13話 受付嬢ミズキ ③
突然のギルドマスターと調査部部長のミカヅチの登場にミズキをはじめカガミ達はみんな固まって動けないでいた。
「扉のところで立ったままでいないでどうぞお座り下さい」
ギルドマスターに促されてミズキとカガミ達は目の前の椅子に腰掛けた。
「はじまして、ギルドマスターをやっておりますタケルと申します。みなさんをお呼び立てて申し訳ありません。さっそくではありますが本題からいかせていただきます」
「ふぁ、ふぁい」
この国で知らない者はいないと言われるほどのギルドマスターと調査部部長のミカヅチを目の前にして、緊張のあまりカガミはおかしな声をあげていた。
「下水道にいた王室管理室の魔王石を持っていた魔王スライムですがどうやって倒したのでしょうか?普通であれば強力な一撃で倒すので魔王石は粉々に砕かれてしまうのですが・・・」
「えっーーとですね、一撃で倒すほどの威力ある魔法使えるわけじゃないのでファイアでじっくりコトコト火あぶりにして倒しました」
「面白い事言いますね、ファイア程度の魔法で倒すとなればSクラスの魔力がなければ、魔王スライムはずっと再生するはずですが・・・まあいいでしょう。あなた達はギルドに所属していないフリーの冒険者ですからね、手の内は明かさないという事でしょう」
「そ、そういうわけじゃないんですけど・・・」
カガミは包み隠さずに話したつもりだったがギルドマスターは誤解したまま話は続けられた。
「倒した経緯はどうであれここには魔王スライムから取れた魔王石がありますからね。で、ここからが問題なのですが下水道が王室管理室と繋がっているっていうのはギルド職員の上層部しか知らない事なんですよ。どうやって隠し扉に気付きました?」
「探知魔法を使った時にさらに奥に魔王スライムがいるのわかったので辺りを調べていたら隠し扉見つけました」
「そうですか・・・普通の探知魔法だとあそこは範囲外のはずなんですが、そういう事にしておきましょう。隠し扉の事は極秘事項なので秘密にしてもらいます。口止め料として通常の魔王石の1.5倍の値段で精算させてもらいました。もしこの事をバラした場合は・・・てへっ」
ギルドマスターは舌をペロッと出してかわいい仕草をした。
「ミズキさんもギルド職員とはいえ誰にも話さないようにお願いします。口止め料というわけではないのですが、ミズキさんは調査部で働いてもらう事になりますのでよろしくお願いします」
「あ、ありがとうございます!!」
突然の辞令にミズキはテンションはマックスまで上がっていた。
「今日はわざわざお越しいただきありがとうございました。精算の手続きは終わっていますのであとで金額の方はご確認ください。あっ、ミズキさんはこの後仕事の話ありますので残ってくださいね」
「わかりました」
こうしてカガミ達3人は応接室を出ていった。