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ワールドロード・オンライン  作者: くる~
自分の強さ
6/8

自陣強化

魔法の区別についてまとめると、こんな感じです↓


生活魔法

下級魔法

中級魔法

上級魔法

戦略級魔法

災害級魔法


・一度設定見直しました

 「そ、そ、総司令官殿とどんな関係なんだ...!?」

 

 表情が次々に変わっていくカールを面白がりながら総司令官がそれについて説明をする。

 

 「別にどうといった関係では無いのだが、簡単に言えば「協力者」といったところか」

 「協力者とは?」

 「カール君に入っていなかったな、トキワ殿は中級の中でも上位の魔法の使い手だ、それどころか実力はそれ以上だろう」

 「なんと!?道理であんな魔法を...」


 一人で納得しているカールに、今度は総司令官が質問する。


 「ん?なにかあったのか?」

 「はい、実は先程オーガの群れに襲われまして...」

 「オーガだと!?それは逃げてきて正解だ、今すぐに軍を手配しようではないか、場所を教えてくれ!」

 「いえ、その必要はありませんよ」


 そのカールの言葉に少々戸惑いを見せる総司令官。


 当たり前だ、オーガなんて一匹でも強い、ゲームのときはレベル80前後の敵だ、大きな体と一つ一つの攻撃の威力の高さにはよく悩まされたものだ。

 そんな魔物が群れていたともなると... 軍が動いてもおかしくはないのだ。


 それを、普通ならば下級魔法しか使えないような魔法士の子供二人で生き残っただけでも凄いと言うのに、余裕の表情ですましているのだ。

 

 「大体予想はできているのだが、一応聞いておこう、なぜ必要ないのだ?」

 「トキワちゃんが群れごと一発で消し炭にしたんですよ」

 「やはりな、過剰戦力だったことだろう」


 なんか納得してるけど、総司令官の中での俺の立ち位置はどうなっているのだろうか?

 

 「あ、そうだ、これから戦争の対策会議を始めるのだが、二人にも同席してもらえないだろうか」

 

 俺からしてみれば、めんどくさいし断っておきたかったのだが、カールが即答した。


 「いいんですか!?ぜひお願いしたいです!」

 「よし、ならばもう少しで出席者が全員集まるはずだから中にはいっていてくれ」

 

 と、俺の意見は聞かれることもなく参加することになってしまった。

 カールは目を輝かせて嬉しそうにしているのだが、よく考えてみれば王国軍の総司令官に会議への参加を誘われたのだ、普通ならこの反応でもおかしくはないだろう。

 

 「あの総司令官さん、聞きたいことが」

 「よしてくれ、自分よりも上のものからそうは呼ばれたくない」

 「というと?」

 「俺よりもトキワ殿のほうが強いのは明らかだ、ジェーンで構わない」


 その会話を神でも見ているかのように眺めているカールを無視しつつ、会話を続行する。


 「そうですか?ならジェーンさん、質問があります」

 「なんだ?」

 「その戦争はいつ始まるのですか?」

 「そうだな、相手が人間ならばいつ開戦するかも予測できるのだが、魔物となるとわからないな。進行速度も考え方も人間とはまるで違う、もしかしたら明日かもしれないし何か月もあとかもしれない」

 「そうですか、わかりました」

 

 こっちでの魔物の強さは圧倒的なのだろう。

 あのファイアインプにすら苦戦しているところを見ればその事実は明白だ。

 だからこそ、慎重に行動しなければ、一瞬の油断どころか、油断しなくても命取りになるのだから。

 

 その後、会議が始まってからは色々と話を聞いたり様々な場合の対処法などを教えられたのだが、ほとんど聞いていなかった。


 だが、その中でも気になった発言があった。


 「10人単位でも勝てないような敵が現れた場合は各司令官か、総司令官である俺か、トキワ殿に即座に助けを求めること、余計な犠牲は出したくない、無駄に応戦して死人は出すな!」


 という、総司令官の言葉だ。

 いつの間にか俺も巻き添えを食らっていた。


 会議が終わった後、帰りはカールと一緒だった。

 当たり前だ、俺が止まっている宿とカールの家は同じ場所なのだから。

 その道中でこんな話もしてきた。


 「まさか、トキワちゃんがこんなに強いとは思ってもいなかったよ、自分の行動を思い返すと恥ずかしいな...」

 「めっちゃかっこつけてたもんな~」

 

 カールはこれまで自分のほうが強いと思っていたがために大量の黒歴史を生み出してきた。

 何をいまさら、という感じなのだがこういう体験は後になっても恥ずかしいものだ。


 そういった後、少し間をおいてからカールから頼みごとをされた。


 「...あのさ、お願いがあるんだけど」

 「なに?」

 「俺に魔法を教えてほしいんだ!」

 「は?」

  

