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◆蛭山風愛斗の口空記❶(続きの続きの続き)

 祖父ちゃんは、逆に、こう訊いてきやがった。

 風愛斗、お前の大好物はナンだ?

 俺は、透かさず、答えたモンさ。

 ()イモッ!

 男のクセに、そんなもっさもさしたモンが好きなのか?

 あ、祖父ちゃん、それ、差別的発言、と言う俺の意見は、当然ながら、完全(ガン)無視された。

 なら、今、お前は、最高級のサツマイモを使用した見るからに美味そうな茨城産干し芋を買った、としようか。

 うん、ウマそうだな、ソレ。

 じゃろ?

 で、ダ。

 お前は、その見るからに美味そうな干し芋をどうする?

 喰いもせんで、ただジッと眺めているだけか?

 それで満足か?

 喰うだろ?

 全部。

 それと同じだ。

 とサ。

 ホントかね。

 で、俺は、かなり暇な話なンだが、祖父ちゃんの家にどれだけの本が在るのか、数えてみた。

 1階部分に3万4,975冊、2階と屋根裏部屋には1万6,841冊。

 ま、途中、かなり、いい加減な数え方だったけどナ。

 合計で5万1,816冊。

 いや、マジだって。

 母さんの言う通り、築54年木造二階建ての家が重みで潰れないのがおかしいくらいの状態だったんだから、マジに。

 それだけの量の本を全部読むには、1日1冊ずつ読んでったとしても、142年程掛かる。

 2冊でも、約70年だヨ。

 俺とつるんでた頃の祖父ちゃんは、確か、70代後半だった筈だから、まあ、ざっと計算したって、俺が『青銅の魔人』を読み始めた年齢ぐらいから、毎日2冊は読破してなきゃなんない。

 無理だろ、普通。

 仮に、大人になってから、一気に読んだとしたって、一体、1週間のウチに何十冊読まなきゃなんないんだ?

 いや、それって、速読の域を超えてるだろ、既に。

 嘘だな。

 俺は、最初、そう結論付けた。

 祖父ちゃん、兎に角、いい加減だったからョ。

 あー、ウーン、でも、そう言っちまうと、ちょっと祖父ちゃんが可哀相かなァ。

 祖父ちゃん……蛭山里宇八サンってさ、なんちゅーか、こうインチキ臭いっつうか、詐欺師っぽいっつうか、トモダチ少ない感満載っつうか。

 自分勝手で、我儘で、他人の気持ちなんか、コレッパカリも考えない。

 ありゃ、全部、同じか。

 でも、どこか憎めないんだよなァ。

 妙に可愛げがあるっつうか、人間に華があるっつうか。

 雰囲気は、そうだなあ、名探偵シャーロック・ホームズと宿敵モリアーティ教授を足して2で割ったヨウナ?

 それか、警察犬と馬鹿犬を掛け合わせた雑種犬かナ。

 自分で言っといてなんだケド、酷ェ謂われようだナ、祖父ちゃんョ。

 でもサ。

 確かに、祖父ちゃんの本に纏わる知識は、半端(ハンパ)なかったんだ。

 どんなジャンルの本でも、祖父ちゃん、内容やら文章やらを(そら)んじてた。

 プルーストの『失われた時を求めて』然り。

 ジョイスの『ユリシーズ』然り。

 ヘンリー・ダーガーの『非現実の王国で』然り。

 中里介山の『大菩薩峠』然り。

 神的、いンや、悪魔の仕業としか思えないよネ。

 一度、その読書法について、祖父ちゃんとじっくり話したいと思ってたんだよなァ。

 ところがサ、さっきも言ったけど、そうこうするウチに、肝心の祖父ちゃんが失踪しちまったって訳なンだよネ。

 あれは俺が、高校3年の時だったナ。

 親父や母さんは、1度や2度の話じゃないんだから心配ないって、最初、物ッ凄い悠長に構えてやがったけどョ。

 特に、母さんなんか、明らかにウレシげだったゼ?

