19話 ツチノコノコ ⑤
カガミ達はギルドの受付に向かうと見た事のない人に受付嬢が変わっていた。
「本日はどういったご用件でしょうか?」
「あれっ!ミズキさんから変わったんだ。今日は薬草の納品にきました。それと・・・多分新発見をしましたので確認をしてもらいたいと思いまして来ました」
そう言ってカガミは劣悪な薬草、普通の薬草、中級薬草、そして金薬草を取り出した。
「えっ、えっーーーーーー!!」
金薬草を見た受付嬢はギルド中に響き渡る声で叫んだ。
「どうかされましたか?」
奥の方から中年の男性が姿を表した。
「部長、この人達が金薬草を持ってきて、さらに新発見をしたかもって言ってます」
「また、あなた達ですか・・・そして金薬草を持ってきて新発見をしたと・・・それでは少しお話しを伺いたいので応接室までご案内しますので付いてきて下さい。調査部の人を呼んできますので少しお待ちください」
こうしてカガミ達は応接室に案内され、少しの時間待つ事になった。
〜〜〜
応接室に入り30分ほど立った頃にようやく応接室の扉が開いた。
「お待たせして申し訳ありません」
そこに現れたのは調査部部長のミカヅチと元受付嬢のミズキだった。
「さっそくですが、こちらでも金薬草の確認いたしました。魔力の残り香から採取した人がツチノコノコだとわかりました。偽装の痕跡も見当たりませんでした。だけどツチノコノコ絡みの案件は簡単には新発見登録出来ない事になっております」
「えっ!な、なんでですか?」
慌てるカガミ。
「ツチノコノコは幻のツチノコノコとも言われ、懸賞金もかけらています。そのためツチノコノコ関連のモノは偽物も多く出回っております。本物のツチノコノコを捕まえてこない限りツチノコノコ関連のモノはギルド公認の新発見にはならない事になっております。ご不満かもしれませんがご理解ください」
「そ、そんなぁーー」
落ち込むカガミ。
「新発見登録はできないとしても金薬草の買取はしてもらえるんだろう?金薬草の持ち込みなんてないに等しいと思うんだがいくらになる?」
レイドはお金の話を始める。
「そうですね・・・金薬草自体この国で採取できる人はギルドマスターと国王様くらいですからね。それにこの金薬草は採取した人がツチノコノコになっている以上、表に出せない品物になってますからね。そもそも金薬草は真面目なギルドマスターですら金薬草の採取は出来る事ならしたくないめんどくさい仕事と言うくらい希少性のあるモノです」
「あのギルドマスターでもめんどくさいって言うんですね。驚きです!!」
「余計な事を言ってしまいましたね。これはご内密にお願いします。フフフ」
「みなさんをお待たせしたのはギルドマスターと買取価格について話し合いをしていたからです」
「それでいくらになる?」
妹のためにと思っているレイドは必死になる。
「ギルドマスターがお金なら言い値で個人的に買取すると言っていますので、いくらでも好きな値段をどうぞ」
「「「えっーーー!!!」」」
3人は思いもよらない提案に驚きを隠せずにいた。
しばらくの間それぞれいくらにするか話し合いをしたが、高すぎる安すぎると話はまとまる事なく平行線が続いていた。
そんな時レイドが話を切り出した。
「なあ、お金じゃなくてもいいかな?」
「「???」」
カガミとタマミは不思議そうにレイドを見つめた。
「俺には幼い妹がいるんだけど、いくらお金があっても今のこの世の中だと安心とはいえない。出来る事なら妹を王立学校に入学させたいと思ってる。でも王立学校にはお金を積めば入れるっていうわけじゃない」
「たしかにそうですね。そして王立学校に入れた人は特別な訓練を受けるのでどんな人でも安泰が約束される」
ミカヅチが相槌を打つ。
「だから王立学校に入学させる事はできないか!!」
必死に頼み込むレイド。
「それくらいなら大丈夫だと思います。残りのお2人はどうしますか?」
「私はレイドと同じでいいよ。」
「僕も同じでいいです。」
「お2人共、欲がないのですね。お金があれば冒険者なんて危ない仕事をやらなくていいようになるんですよ」
「僕達はようやく冒険者として一歩踏み出したところです。お金は自分達の実力でこれから稼ぐだけです。それに冒険者をやっているのは人を救いたいからです」
「そうですか・・・あなた達の決意はわかりました。ギルドマスターにお話を通しおきます。本日はありがとうごした」
こうして僕達はギルドを後にした。