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10話 最弱の三人 ⑩

タマミは魔力を溜め続けていた。

「みんな、そろそろいくよ!」

「火魔法・ファイア・一点集中」


一点集中されたファイアは魔王スライムに当たったが、魔力の源である魔王石まで届く事はなくすぐに再生され魔王スライムはまた増殖をし始めた。


「これじゃあキリがねえぞ」

レイドは進展のない攻防にイライラし出した。


「僕達の実力じゃあ魔力が低いから一撃で貫く事ができないんだ。一撃で決めるのが無理なら僕達に出来る事はタマミさんの無限の魔力供給を上手く活用する事だ!」


「カガミっち、具体的に何をすればいいの?」


「至近距離から魔王スライムにファイアを浴びせ続けるんだ。名付けてじっくりコトコト作戦」


「レイドさんはシールドでタマミさんを守って」


「おう、わかった」


「火魔法・ファイア・連弾」

タマミは魔王スライムにファイアを浴びせ続けた。


しかし、魔王スライムは何事もないかのように増殖を続ける。


「タマミさん、もっと近づかないとダメだ!理想はゼロ距離で!!」


「えーーーー、もうどうにでもなれーー」

タマミはファイアを浴びせ続けながら、どんどん魔王スライムに近づいていった。


かなり近づいた事によって魔王スライムの増殖より早くファイアが当たり始め、魔王スライムの身体はどんどん縮み始めた。


「タマミさん、もう少しで魔王石にファイアが届く!もう少し頑張って!!」


「わかったわ、ファイア・全力連弾」


タマミは連弾の回転数を上げ始めた。するとみるみる内に魔王石までファイアは届き、魔王スライムに魔力供給していた魔王石はカランと音を立てて地面に転がっていった。


「やったか?」


魔王石のなくなった魔王スライムは普通のスライムとなり、全力連弾の余波のファイアに当たり消え去った。


「終わったね」


「レイドさん、タマミさん、ありがとうございました」


「カガミ、おまえの作戦のおかげだ。この3人だからこそ倒せたんだよ」


「カガミっちがいなかったら倒せなかったよ」


「ありがとう」


「さっそくギルドに帰って、魔王スライムの落とした魔王石の精算しようぜ」


「あっ、その前にちょっと鑑定してみるね」

「鑑定魔法・心眼」


カガミは魔王石の鑑定を始めた。

「やっぱりそうだ。この魔王石の魔力の残り香にはきちんと王室管理室の魔力が残ってるよ」


「この場合どうなるんだろうね?」


「ここで話し合いをしてても何も始まらないね。とりあえず帰ってギルドに報告してからだね」


こうしてカガミ達は下水道から出てギルドに向かった。





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