 困ったモンだよ。

 で、結局、1年近く経っても、何の連絡もないもんだから、流石の両親も警察に捜索願を出した。

 無論、『一般家出人』扱いだった。

 要は、事件性はない、自分の意志で家を出て行ったって考えられた訳だ。

 まあ、日頃の行いが祟ったんだろうなぁ。

 で、3年が経過した今もなお、見つかっていない。

 両親は、意外と淡々としてる。

 何の根拠が在ってかは知らないけどモ。

 俺自身は、物ッ凄い気になってる。

 年齢も年齢だし、まあ、俺、やっぱ、何度も言うようだけど『祖父ちゃんっ子』だからサ。

 でもョ、実は、そればっかりじゃないんだ。

 俺には、父さんも母さんも知らない部分で、気にしなきゃならない理由があるんだワ。

 例の奇妙な暗号の事サ。

 ま、暗号自体については、へへっ、俺、サクサクッと解いちまったからサ、別にどうってことはないんだけどョ。

 嘘です。

 ケッコー、悩みました。

 それでも、1カ月程で解けたんだゼ?

 国都霞大学の願書受付にギリギリ間に合ったサ。

 大したモンだロ?

 まぁ、その話は、取り敢えず置いとくけどヨ。

 兎に角、祖父ちゃんの読書量がハンパねぇってのは、どうも、ホンモノみたいなんだよナ。

 でも、奇妙な話なんだが、俺、祖父ちゃんが本読んでる姿って、実は、見た事ないんだよネ。

 父さんみたいにスマホだのタブレットだのなんかも、勿論、祖父ちゃん、やらねーし。

 ま、読むだけ読んじまった、と。

 そういう事だったンかなァ。

 或いは、《本》と謂う世界が持つ、また別の一面にのめり込んじまってたのかもナ。

 今の俺なら、それもよォォォく、頷けちまうんだけどョ。

 さっきからチョコチョコ、祖父ちゃんが残した奇妙な暗号が、俺を国都霞大学に導いたって話、してるべ?

 実は、この『《本》と謂う世界が持つ、また別の一面』こそが、暗号の根幹を成してたりするのサ。

 あ。

 今、不意(フイ)ッと思い出した。

 祖父ちゃん、ちょっとだけ、その読書術めいた話をしてくれた事があったんだ。

 『本を読む』という『行為』は、飽く迄も技術に過ぎない。

 祖父ちゃんは、そう言ったんだよなあ。

 自転車や一輪車や馬に乗ったり、スキーをしたり、ボートを漕いだり、自動車を運転したりするのと同じなんだ、とサ。

 どれも、皆、ある一定の訓練なり修行が必要だ。

 ハンドリングやブレーキの位置、手綱捌きの方法、板やストックの使い方、オールの扱い方を、それ相応に学ばねば、前に進む事すら儘ならない。

 『読書』も同様である、と祖父ちゃんはエバるのサ。

 言語の知識は勿論、単語や語句の意味、種々選択の方法を学ばなければ、単なる〈音〉に過ぎない。

 オト?

 俺は、思わず訊いちまったサ。

 なんで、音?

 あ、い、う、え、お。

 エー、ビー、シ、ー、デー。

 な? 〈音〉じゃろが。

 漢字だって、英単語だって、所詮は〈音〉の塊じゃ。

 『本』とは、タマタマ、それら〈音〉の塊を繋ぎ合わせて視覚化叉は触覚化……点字図書ってのもあるからな……したってだけの代物で、『本』或いは『読書』の用途自体は、煎じ詰めれば、そうじゃなァ、〈楽器〉の扱いみたいなモンなんじゃよ。

 ガッキ。

 本は楽器だ、などとは、終ぞ、考えた事もなかった。

 読書とは、〈音〉を聴いている行為だ。

 祖父ちゃんは、そう言うんだナ。

 イイか? 物語とは、《語られた物》以上でも以下でもない。

 受け取る側は、ただ単に、それらを視覚的に捉えるか、聴覚的に捉えるか、触覚的に捉えるか、の違いがあるだけで、最終的には、脳髄の中で〈音〉として処理される事に違いはないんじゃよ。

