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ネコ役令嬢  作者: あお
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なでなでしないでくださいな!

この小説は、女の子が女の子を愛している設定があります。しかし百合オンリーではなく、むしろだいたいノーマルです。逆ハー要員に一人女子がいる、という感じです。オチは未定で、百合ルートとノーマルルートがまだ確定していません。それでもよろしければどうぞ。

私はミウリア・カルディエ。公爵家の一人娘。それに、この国の守護神様の守護を受けていますのよ。

それだけではありませんわ。婚約者は第二王子ですし、国一番の美女だと名高いですし、黒く長い自慢の髪の毛は茶会で手入れの仕方をたずねられる程。


そう、私は、崇め讃えられるべき存在ですの!


「はーい、ミューちゃーん、ゴロゴロ〜」


こんな風に、なでなで、ごろごろと愛でられる存在ではなく!


「ふにゃ……き、気軽に触らないでくださいな!私は公爵家のミウリア・カルディエですわよ!…ゴロゴロ」


子爵の娘ごときが私の喉を撫でて、その上ゴロゴロ言わせるなんて!屈辱的ですわ……けど、気持ちいい。ふふん、少しなら触らせてやっても構いませんわ。


「ふにゃあ……」


あまりに心地よいので、つい、喉を撫でてくるその手にすり寄ってしまいます。く、くやしいですわ!


「ミューちゃんは今日も天使……!」


彼女がふるふると鼻を押さえながらよろめいた隙に、するりと逃げ出す。危ない、思わず愛でられてしまうところでしたわ!恐ろしきテクニック。このなでなでテクニックで、私の婚約者の第二王子、カイト様に取り入ったに違いありません!だって、とっても気持ちいいんですもの。

……ぽーっとしてる場合ではないですわね。早く逃げなければ、またふにゃふにゃにされてしまいますわ。


「あっ!ミューちゃん!」


しゅたたたっと走り出します。後ろからは残念そうな情けない声。ざまあないですわ!公爵家たる者、運動神経でも誰にも負けません!


暫く走ってから、ぴこぴこ耳を動かしてあたりを伺う。……そう、この頭の上の、二つのもふもふとした三角の耳で。


ちょうど逃げてきた場所はひとけの無い後者裏。何の音も聞こえない。


「……はぁ」


誰もいないことを確認し終わって、ベンチに座る。すわるときに、ちらり、と長い尻尾が視界に入る。

私は、憂鬱な気持ちで、しっぽに少し触れる。もふもふ。


そんな私の目の前に、突然ぼふんっと言う音と共に、小さな男の子が現れる。

彼の頭には、そのミルクティーのような髪色と同じ毛色の猫耳が、ぴこぴこと存在を主張して、腰からはゆらゆら揺れるご機嫌そうなしっぽが生えていた。

猫のようなぱっちりとした青い目は、おもしろそうに細められて、私に向けられている。


「どうしたんだにゃ?なんだか憂鬱そうだにゃあ~」


「守護神様……」


彼は猫型の神獣であり、この国の守護神、レオ様。そして、私の守護者でもある。


ふわふわと空中に浮いて、こちらを見下ろしている。


「……元はといえば守護神様のせいですわっ!いい加減、この猫耳としっぽを何とかしてください!」


そう。私には、黒く美しい毛並みの猫耳としっぽがある。


それは、5年前……レオ様にご加護を頂いた時から、私の頭と腰のあたりに存在している。


「うにゃ~、ミウリアのおねだりは聞きたいんだけど、それは無理だにゃー」


にゃはは、と笑う守護神様はどこまでも他人ごとだ。むしろおもしろがってらっしゃいますよね?守護神様。


今までレオ様の守護を受けた人はゼロではない。しかし、伝承に猫耳としっぽが生えただなんて記述はない。なので私は、もしかすると、守護神様のいたずらでは?と睨んでいる。


「でもでもーミューちゃん、よくにあってるじゃにゃーい」


「例の呼び方はやめてください!

……私がどれほど凄んでもみても、みなさん微笑ましそうにしたり、下手すればなでなでしてくるのですわよ!やってられませんわ!

代表格はあの子爵、アリア・リェーニ……私の婚約者カイト様のハートを奪った上に、私の尊厳まで踏みにじるなんて!許せませんわ!」


怒りのあまりしっぽと耳の毛がぶわわっと逆立つ私を、守護神様はニヤニヤおもしろがって観察している。

以前の私なら、人前でこの様な醜態はさらさなかったのですけれど。耳としっぽが生えてから、やけに感情的になってしまいますわ。


「じゃあ、神様が、アリアとかゆー子、この学園から追い出しちゃおうかにゃー」


「それはダメですわ!」


「え~じゃまにゃんじゃにゃいの~?」


「守護神様に敵を片付けて頂くなんてカルディエの名をけがすことになりますし、それにあのなでなでがなくなるのはほんっの少し嫌ですし、真っ向からカイト様を取り返さねば私のプライドが許しませんし、やっぱり少しなでなでが惜しいんですもの!」


「アリアとやらはよっぽどテクニシャンなんだにゃあ~?」


くすくすレオ様が笑っているが、仕方ない。アリアはもはやなでなでのプロ。私の体はあのなでなでに負けてしまったのですわ。おのれ、アリア・リェーニ!


「まぁ、そのうち猫耳消せる方法見つけるから、がんばれにゃー」


「……そのセリフを聞き続けて早5年ですわ」


私の猫耳はいったいいつになったら外れるのでしょう……。


「ほらほら、なでなでしてあげるから元気出すにゃー」


「そんなもので誤魔化せると思ってるのですか!?


……ごろごろ」


やっぱりなでなでの魔力には勝てませんでしたわ……。

ゆるっと連載します。百合とノーマル混ぜこぜは需要あるのかな。悪役令嬢への愛だけで書いてます。

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