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27話 最弱の錬金術師 ⑧

鉱石の採掘とスケルトンとの修行を始めて、1週間ほどたった頃だった。


「慣れてきたらあっという間にムーアさんも上級の鉄鉱石を取れるようになってきたね。レイドさんの対応力も素晴らしいです」


「俺を誰だと思ってるんだ!そんなの当たり前だろ」

そんな事を言うレイドだったが嬉しくて口元はニヤニヤしていた。


「探知魔法で確認すると、ここら辺の鉱石はだいぶ採取できたので、少し奥に行ってみようか」


「「「オッーー」」」


奥に行くと今まで採掘していた場所より大きな場所に出た。

「鉱石もたくさんあるけど、ここまで広いとスケルトンの対応も大変になると思うけどみんな大丈夫?」


「俺は問題ないぜ!」

「私も大丈夫です」


「・・・・・」

ムーアの返事がない。まるでしかばねのようだ。


「ムーアさん、どうかした?」


「オラ、やばいもの見つけただ。こんなところに毒草が生えているだ」


「毒草なんて毒沼に行けばたくさん生えているでしょ。何がヤバいの?」


「ここら辺には毒の瘴気はない。だけどここに毒草があるって事は、つまり毒のスキルや魔法を使えるスケルトンがここにいるって事だぁ」


「取り扱いの難しい毒のスキルや魔法を使える冒険者なんて上級者でもほとんどいないはず。もっと奥のミスリルの取れるところにいるならまだしも、こんなところにいるやつなんて知能も高い狡猾なスケルトンに違いないはず。一度ギルドに戻って報告した方がいいと思う」


「そうだな。ここは一度引き返そう!」


「ちょっと待ってくだせぇ。この毒草は採取していくだぁ。毒の成分がわかっていれば、錬金術師が解毒ポーションを作れるはずだぁ」

ムーアは丁寧に丁寧に採取して、上級の毒草を採取した。



出口に差し掛かったところで、見るからに上級ランクとわかる立派な鎧を身に纏った団体が現れた。


「あ、あの!低階層のところで毒草を見つけたので・・」


ドンっ!!


「雑魚はどけっ!!!」

僕は団体の中でも1番立派な鎧を身につけた人に激しく突き飛ばされた。

突き飛ばした人の鎧を見ると王家の紋章が刻まれていた。


「すまないな、我々は先を急ぐ」

そう声をかけた人の鎧には王国騎士団5番隊の紋章が刻まれていた。



「なんなんだよ、あいつら・・・王家の人間だからって何していいのかよ・・・」


「僕は大丈夫だから。でもあの人達に何もなければいいけど・・・」

そんな事がありながら僕達はギルドに戻ってきた。



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