 昔ャあ、字を読めん者たちに、その〈音〉を使って、物語の音色を聴かせてやったモンさ。

 マザグース然り、グリム童話然り、桃太郎然り、ギルガメシュ然り、じゃよ。

 だから、漢字が読めるってだけじゃあ、何の強みにもならん。

 〈音〉のバランスや表現のニュアンスを精確に読み取る、即ち、アタマん中で聴き取る力、センスも、きちんと磨く必要がある。

 タトエバ。

 と、祖父ちゃんは、こんな文章を滔々と諳んじたモンだ。

 《じざいにでいだんをほうげして、はりつりにむげんのせいらんをさかる。》

 夏目漱石の『草枕』に出てくる一節だ。

 『草枕』と謂ャあ、冒頭の《智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。》が一番有名だと思うんだが、そういうのを出してこないトコが、祖父ちゃんの祖父ちゃんたる所以(ユエン)だナ。

 なァんて、今だからこそ、エラそうに言えるんだけど、初めて耳にした時ャ、何の事やら、サッパリだった。

 殆ど、お経に近いモンね。

 《じざい》ってのは、変幻自在の《自在》ネ。

 《でいだん》は、『泥』に団子の『団』で《泥団》。

 《ほうげ》っつうのは、放ち下ろすと書いて、《放下》。

 《はりつり》とは、別に釣り用語じゃなくて、破れた笠の裏と表記して《破笠裏》と読む。

 まあ、《無限》ぐらいは分かったワ。

 《せいらん》は、青い嵐と書く。『青々とした山気』とか『青葉の香りを吹き送る初夏の風』を表す言葉だナ。

 《さかる》は、《盛る》ね。

 自在に泥団を放下して、破笠裏に無限の青嵐を盛る。

 『俗界の塵に汚れた一身を思いのままに捨てさって、粗末な破れ笠をかぶった旅姿で、かぎりなくさわやかな夏の風を呼吸する』という意味だ--。

 と、『草枕』の注釈には、書かれている。

 悟りの心境を述べた言葉で、『碧巌録』という公安集からの引用らしいワ。

 公安集ってのは、やれ仏は何処に在るだの無いだのっつうナゾナゾを集めたようなモンだから……いや、俺が言ったんじゃないヨ? そン時、祖父ちゃんが言ったんだヨ?……唯でさえ、何言っとるか解らんトコロを、お前のようなボンクラが、生半可に見たり聴いたりしたって、益々、訳がワカラなくなるくらいがオチじゃろうて、だっはっはっはっはっ。

 だとサ。

 確かに、言葉を聴いただけでは勿論のコト、漢字で表して貰ったって、何が何だかサッパリです。

 要は、綴られた言葉や漢字の流れも、〈音〉の取り方、区切り方、ニュアンス、そして、それらが持つ意味と関係性が汲み取れなければ、唯の〈不協和音〉に過ぎないんじゃっ!

 と祖父ちゃんは仰るのサ。

 この〈音〉の連なり、言い換えりゃあ、文字の羅列が意味するトコロを精確に読み取れるようになるには、相当量の訓練と技術獲得が不可欠なんだ、とサ。

 だがナ。

 何よりも、大事なのは……

 そう勿体付けて、ドヤ顔の爺サマは続けたモンよ。

 どれ程、他者の立場に立てるか、ダ。

 とサ。

 〈音〉のハナシは、ドコ、行ったんだョ。

 フキョーワオンがどーのこーのーっつてんだから、そのフキョーなワオンをフキョーじゃなくするようなミミを育てろだとかナントカ、その手の話じゃないんかいッ!

 なんッかワカったよーな、ワカンないよーな。

 まっ、兎に角、読めっ!