 本人もプライドとの戦いの末ようやく言い出したのだろう、汗だくで顔をこわばらせながら言ってきた。 

 

 「俺の先生になってほしい!」

 「え?そんなこと言われても教えられるようなことないしな~」


 事実だ、俺はこっちに来てからゲームでやってたことの想像だけで魔法を撃ってきてるし、それ以上にゲームで培ってきたステータスの影響が大きいだろう。

 それを他人に教えろというのは無理な話だ。実際、使っている魔法の原理すらもわかっていないし、ほとんど感覚的に使っているため本来の使い方すらわからない。

 そんな事情なんて知らないカールはどんどんとヒートアップしていく。


 「あの雷魔法はすごかった、まるで神の所業だったよ、軍隊ですら手こずると言われているあのオーガを簡単に消してしまうなんて、しかも群れごと!あんなにすごい雷魔法見たことがない!同じ雷魔法の使い手として、ぜひその威力を出すためのコツを伝授してほしい!」

 

 一人で燃えているカールの言葉の中に一つだけ見逃せない言葉が紛れてた。

 

 「使い手? 魔法士って属性決まってるの?」

 「え?いや、決まってるわけではないけど、人によって得意なものと苦手なものがあるから得意なものを伸ばしていくのが普通なんだけど...知らないの?」

 「うん、知らなかった、というか俺は九属性使えるし」

 「え?そんなのあり得るの!?」

 「実際俺がそうなんだって」


 カールは驚きを隠せないでいた、こいつも驚いてばっかりだな。

 今日だけで寿命が何ヵ月か縮んでるんじゃないだろうか。

 別にこいつの寿命なんてどうでもいいんだけどさ。


 「そんな...ほんとに人間?」

 「失礼な、人間だよ!たぶん...」


 その言葉をかけられて自分がほんとに人間なのかが少し気になってきた。

 今の俺はゲーム内のキャラクターであって、そのうえ基本的な能力値や魔法の威力、それ以外にも様々な点でこの世界での常識を外れているのだ。

 実は人外だった、という線も捨てきれない。


 「あの、王国魔法士団司令官の側近の魔法士の方だって使える属性は4つなのに?」

 「側近の? ミラベルさんは?」

 「ああ、あの人は回復魔法士だからね、って、え!?司令官殿とも知り合い!?」

 

 ほんとに驚いてばっかりだな。

 どうやらミラベルさんはプリーストらしいけど、その側近の人たちはソーサラーなのか。

 守るなら攻撃ができないとだめだもんな、当たり前といえば当たり前か。

 だが、国のトップですら4属性しか使えないのか、有効的な属性がない時はどうなるんだよ。

 と思ったときにオーガ戦でのカールのことを思い出した。


 そうだ、有効的なものがなくてもそれで戦わなければいけないのだ、魔法士とは不憫なものだ。


 「まぁ、知った仲ではあるけど、そこまで仲がいいわけではないよ」

 「なんてやつだ、王国のトップの方々と対等な立場だなんて...」

 

 だれも対等と入っていないのだが、多分さっきの総司令官との会話を見てそう思ったのだろう、軍の一番位の高い人とも対等に話してたのならば、それより下の者たちにも対等なのだろうと。


 「そんなに凄いことなのか?」

 「凄いも何も、学校に行ったらこの人達の話をよく聞かされるよ、生涯の目標の人物にしちゃう人も多いくらいさ」

 「それは凄いな...」


 この世界の学校にも少し興味があるのだが、日本の頃に引きこもりだった俺でもちゃんと通えるだろうか。

 まぁ、色々と変わってるから行けるだろうとは思うけど、そもそも、現状で学校に行く理由も見つからないし、転入とかプレッシャー高すぎて嫌だし。

 

 と思っていたときにカールから衝撃的な言葉を言われた。


 「そんな他人事みたいに、トキワも今年行くだろ?王国の戦闘魔法科学校」

 「え?なにそれ?」

 「え?知らないの?」

 「学校自体は知ってるけど、魔法科なんてあるの?」

 「あるよ、あと少しで入学式だけど...行かないのか?」

 「そうなんだ、迷うな~」

 「他にも、総合学科と政治経済学科と戦闘学科があるんだけど、そんなに魔法ができるなら当然、戦闘魔法科だよね?」


 なんか一気に近代的になってきたな。

 でも確か、王国の方には学校らしき大きな建物が何個かあった気もする。

 ...と言うか、王国広すぎんだよな~、今までゲームでずっとあそこで過ごしてきたけど未だにどこに何があるのかを把握していない。

 

 「考えておくよ、興味もあるし」


 何より、この強さで学校生活とか絶対テンプレ学園バトル物のような展開になるに違いない。

 そう考えると行ってみるのも悪くないな。


 「入学時から知り合いがいると心強いよ、あ、でもトキワと話してたら他のひとからの嫉妬の目が痛そうだな~」

 「ハハハ...」


 とりあえず愛想笑いをしておいた、実際俺がそんなリア充みたいな奴らを見かけたら視線で穴を開けることだろう。

 とりあえず、その日は学校のことを記憶に置きながら就寝した。



 

