第101話 連休が明けて
遅くなりましたが、新年明けましておめでとうございます!
最近更新頻度が遅くて申し訳ありません
出来るだけ以前のペースに戻るよう頑張ろうと思いますので、今年もどうかよろしくお願いします!
ゴールデンウィークが明け、俺は久々にクラスメイトに顔を会わせることになった。
みんなだるそうにしている。やっぱり連休明けの学校は面倒なんだろう。
まあ俺は学校に通ってた方がよっぽど楽な日々を送ってたわけだが。
そんなことを考えながら廊下を歩いていると、後ろから聞きなれた声が聞こえる。
「おはよう、和樹君。花音ちゃんのこと、なんとかなった?」
「小野寺か。いや、それはこれからかな」
「これから?」
昨日、俺は空港で『これを渡してほしい』と言われて物を預かった。
だが今はそれを持ってきていない。まだ渡すタイミングではないからだ。
「なあ小野寺、ちょっと頼みたいことがあるんだけど、いいか?」
「いいけど、どうしたの?」
首を傾げる小野寺に、俺は事情を説明し、頼みたいことについて話す。
「うん、最近は仕事も落ち着いてきてるし、問題ないよ。それじゃあ私は楓ちゃんにも協力できるか聞いてみるよ」
「ああ、頼む」
小野寺はそう言って先に教室に向かおうとすると、そういえばと何かを思い出したかのように呟き、振り向いてから言った。
「それが終わったら、私のお願い事も聞いて貰うからよろしくね」
「ああ、お手柔らかに頼むよ」
俺の返事を聞いて、小野寺は可愛らしい笑顔で今度こそ教室に向かった。
なんか、今の笑顔でゴールデンウィークの疲れが吹っ飛んだ気がする。
俺は教室に入り、しばらくするとチャイムが鳴り、みんな自分の席に戻る。
柊の様子が少し心配だったが、いつもと変わらず中二全開なので、杞憂だったようだ。
しばらくしてから担任が教室に入ってきて、出席をとった後、こう言った。
「じゃあお前たち、ゴールデンウィーク中にやるように言っていた宿題を出せ」
……は?宿題?
そういえば、そんなものが出ていたような…
俺は嫌な予感を感じながら、鞄の中の宿題をとり出し、中を見る。
白紙だった。当たり前だ。俺はやった覚えがないのだから。
い、いや待てよ。確か柊も家でやっている様子は見られなかった。
だったら、一緒に怒られれば被害は軽減するんじゃ…
そんなことを考える俺に、柊は宿題を持って声をかける。
「和樹、どうした?何者かの精神攻撃でも受けたの?」
なんかこいつ、余裕があるように見えるんだけど、まさか…
「お前、宿題やった?」
「当然」
柊はそう言って、自慢気に宿題の中身を見せる。
うわ、白紙じゃない…でもこいつ、俺の前では宿題をやってるところなんて…
そういえば、俺って外に出てた時間がそこそこ長かった気がする。その間にやっていたとなれば、俺が見てなくても不思議じゃない。
「もしかして和樹、宿題やってないの?」
「……ザッツライト」
俺は覚悟を決めて、白紙の宿題を先生に見せ、怒られることにした。
素直に言えば許されるかと思ったが、そんなことはなくこっぴどく怒られた。
「それじゃあ開催日は明日ね」
「ああ、それまでに準備を終わらせないとな」
放課後、俺は公園で、楓と小野寺とで話し合いをしていた。
「それじゃあ俺は当日料理を用意しとくから、二人は必要なものを持ってきてくれ」
「わかったよ。それじゃあ明日の放課後に和樹君の家に集合だね」
「ああ、じゃあまた明日」
俺はそう言って二人と別れる。
人員は確保できた。後は柊を誘うだけだ。
問題は明日予定が空いているかということだ。家族はこちらの事情を知ってるから心配ないので、おそらく大丈夫だとは思うが。
俺はスマホを取り出し、柊に電話を掛ける。
数回コールがなった後に繋がり、『我に何か用か?』と声が聞こえる。
最近色んなこと溜め込んでたせいか、中二病が酷くなってる気がする。明日は雪奈を外出させておくべきだろうか?
「なあ柊。お前、明日予定あるか?ないなら俺ん家に明日来てほしいんだけど」
『明日?特に予定はないが、どういうこと…はっ!』
考えてることを勘づかれたのか、柊の声色が変化する。
「あ、バレたか?実は明日、お前のた…」
『か、和樹…えっと…いくらなんでも、いきなりそういうのは…』
「お前は何を言ってるんだ?」
なんか凄い恥ずかしそうにしてるんだけど、これなんか勘違いしてないか?
「で、明日は俺ん家に来れそうか?」
『だ、大丈夫…覚悟は出来てる』
こいつは何を考えているのか。変なこと考えてなければいいんだが…
「じゃあ明日の放課後に、準備が出来たら俺ん家に来てくれ。それじゃあ」
俺はそう言って電話を切る。
そういえば、あいつの好きな食べ物って知らないな。
橘先輩にでも聞けば分かるかなと思い、早速電話してみることに。
『あの子は野菜なら何でも食べるわよ?逆に肉は全然駄目ね』
「な、なんか意外だ…」
あいつは子供みたいにお肉大好き、お野菜嫌いだと思ってた。
『結構脂っこい物が苦手みたいなのよ。だから料理を振る舞うなら、その辺気を付けないと駄目よ』
「わかりました。ありがとうございます」
『いえいえ、それじゃあ明日、大人の階段登るの頑張ってね』
その言葉を最後に、通話が切れる。
大人の階段?あの人何言ってるんだ?中二病がぶり返したのか?
それにしても野菜好きねえ…それじゃあ色々野菜用意しようか。
俺は家に帰る前に、スーパーに寄って買い物を済ませた。