 と。

 読んで、読ンデ、読み捲レッ‼

 サスレバ、自ずと道はヒラケルであろう。

 そう、(のたも)うたもんヨ。

 なんか、思いっ切りアヤシイ占い師の謳い文句だよナ、それって。

 出だしのアタリは、おっ、祖父ちゃん、珍しく良いコト言ってるじゃん、なんて感心してたんだけど、やっぱ、祖父ちゃんは、トコトン、祖父ちゃんでした。

 でもサ。

 確かに、そうなんだよナ。

 兎にも角にも、〈読書〉と謂う行為は、俺に、実に多大な精神的糧を与えてくれたと思うワ。

 さっきも、ちょこっと話したけどョ。

 《現実と非現実の挟間の存在》を教えてくれたのは、『青銅の魔人』を皮切りとする目くるめくような物語群を介して俺の脳髄に奔流となって雪崩れ込んできた活字的イメージの海……祖父ちゃんに謂わせれば、〈音〉或いは〈不協和音〉ってコトになンだろうケド……即ち、祖父ちゃん家の本たちが俺の脳味噌だの精神だのにやらかしてくれた一大人格形成手術のお蔭だ、と思う訳サ。

 『青銅の魔人』が夜の街を四つん這いになって走り出す情景(シーン)(いた)くご執心な俺の脳味噌(アタマ)は、その情景を脳裡で何度も何度も再現(リプレイ)しては奇妙な興奮を持続し続け、仕舞いには自分が、その『青銅の魔人』になってしまったかのような感覚すら起ち上げてしまう。

 コレって、祖父ちゃん謂うトコロの『どれ程、他者の立場に立てるか』ってコトだろ?

 『青銅の魔人』が教えてくれた《現実と非現実の挟間の存在》ってのは、まさに《自分で在ると同時に自分では無い存在》、即ち《他者の立場に立った自分》なんだと俺は考えるワケ。

 その感覚ってサ、感情移入とも投影とも違うんだナ。

 例えば、〈本〉在る所、必ず〈世界〉が存在する。

 小説は勿論、国家賠償法をテーマにした法律書だって、昆虫のカラー大図鑑だって、パチンコの必勝攻略本だって、ひとたびページを開き、そこに書かれている文を読み、描かれていたり掲載されていたりする図版を堪能し、一言一句余さず咀嚼する事が出来れば、自ずと道がヒラケ……じゃないワ、そこに〈世界〉が構築される。

 〈本〉を机の上にでも置いて、唯、表紙デザインの出来不出来だの背表紙の硬い角ばった感じだのを眺めてるだけじゃあ、こうはいかないよネ、ヤッパシ。

 まっ、『世界が構築される』なんて謂うと、大袈裟なっ!て思われちまうかも知れないけれど、要は、地続きになるって感じ?

 それこそ、四つん這いになって夜の銀座を駆け抜ける『青銅の魔人』が、本当に()えちゃう、みたいな。

 いャ、まァ、本当じゃないンだけどネ。

 でも、より深い理解って、多分、そういう事を謂うんだろうネ。

 相手の立場、相手の世界を汲み取る、我が身の如く理解する。

 かはは、なァんか、エラそうだな、俺。

 あの祖父ちゃんにして、この孫アリってか?

 違いねーや。

 そもそも、なんで、人間は〈本〉を読むんだロウね?

 〈読書〉って何ヨ。

 そこに、〈本〉が在るから、とか?

 でもヨ。

 ナニか〈世界〉を築くんだったら、別に〈本〉じゃなくてもいいよナ。

 〈音楽〉だって、〈絵〉だって、〈スポーツ〉だって、ケッコーイイ〈世界〉を築けんじゃねェの?

 なァンか、謎だよナ。

 あ。

 ア?

 ありゃりゃ?

 俺は、何の話をしてたんだっけ。

 なンで、何時の間にか『読書について』をテーマにした論文みたいな内容(ハナシ)になってるんだ?

 アホか、俺は。

 マジで。

 そりゃあ、確かに、この国都霞大学(憶えてますかー、『クニトカスミ』って読むんですよー)ってトコロは、明らかに問題多数で、いや、問題多数どころか、この世の常識を全て塗り替えざるを得ない〈世界〉以外の何物でもなくって、お蔭で、今、俺が、首どころか旋毛(つむじ)までズッポシハマっちまった窮状が在る訳で、そいつについて片っ端から話そうと思ってたのに、何をこうまで長々と……ん?