 次の日から、何故か俺はカールの修行相手になっていた。

 修行相手と言っても、ただ模擬戦に付き合ってやってるだけなんだけど、実際には俺が一方的に倒しているだけなので、いじめにも見えるだろう。

 しかし、カールの経験値が確実に増えていってるのは手に取るように分かった。

 カール自身はその成長に気づいていないのだが、おそらく俺に何回戦っても勝てなくて自信喪失しているのが原因だろう。

 



-----------------------------




 その修業を開始してから三週間は経過しただろうか、その頃には俺も戦闘やこの世界のことにも慣れてきて、徐々に俺自身も強化されていた。

 だが、それ以上にカールの変化は目まぐるしかった。

 模擬戦では相変わらず俺の一方的な勝利で終わっているのだが、少しずつ魔法の威力や種類を増やしていき、今となっては最初の何倍も強化されているだろう。

 今ならばオーガでも一人で相手できそうだ、勝てるかどうかは別だけど。

 本人は相変わらず


 「いつまでっても成長してる気がしない...」


 とか言っているのだが、強すぎる相手を目にすれば自分なんて霞んで見えるものだ。

 それどころかこの世界の人達ってみんなこんなに成長が早いのかと疑問に思ってしまったほどだ。

 少しずつ変化はしているのだが、その変化が細かいものなので本人は気づいていないのだろう。

 

 

 

 そして、戦争の件に至ってはまだ何も話されていない。

 魔物たちも少しずつ力を溜めているということはわかるのだが、わかることはそれだけだ。

 情報量が少なすぎてこっちから攻めるのは危険だということでこっちでも設置型の武器や堀なんかをほって準備をしているのだが、なかなか攻めてこないので手が余っている様子だ。

 

 こっちに来てからはすべての経験が新鮮だったため充実した一日が続いていたのだが、ここまでやることがないと流石に暇だ。


 とりあえず、このままカールを強化して戦争に備えるか。

 どうせなら異常なほど強くしちゃってもいいかなと思っている、それこそ、この世界の常識が通じなくなるくらいまで。

 それでこいつを俺の下僕にしてしまえば俺も箔がつくし、何より手下がいるというのはそれもそれで楽しそうだ。

 

 こっちに来てからというもの、国にとって、いや、世界にとって重要であるようなことを、個人的に楽しいか楽しくないかで決めてしまうようになってしまった。

 それほど、俺の実力はこの世界では異常なものであり、強力なものなのだ。

 多分頑張れば一撃で国一つを更地にできるような魔法も撃てるだろう。

 そんなことはしないけど、それほど強力になっている。




 -----------------------------




 一ヶ月と半月ほど経っただろうか。

 正直もう飽きてきた。

 ずっとカールの修行に付き合って、その度に少しずつ成長していくカールは徐々に強くなっていき、今となっては、国直属の魔法士団の奴らよりも上だろう。

 それは過大評価し過ぎかもしれないが、同じくらいには強いはずだ。

 魔法士団の実力知らないんだけどね。

 使える魔法の属性も雷と水になった、ちょうど応用がききそうな相性のいい属性が二つ発現してくれたお陰で更に魔法の使い勝手と威力が大きくなり、戦力として申し分ないほどには育っていた。

 

 ここまでくると宿屋に泊まるという扱いではなく、無料で住まわせてもらっている状態だったのだが、そんな日常はその日を境に変化することになる。


 ある日、いつものように朝起きて部屋でゴロゴロしていたときのことある。

 カールの修行は俺の気が向いたときにやってやるくらいまで頻度を減らしていたのだが、本人からの意見はないため、好きにさせてもらっている。

 部屋でぐーたらしながら、自分の姿を鏡のようなもので眺めていた時、外で大きな音がした。

 その音と同時に拡声器でも使ったかのような大きな声で

 

 「魔物達が行動を開始した!住民は速やかに避難し、王国軍の者は本陣へ集まるように!」


 と、総司令官の声が鳴り響いたのだ。

 その一言で村中大パニック状態、皆移動すらままならないほどの人数で一斉に避難用の会館に足を運んだ。


 そして俺はというと、宿でのんびりしながらその景色を眺めていた。


 すると突然部屋と扉が大きな音を立てて勢いよく開く、あまりの勢いに部屋の扉は壊れ、そのまま激しく音を立てて枠からはずて倒れてしまう。

 しかし、それは同時にカールの焦っている心情を物にしたかのような光景であった。

 カールは息を荒げながら、真っ青な顔色でドアの前に立っていた。


 「おい!魔物が来たぞ!早く本陣へいかないと...」

 「あれ、鍵はかけておいたはずなんだけどな~」

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