15話 ツチノコノコ
カガミ達3人は王都近くにある薬草の森に来ていた。
「レイドさん、今日はなんで薬草の森に連れて来たんですか?」
「カガミはここで薬草採取した事はあるか?」
「もちろんありますよ。スライム退治だけだとさすがに収入が厳しいですからね」
「じゃあここで幻のツチノコノコを見た事はあるか?」
「たまに目撃される事はあっても誰も捕まえた事のないとされるあの幻の亀、ツチノコノコですか?僕は見た事ないです」
「タマミは見た事あるか?」
「私はいつも見てますよ!近くまで寄ってくる事もありますしカワイイですよね」
タマミはルンルン気分で話し出す。
「実は俺もいつも見てるんだ!だからなんで幻って言われているのかいつも不思議に思っていたんだ!!だけど今日ではっきりわかったぜ!!!」
「な、何をわかったんですか?」
カガミはレイドに問いかける。
「カガミも含めて普通の冒険者は薬草採取する時、効率良く見つけるために探知魔法を使うって事だよ!俺とタマミは探知魔法使えないからツチノコノコは逃げないんだ。さすがに捕まえようとすれば逃げるんだけどな」
「そういう事かぁ」
「ならなぜ今このタイミングで来たのかと言うと、範囲拡大した状態で常時探知魔法をやったら捕まえられるかなって思ってさ」
「普通の探知魔法はその時のいる場所を確認するだけって感じだけど、タマミさんの魔力供給があれば常時魔法は可能だからね。誰も捕まえた事がないため多額の懸賞金がかかっている、やってみる価値あるかもね」
「そうと決まればさっそくやってみるか」
「「オッーー!!」」
こうして3人は幻のツチノコノコの捕獲をやり始めた。
まず始めにツチノコノコが寄ってくるように探知魔法を使わないで薬草の採取を行い始めた。
「薬草の採取って簡単そうに見えて意外と難しいんだよね」
この世界では薬草や鉱石など魔力あるモノはきちんと採取出来なければ、そのモノが持つ魔力が流出してしまい、品質が劣化してしまう。
「よし、普通の薬草を採取出来たぞ!」
カガミは順調に薬草を採取している。
薬草は魔力流出の程度によって品質が決まっている。
劣悪な薬草、普通の薬草、中級薬草、上級薬草、そして魔力流出ゼロの状態で取れる【金薬草】、その名の通り採取出来た時金色に光る事から名付けられた。
「俺ってやっぱり薬草採取下手くそなんだよな・・・劣悪な薬草しか取れねーよ」
「私はごく稀ですが中級薬草も取れますよ」
タマミはニヤニヤしている。
「でも本来なら騎士が1番薬草採取得意と言いますよね。騎士は内なる魔力を扱うのを得意とし、魔法使いは外なる魔力を扱うのを得意とし、テイマーは維持する魔力を扱うのを得意とする。騎士ならば薬草の内なる魔力を見出して採取出来るはずです。レイドさんも頑張りましょう」
3人は順調に採取を行い、やがてツチノコノコは姿を現し始めた。