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ルピナスの咲く箱庭  作者: 三条 恵
2/2

プロローグ2・生徒会長と喫茶店

始業式の翌日。

清奈は学校の向かいにある小さな喫茶店に入った。

「お嬢様、いらっしゃいませ。いつも通りのブレンドでよろしいですか?」

「ああ。…いや、少し苦味のあるものが飲みたい。ミルクも無しで。」

「かしこまりました。」

大平桜。龍王院家に古くから仕える剣士の一族大平家の跡継ぎ。特殊能力は一切持っていないが、15年に渡る修行で身につけた戦闘センスと速度は清奈すら凌ぐ。現在、清奈の護衛を命じられ、清奈お気に入りのカフェで店員として1日2時間、働いている。

「やっほー!せなっちいるー?」

「おお、風原じゃないか。珍しいな。」

清奈…というか竜王院家の忠実な部下の1人、風原翔子。大平桜とは同級生だ。

「あのねー、焔くんがねー、桜ちゃんに奇襲かけるってー!」

「…へ?」

大平の表情が固まる。

「ぶっ殺すって言ってたよー!」

キラキラした笑顔でとんでも無いことを言う。

「取り敢えず、外に出ますね…。」

「ああ。」

楽しそうな2人にしかめっ面を向け、店の外に出る。

「嫌な予感しかしないんだが…。ここ、体育館に近いから気配が分からんな。」

素の口調はさして清奈と変わらない桜。ブツブツ呟きながら気配を探る。

「っ!」

目の前で炎が上がった。

「おいおいてめえ…。まさかまた舐めてたんか?能無しザァアアアアアアアアアコ!!」

「煩いぞ炎藤!」

「雑魚は雑魚だろ?てか得物ぐらい出せや。」

「頭の無い馬鹿には不要だ。体術を試したい。」

「ほーん?手抜き雑魚が吠え面かくなよなぁああああ!」


かくかくしかじか

「で、また木を燃やしたのか。」

「申し訳ございませんお嬢様。」

「さーせんっした。」

「炎藤!!ふざけるな!」

「まーまー、ほむらくんだって前みたいに辺り一帯燃やしたんじゃないし!」

「それは大問題だろ。」

「うるせえ手抜きクソザコアマ!」

「いい加減にしなさい2人とも。」

メキャッという音がして2人が固まる。

パキパキと静かに凍っていくカフェに2人は黙ることしか出来なかった。

「…分かったか?」

「理解しました。」

「はい。」

冷や汗をかき恭しく答えた焔と短く答えた桜。

清奈はようやく能力を解除した。

「で、焔。これ溶かしとけよ。」

「マジっすか…分かりました。」

「水村と土井は来ていないが片付けながら話すぞ。《鍵》の継承者として父に試しを受けさせてもらう運びとなった。何をされるか分からないからお前らにしか話していない。…まあ、千智はだいぶ前に継承権放棄してるから同盟を結んだぞ。」

「え?継承権捨ててたのちさとくん。あと鍵ってなーにー?」

「ええと…。魔獣が出てくる《門》があるだろ?それを直接破壊出来るっていう異能。世界でも6つの家の嫡子にしか発現してないんだってよ。俺は詳しくねえけど。それと千智さん、放棄してたんですか?一番欲しがりそうじゃないですか。」

焔が首をかしげる。

「ああ。彼には不要らしいな。婚約がどうとかブツブツ言ってたが。」

「キモいなあいつ…。」

「悪く言うな。…で、試しは夏休み等に集中させてはくれるらしいが学校を休むかも知れん。その際、お前たちも来いとの命を受けた。」

「いいよーっ!うん!」

「そうですか…仕方ないですよ。俺たちに出来るのなんて護衛ぐらいですし。」

「お供します、お嬢様。」

翔子は学校を休めると聞いた瞬間顔を輝かせ、焔と桜はコクリと頷く。


後に世界を巻き込む事件は、小さな凍った喫茶店から始まった。

龍王院(りゅうおういん) 清奈(せな)


高校二年生。眉目秀麗文武両道な生徒会長。剣道部に所属している。趣味は読書、鍛錬、座禅。好物は鰤の煮付けと和菓子。器用だが何故か編み物をすると怪物を生み出す。親友は神楽坂桜。

龍王院家の長女であり、いずれ家長を継ぐ可能性が現段階で一番高い。特殊能力は【氷結】。冗談のつもりで学校の校庭を一瞬で凍らせた前科持ち。護衛として6人の部下を連れているが本人が一番強い。

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