ってスライム退治してくるから待っててくれ」
俺は慌ててギルドを飛び出し、下水道に向かった。
〜〜〜
下水道の中
「ここ1か月、急にスライムの数が少なくなったんだよな。全然スライムが見当たらないから討伐依頼も達成する事が出来やしねぇ」
〜〜〜
1時間後
「やばい・・・今日は1匹も見当たらないぞ・・・何がどうなっているんだ」
〜〜〜
5時間後
「これだけ探して3匹しか倒せなかった・・・ただでさえアタックスキルがなくてスライム1匹倒すのに時間がかかるっていうのによ・・・さすがにこのままだとギルドを脱退させられるからもう少し粘ってみるしかないな」
〜〜〜
8時間後
「ようやく依頼達成分のスライムを退治出来たぞ、後はこのスライムの魔石を持っていって終わりだ。だけど急がないとギルドが閉まってしまう」
俺は急いで下水道から出てギルドに向かった。
「遅くなってすまない。依頼は達成してきたからこれでギルドの会費を払うぞ」
受付のお姉さんはイライラした表情を浮かべていた。
「もう受付時間は終了しました。ギルドを脱退してもらいます」
「まだギリ大丈夫な時間だろ。早く精算してくれよ」
受付のお姉さんはフッーと一息ため息をついて話をし出した。
「レイドさんには残念なお知らせなんだけど、今後スライム討伐の依頼は出ない事になったの。だから今日の依頼達成分のお金でギルドの会費を払ったところで来月の会費の支払いはできない事は明白なの」
「そ、そんな事急に言われても困るぞ!俺には幼い妹がいて俺が育てないといけないんだ!お願いだ!頼む!!」
「私に言われてももうどうする事もできないわよ。ギルドの会議で決まった事だしさ。スライム討伐するの今まではあんた1人だったからお金払ってたけど、今はあんた入れて3人に増えたから私達の負担が大きくなったんだよね。だから諦めてね」
「私達の負担って・・・」
「もともとスライム討伐はギルド職員の仕事だったのよ。でもあんたはスライムしか討伐できないから私達の仕事を変わりにやってもらっていたのよ。あんたに支払われていたお金は私達の福利厚生に使われるはずのお金から出ているのよ」
「そんなの知るわけないだろ!それよりさっき今は3人に増えたって言ってたよな?」
「相棒のいないテイマーとファイアしか使えない魔法使いが増えたのよ。っていうかもう仕事終わりの時間だから早く帰ってくれない?」
「ちょっと話を聞いてくれ。3人に増えたところで・・・」
話の途中で受付のお姉さんはレイドを蹴り飛ばし、ギルドから追い出した。
「早く帰れって言ってんだろうがボケっ!!」
ギルドを追い出された俺は仕方なく家に帰る事にした。
「スライムしか倒せないようなやつが3人集まったところで下水道のスライムはいなくなる量じゃないんだ・・・下水道で何が起こってるんだ・・・」