24話 最弱の錬金術師 ⑤
僕達は再びギルドに戻ってきていた。
「あら、今度はどんなご用件かしら?」
「ムーアという冒険者の情報を知りたいんですけど、僕達みたいなフリーの冒険者に教えてもらう事はできないでしょうか?」
「すみませんが、ギルドの規約によりギルドの会員でない方にはお教えする事はできません」
その時近くにいた冒険者が僕達の方に近寄ってきた。
「ガッハッハッハッ!こいつらムーアの事を知りたいだってよ!!あんな冒険者にもなれなかったやつの何を知りたいっていうんだよ。ハッハッハッ!」
(やはり乗ってきた)
自分も最弱でイヤな思いをしてきたカガミは冒険者の特性をわかっていた。
「冒険者にもなれなかったってどういう事ですか?」
「あいつの何が気になるか知らないが教えてやるよ。お前達は冒険者養成所でいくらたっても魔力1から変わらず辞めさせられた伝説の話を聞いた事はあるか?」
「あっ!そういえばそんな話聞いた事あったような」
「ムーアがその伝説のやつさ!!まぁムーアのおかげで薬草採取なんて地味な仕事を俺らはやらなくて済んでいるから感謝はしてるぜ。ハッハッハッ!!」
「そんな伝説の人がこの町にいたんですね。情報ありがとうございます。これよかったらどうぞ」
カガミ達は1杯のお酒をご馳走してギルドを後にした。
「魔力1から変わらないって私達みたいね。まぁ私達は10あったからスライムを倒せるだけの魔力はあったけど、スライムも倒せないとなるとさすがに私達より苦労はしてるはずだよね・・・」
「とりあえずムーアさんと話したいから明日もう一度薬草の森に行ってみようよ。あの感じだと毎日薬草採取はしてるはず!」
「うん、そうだね」
〜〜〜
次の日、カガミ達は薬草を採取しているムーアのところに来ていた。
「こんにちは。ちょっとお邪魔してもいいかな?」
「オメエだぢと話す事は何もねぇ。帰ってくれ」
「ちょっとこれを見て欲しいんだ」
カガミは木の冒険者カードを取り出した。
「オメエだぢも木の冒険者カードだったんだな。でもそれがどうしたって言うのだ?」
自分と同じ木の冒険者カードを見せられた事によって少しムーアは心を開いたようだ。
「君なら僕達の事を理解できると思ってさ。僕達3人魔力10あるけど、君と同じようにいくらたっても魔力10から変わらないんだ」
「オラとおんなじだ・・・」
「もし良かったら僕達の仲間にならない?いや、君と一緒に冒険者の道を歩みたいんだ!!」
「スライムすら倒せないオラと冒険者の道を歩みたいなんてオメエだぢはどうかしてるだ!」
「1人で倒すのが無理でも僕達と一緒ならスライムも自分1人で倒せるよ」
「何を言ってるか意味がわがらねぇだ」
「じゃあちょっと一緒に着いてきて」
こうしてムーアの初めてのスライム退治は始まった。