 そういャあ、俺は、どんだけ、このトイレにオコモリしちまってるんだ?

 ヤベ、今、何時なんだろ。

(ガサ。ゴソゴソ。ガサゴソ)

 はあっ?

 なンだっ、コリャ。

 14時14分?

 まだ、この個室に入って話し始めてから1分も経ってねぇじゃねーか。

 どーゆうコトだよっ、えっ?

 まー、もう、滅多な事じゃあ驚きャァせんけドモ。

 いやいやいやいや、なんなんだよ、これって、ホントにもォ、どうなってやがんだよォ。

 どーなっちまったんだ、俺はよォ。


 そう。

 そうだよ。

 ソノ話だよ。

 

 ソノ経緯を話そうとしてたんじゃねェか、俺は。


 兎に角だなァ、アノ諒太郎の糞バカが、ヤレ〈国都霞大学の七不思議〉だ、〈ウーマン・イン・ブラック〉だ、〈謎のグラサン・マスク女〉だ、ナドと言い出したンが、コトの発端なんだヨ。


 (コンコンコンッ)


 ン?


 (コンコンッ、コンコンコンコンッ! スイマセンッ、まだ、出ませんかっ!!)


 ンだよ、いきなり。

 ちょっと、待ってっ!


 (は、早くっ、やばいやばいやばいっ!!)


 え? マジかよ。

 そういやあ、なんか、急に外が騒がしいな。

 出るよっ、出ますっ、ちょっと待っててっ。

 なんだヨ、まったくゥ。

 いいのか?

 こんなカンジで、終わっちまって。

 向こうの人だかなんだかは、まだ聴いてんのかネ。

 あのー、取り敢えず、終わりますねー。

 って、肝心の部分は何一つ話してねェんだけども。


 (ドンッ、ドンドンッ!!!)


 あァあ、とうとうドンドンッになっちまったよ。

 ハイハイ、今、出るって。

 (かちゃり)

 うわっ、と。

 (バタンッ、カチャカチャッ、ドタンッカタンッ、ドスンッ!)

 痛いワっ。

 ンだよ、必死だナ、マジで。


 【自主規制】


 あーあー。

 ブリブリブリって、酷ェなァ。

 我慢し過ぎ……って、うぅわ、なンだ、コリャ。

 何時の間に、こんなに混みやがったんだァ?

 みぃんな、必死の形相で並んじまってるじゃねーか。

 しかも、臭ェ。

 すんごい、臭えェー。

 なんだョ、みィんな、腹下してんのかョ。

 どうしたんだョ、一体ィ。

 まさか、急性の食中毒かなんか……

 

 あ。

 

 ははーん。

 判ったゼ。

 犯人は、クラウドの野郎だナ?

 今日、ばたばたさんが急遽休みんなっちまったって、レイナさん、ボヤいてたもンな。

 そーか、クラウドがヘルプに入ったんだ、きっと。

 アイツ、今度は、ナニ調合しやがったんだ?

 まったく、懲りないねェ、彼もォ。

 こないだも鬼の食堂長に、あンだけ絞られたバッカじゃねーか。

 まっ、そんな訳で、俺、取り敢えず、厨房に行くワ。

 5時限と6時限は、パス。

 多分、厨房(アソコ)、今、それどころじゃねーだろうからョ。

 ほいじゃあ、ハヤシヤ・パーコレーダーだかクラシアンシン・テクニシャンだかの人だかナンダカのお方ァ。

 ホント、終りまーす。

 近いうちに、ちゃんと、肝心カナメの本題をご報告いたしますからねー。


 ほんじゃ。


〔《直接録音》一時中断*尚《暫定的黙示録》は《最重要警戒録音》を継続*要《最優先観察事象》に格上げの事〕

  


  


 

 

 

 





 









 

 

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