不思議な巫女少女
その子が着ていた服は、白衣に緋袴の巫女装束だった。
ここの神社の子かなと思いつつ僕とその子はお互いに無言で見つめあっていたけど、すぐに向こうが口を開いた。
「こんなところでなにしてるの?」
僕と同じくらいの見た目なのに、その口調は大人びていて落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
「かくれんぼしているんだよ」
「そっかぁ……かくれんぼ…か、なつかしいな」
「なつかしい…?」
「そう、なつかしいの。わたしにとってはね」
「ふうん……」
僕たちの年頃でかくれんぼが懐かしいなんて……よっぽど友達がいなかったか、家のお手伝いとかしてたのかな?巫女さんみたいだし……。
「ねぇ、きみ……女の子、だよね?」
「え?あ、うん」
ほとんど反射的に答えたけど、僕は彼女の質問の意図がわからなくて首を傾げた。
「女の子なら、普通こんなところまで登ってきたりしないなぁって思ってさ」
僕が内心よく分かってないのを理解してか、そう付け加えた彼女は不思議そうに僕を見つめ続けている。
「キミだって、鳥居の上にいるじゃん」
お返しとばかりに僕が言った言葉を、彼女は「巫女だからいいのよ」とよく分からない返し方をしてきた。
そして何かに気づいたのか、ふっと下の拝殿の方を見て目を細めた。