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俺は 美少女の愛に なぜか気付かない  作者: TKO
第一章    日常
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第三話  謎の衝動

愛とは、親兄弟のいつくしみあう心。人間や生物への思いやり。

男女間の愛情。恋愛。   ってウィキペディアに書いてた。

             次の日の夜


「レイン、私はもう仕事に行くぞ。」


    ライナは夜の護衛の仕事だ。朝まで帰ってこない。



「分かったよ、母さん。」


「きちんと戸締りをするんだぞ?最近、何かと物騒だからな。」


「はい。」


「じゃあ、行ってくる。」


    そう言って、ライナは、トリア城に向かう。




    しばらくして、真夜中になると・・・


「・・・うぅっ!!・・・ぐっ」


    来た・・・例の発作だ。

    

    こうなると、誰かを痛めつけて、殺すまで収まらない。


    これが一年前から、ずっと続いている。


    原因は分からない。調べてみても、こんな症状の病気は無かった。


レインは、人を殺すことに、何の抵抗も無い。

彼には、人への思いやりなどは無いから。

だが、殺人は犯罪だ。しかも、すでに多くの人を殺してきた。

捕まれば・・・死刑は免れないだろう。死ぬのは嫌だ。


    レインは、いつも通り、顔を隠すためにフードを被る。

    そして、家に隠してあるナイフを取り出し、街に出る。

    

    夜にライナが居ないのは、本当に好都合だ。

    もし、ライナが家に居るときに発作が起きれば・・・

    俺は何のためらいも無く、ライナを殺していただろう。

    

    ライナが死んだら、困る。養ってもらえなくなるからな。



「行くか・・・」



    仕方ないんだ。誰かを殺さないと、自分はどうにかなってしまう。

    

    外の世界を旅すれば、きっと何か解決策が見つかるだろう。


    それまでの我慢だ。



「・・・」



    最近、夜になると、人通りがほとんど無くなるようになった。


    人々は、殺人鬼の噂を恐れて、家に篭るのだ。


    そうなると、標的を見つけるのに苦労する。困ったものだ。






一方・・・トリア軍第三部隊隊長、シグは、酔っていた。




「ったくよぉ・・・!いつになったら捕まえられるんだよぉ!」


   

    ここは、街にある酒場だ。


    いつもなら、男たちで賑わうこの酒場だが・・・


「・・・本当に、早く捕まってほしいものです。」


    店主は困った顔でそう言う。今日の客は、シグだけだ。


    殺人鬼の噂のせいで、客は激減。すっかり寂れてしまった。


「捜査はしてるんだよぉ・・・!でも見つからねぇんだよぉ・・・!」


シグが率いる第三部隊は、殺人鬼の捜査、及び逮捕を命じられてる


殺人鬼の手がかりは、「強力な『怒り』の魔術を使う」。それだけだ。


だが、何度調査しても、この国にそのような魔術師は居ないのだ。


「もう訳わかんねぇよ・・・しかもよぅ・・・!」


    このように、店主は度々、シグの愚痴を聞かされる。


「うちの新入りは・・・もにゅもにゅもにゅらしにょ・・・」


    何を言ってるか分からない。


「シグさん、飲みすぎなんじゃないですか?今日はもうやめといた方がいい と思いますけど・・・」


「・・・わぁーーーったよ・・・ほら、勘定。」


「はい、ありがとうございました。」

 

    シグはふらふらと店から出る。


「あぁー・・・確かに酔いすぎたかもなぁ・・・」


    足元がおぼつかない。眠い。


「さっさと帰って寝るかぁ・・・」


    と、街を歩いていると。


「ん・・・何だぁ?」


    前方に人影。


    そこに居たのは、フードをかぶった人物。


    そいつは、俺のことを見ると、「あっ・・・」と言った。


    声からすると・・・ガキか。


「おい、こんな夜中に一人で出歩いてると、殺されちまうぞ。」


    そう言うと、そいつはこっちに近づいてきた。なんだ?


