第十二話 初めての授業
トリア国立戦闘訓練施設。通称「学校」
この学校は、職業に就くために必要な、戦闘技術を教える場所だ。
大体、この学校を卒業したものは、兵士か旅人のどちらかになる。
商人になるのは、ほんのわずかだ。
基本的に、この学校では、何の授業を受けるかは、生徒が決めることが出来る
「剣術」「魔術」「実戦」この3つから選ぶのだ。
一日の授業は、三回だ。授業は一回、三時間。
レインの初日の授業は、「剣術」「剣術」「実戦」だ。
「私が・・・剣術の指導を行う・・・セベクじゃ」
今、俺たち、剣術の授業を受ける生徒たちの目の前に
「お前たちを・・・みっちり・・・しごいてやぅえっほ!げっほ!」
じじいが、ガクガク震えながら立っている。
(だ、大丈夫か、こいつ・・・)
誰もがそう思った。
「では、まず、走るんじゃ。」
ん?
「そうじゃなぁ。この学校の周辺を、一時間、走ってもらおうかの。」
・・・マジか。
「えぇぇ!?」「無理でおじゃる!」「死ぬでやんす!」
皆がそれぞれ、文句を言う。
「黙らんかあああああああああああああああああああああああああ!!!」
大音量でセベクが叫ぶ。迫力で、全員が気圧される。
「ほら、行け。時間は無駄にするモンじゃないぞ。」
しぶしぶ、学校の外へ向かう。
一方そのころ
自称天才魔術師、トマスは、ニヤニヤしていた。
外から聞こえる悲鳴を聞きながら。
(全く、剣術なんて、暑苦しい。)
僕みたいに、スマートじゃなきゃね。
この、すでに初歩魔法を全てマスターしている、僕みたいにねっ!!!
「・・・ねぇ、あいつ1人で笑ってるよ」「・・・気もちわるぅ」
クククッ、待ち遠しいですねぇ、魔術の授業。
「よぉ!私が、魔術の指導を担当する、カルロスだぁ!!!」
なんか、ムキムキで、テカッてる奴が出てきた。
・・・な、なんで上半身裸なのでしょうか?
「いいかっ!魔術に必要なのは、ガッツだ!パゥワーだッ!」
うそだ、そんな、まさか
「まずは、腕立て、腹筋、背筋、スクワット。それぞれ200回だ!」
ひぃっ!?全然スマートじゃないっ!?
「ヒァ、ウィー、ゴー!!!」
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」
中庭に、トマスの悲鳴が響く。
ちなみに、前説明したとおり、魔力=体力である。
「ぜぇ・・・!はぁ・・・!」「ひゅー、こひゅー」「・・・おろろろろ」
走り込みを終え、訓練所に帰ってくる。
「だらしないのぉ、最近の若者は。」
セベクは呆れたように、そう言う。
「・・・ふぅ」
俺は、そこまで疲れては居ない。ライナとの特訓で、鍛えられてるからな。
「・・・ほう、おぬしら二人は、なかなか見込みがあるのう。」
見ると、皆がへたり込んでいる中、俺と、ある男は、余裕そうに立っていた
「ふん。」
赤い髪の男だ。ちょっと話しかけてみよう。
「お前、名前は?」
「気安く話しかけるな。」
「えぇ・・・」
「雑魚が。」
・・・!こいつ・・・!
「何だよ、俺がせっかく話しかけてやったのに!」
「うるさい。消えろ。」
「なんだと!ばーか、ぶわぁーか!」
「お前のほうが馬鹿だ。」
「馬鹿って言った奴が・・・!」
「喧嘩するでない!」
セベクに止められた。だってあいつが!
「よし・・・それでは、技の指導に入るぞ。」
・・・あいつ、いつかボコボコにしてやる!
後でセベクから聞いたが、あいつの名前はシェイドというらしい。
王宮の騎士の息子だそうだ。
「では、二人一組になるのじゃ!・・・お前ら、二人で組みなさい。」
なんでこんな奴とっ!
「実力が同じくらいの方がいいじゃろ。」
「俺とこいつが同じくらいなわけが無い。こいつは雑魚だ。」
「あぁん!?」
「・・・いいから組め。めんどくさい奴らじゃのう。」
はぁ・・・先が思いやられる。
一方、自称天才魔術師、トマスはニヤついていた。
(はぁ、はぁ・・・きつかった・・・ですが!)
今、二人一組になって、相手の魔術を相殺する訓練をしている。
やっと僕の実力を発揮できる!
そして目の前には、小さな女の子。
(まぁ、手加減してあげますか。)
「はぁっ!」
目の前にいる女の子に、火の魔術を飛ばす。
「弱いです。」
女の子は、いとも簡単に魔術を打ち消す。
・・・ま、まあ手加減してたしね!
「じゃあ、次はあたしから行くです。」
さぁ、こいっ!
飛んできたのは、火の上位魔術、フレイムカノン。
無理無理無理無理ぃぃぃ!!!UWAAAAAAAAAAAAAAAA!!!
トマスは、吹っ飛んでいったとさ。