29話 最弱の錬金術師 ⑩
僕達は意識を失った王国騎士団の人達をギルドに運びこんだ時、ミズキが受付嬢に声をかけた。
「非常事態だ!みんな毒のスケルトンにやられた!!治すには中級の解毒ポーションが必要だ。この町には中級の解毒ポーションはあるか?」
「すみませんが、この町にはそんな高級なポーションありません」
「やはりそうか。ならばこの場で作るしかないな・・・この町の道具屋は中級の薬草から劣化させずに中級ポーションを作れる超優秀な錬金術師と聞く。中級の解毒ポーションは上級ポーションと毒草を合わせる事によって作れる。幸いな事に私は上級の薬草を持っている。薬草を劣化させずにポーションを作れる錬金術師なら中級の解毒ポーションは作れるはずだ。道具屋に急ぐぞ!!」
〜〜〜
「中級の解毒ポーションが欲しいだなんて、いきなりそんな事言われても無理です。お引き取り下さい」
声を荒げる道具屋の主人。
「この案件は王国絡みだぞ!!わかっているのか?!」
声を荒げるミズキ。
「無理なモノは無理です!今日はポーションを作りすぎて魔力がありません。なのでお引き取り下さい」
こちらも負けじとさらに声を荒げる道具屋の主人。
「そうか・・・・・実はな、この道具屋には適正値段での薬草の買取を行なっていないという怪しい噂があってその事について調査する事になっていたのだ。この一週間薬草の仕入れもしていないし、ポーションを作っていないことは明白なんだが、作ったポーションを見せてくれないか?」
「・・・・・」
途端に無言になる道具屋の主人。
「魔力がないと言うのなら魔力回復ポーションも私は持っているぞ」
「・・・・・」
「どうした?」
「・・・・・すみません・・・・私では中級の解毒ポーションは作れません。そこにいるムーアの採取してきた上級の薬草から中級ポーションを作っていただけです・・・」
泣きながら謝る道具屋の主人。
「お前にはギルドから厳しい処分が待っているからな・・・覚悟しておけ!!」
「・・・はい」
そして道具屋の主人はギルドの職員に連れて行かれた。
〜〜〜
「場所はここを借りるとして、この中で中級の解毒ポーションを作れる可能性があるのは上級の薬草や上級の毒草を採取出来るムーアだな。どうする?」
ミズキは焚き付けるようにムーアを鼓舞する。
「やります。オラにやらせてくだせぇ!!」
その期待に応えようと必死になるムーア。
「よしっ!カガミとタマミ、君達の助けも必要だ!手を貸してくれ!」
「「わかりました」」
「では行くぞー!!」
「「「「オッーー!!」」」」
こうして最弱の錬金術師、初のポーション作りが始まった。
「あ、あの・・・俺は何をしたら・・・」
1人取り残されるレイドであった。