「・・・・・・・っ!?」


    凄まじい殺気。慌てて飛び退く。


    さっきまで、俺が居た場所に、ガキがナイフを突き出していた。


「こいつ・・・!」

  

    怖ぇ・・・。だが、今日の俺はツイてる。


「お前か・・・殺人鬼は。やっと見つけたぜっ!!!」


    右手に力を込める。


    奴が飛び掛ってきた。


「おらぁぁぁっ!!!」


    全力で殴る。・・・手ごたえアリだ。


「がああああああああぁぁぁ!!!」


    5メートルほど吹き飛び、後ろの壁にぶち当たる。

    

    だが、奴は、すぐさま俺に向かって来た。


(なんだこいつ・・・まるで魔物と戦ってるみたいだぜ・・・)


    ナイフを横に振ってくる。それをしゃがんでかわし、懐に入る。


    腹に拳を叩き込む。


「ごはぁぁっ!?」


    奴が悶える。


「いってー・・・避けきれてなかったか。こりゃやっぱり飲みすぎたな。」


    耳の辺りが少し切れていた。


    だが、分かった。こいつはそれほど強くない。


「ほら、諦めろ。お前じゃ俺に勝てねぇよ。」


    ・・・その時、奴が右手を上にあげた。降参ってか?


「あ?・・・っ!」


    何かが来る・・・!   奴が右手を振り下ろす。


    俺は、全力で横に飛んだ。

 

    


次の瞬間、俺の目の前に、でかい穴が開いていた。


    な・・・!こんなもん食らったら死ぬぞ・・・!!! 


「強力な破壊の魔術・・・やっぱりお前が殺人鬼だな?」


    シグは、腰の剣に手をかける。


(仕方ねぇ・・・本気でやるか。)


    剣を構えると、奴がナイフで切りかかってきた。


それをすべて剣でふせぐ。

迎撃の型を使い、カウンターを食らわせようとするが、奴もそれをかわす。


    そのような均衡がしばらく続いた。・・・が、その時。


「シグさん、さっきすごい音がしましたけど、何かあったんですか?」


    酒場の店主だ、やべぇ・・・!


「こっちに来るんじゃねぇ!逃げろ!」


「・・・え?」


    奴は標的を店主に変えた。

    ナイフを構え、店主に向かって走り出す。


「くそっ!」

   

    俺は、店主を守るため、走り出すが・・・

 


    ダメだ!間に合わねぇ!!


    店主は、心臓を突き刺され、その場に倒れた。・・・即死か。



    その直後、奴が放っていた殺気が消えた。


「なんだ・・・?」


「・・・っ!・・・まずいっ!」


    そう言って、奴はその場から逃げ出した。


「お、おい待て!」


    すぐに追いかけるが、追いつけない。


「・・・!酔ってさえいなければ・・・!」


    俺は、奴を見失ってしまった。


    くそっ・・・疲れたぜ・・・


    

    そして、シグはその場に倒れこんだ・・・




翌朝、店主の死体と、道の真ん中で寝ているシグが発見された。




「・・・ょぅ・・・きてください・・・隊長!!!」


「んぁ・・・?何だ、朝か・・・?」


「隊長!何こんなところで寝てるんですか!」


「あぁ?ちょっと昨日は飲みすぎちまってよ・・・」


「また被害者が出ましたよ!・・・ほら、早く立ってくださいよ!」


「んん・・・あっ!!俺、昨日戦ったぞ!!!」


「え?誰とですか?」


「殺人鬼だよ!殺人鬼!」


「えぇっ!?本当ですか!?何か特徴とか覚えてませんか!?」


「・・・・・・・・あー、酔っ払ってたから覚えて無ぇや。」



「・・・」


なんだよ、その残念なものを見るような目は。


まだまだ導入部分です。

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