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俺は 美少女の愛に なぜか気付かない  作者: TKO
第一章    日常
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第十話  それぞれの特訓

トリアの国に、クシャルという街がある。

そこに住むのは、大体、ちょっとした貴族や、金持ちの商人。

更には、洞窟を探索した際に、大量の財宝を見つけた旅人だ。


要するに、裕福な人が住む町なのだ。


そこに住む有名な商人、モーリスには、最近悩んでいることがある。


「本当に、今思い出しても腹が立ちます!」


    娘のことだ。ここ最近、ずっと同じ男の話ばかりだ。


目の前で、腹を立てながら朝食を食べているのは、自分の娘、アイリスだ。

何でも、レインという男に腹を立てているそうだが・・・


「あの男、絶対に許さないです!次に会ったら必ず叩きのめします!」


「あぁ・・・分かった分かった。ちょっと落ち着きなさい。」


「お父様!今日もご指導、よろしくお願いします!あたしは強くなって、あの男 に勝たないといけないんです!」


「アイリス、食事の時くらい静かになさい?ね?」


妻のマイアがアイリスをやんわりと注意する。


「だ、だって。あの男は、あたしにあんなことをっ!あ、あんなことを・・ ・」

 

アイリスの顔が、ポッと赤くなる。そして小声で何かブツブツ言っている

・・・娘は男に、いったい何をされたんだろう。父さん知りたいな。


「アイリス、その男に、何をされたんだ?」


    場合によっては、レインとやらをボコボコにする必要がある


「な、何って・・・ぁぅ・・・」


    相変わらず顔が真っ赤だ。いったいどんな辱めを・・・!


「何を、されたんだ?」


    娘に詰め寄る。


「だ、だから・・・だきっ・・・!」


「だき?」


「抱きしめられたんですっ!正面からいきなり!」


娘が、そう叫んだ。

・・・微笑ましいじゃないか。マイアもクスクスと笑っている。


「あらあら、ついにアイリスにボーイフレンドがねぇ・・・」

   

・・・娘に男ができた。そう考えると、父さんちょっぴり寂しいな。


「違います!断じてそういう関係じゃ無いです!」


どうだか・・・頬を染めながら言われても、説得力が無い。・・・よし


「お前の気持ちは分かったぞ、アイリス。お前は、そのボーイフレンドと

 肩を並べるために強くなりたいんだな。・・・それなら、愛する娘のため に、父さんがみっちり指導してやるからな。」


「だからボーイフレンドじゃないですぅぅぅぅ!!!」




モーリスが所有している土地の中に、剣の訓練場がある。

そこで、アイリスに、剣の指導をするのだ。・・・だが。


「はぁっ!やぁっ!」


「・・・」


弱い。今までずっと、アイリスに剣を教えてきたが、一向に強くならない。


娘の話によると、レインという男は、ある程度、剣技を使えるそうだ。

剣術で張り合っても、勝ち目は無いだろう。


「よし、やめだ。」


「はぁ、はぁ・・・え?」


「アイリス、お前はあの男に、剣術では勝てないだろう。」


「そ、そんな・・・」


    アイリスは、シュンとしてしまう。


「だから、お前は、魔術の実力を伸ばしたほうが良いだろう」


アイリスには、剣の才能が無い。自分としては、残念だ。

自分と同じように、剣の道を歩んで欲しかったが、仕方がない。

これ以上、半端に剣術を習うよりは、魔術の才能を伸ばしたほうが良い。


「今日から、剣の指導の時間を、魔術の授業の時間に回す。」


「・・・わかりました。」


後のことは、雇っている魔術の教師に任せ、その場を立ち去る。


娘には、魔術の才能がある。教師曰く、火の大魔術を使えるほどの素質があるらしい。鍛えれば、レインという男に、十分対抗できるだろう。





一方、レインは


「あぁ・・・またダメだ・・・」


    上位魔術で躓いていた。


初歩魔術は、なんとか全て扱えるようになったのだが・・・


「発動はするんだけど・・・制御が難しいな・・・」


魔術と言うのは、特に呪文などを必要としない。

ただ、頭の中でイメージするだけで発動する。

火をイメージすれば、手のひらに火種が生まれる。

その火種をどうするかによって、自由に魔術の形状を変えることが出来る


だが、上位魔術は感情の制御が、必要不可欠だ。

初歩の魔術に、感情の力を乗せることで、威力を高め、効果を変える。

これが上位魔法だ。ちなみに、乗せる感情の種類は何でもいい。

だが、それぞれの属性には、相性の良い感情というものがある。

例えば、火の魔術は「憎しみ」。氷の魔術は「冷徹」と相性が良い。

相性の良い感情の力を上乗せすると、魔術の威力は、爆発的に高まる。


「やっぱり、感情を乗せるには、コツがいるな・・・」


・・・まぁ、それは学校で教えてもらえばいいか。


それと、もう一つ問題がある。

上位魔術である、「治癒」だ。これを発動するには、「愛」の感情が必要だ

当然、「愛」が分からないレインに扱えるものではない。


ただ、レインは、破壊の魔術が得意だった。

破壊の魔術と相性がいいのは「怒り」だ。

レインは、破壊の魔術だけ、上位魔術を使うことが出来た。


「もしかしたら、大魔術、使えるかも。」


    自分には、破壊の大魔術を扱う素質があるかもしれない。


レインは本に書いてある、破壊の爪という大魔術を試してみた。



ピシッ、バキバキ、ピキッ。という音と共に、左手の全ての爪に

亀裂が入った。いってぇぇぇぇぇ!!!


「ぐぁっ!・・・がぁぁ!」


    今まで感じたことが無いくらいの激痛に襲われる。


え?破壊の爪って自分の爪を破壊する魔術だったの?


「そんな訳無いよな・・・これは失敗だ。」


    ちょっと残念だった。


きっと俺は、魔術より剣術のほうが向いてるんだな・・・





自分は、子供の頃、指をドアにはさんで、爪を失いました。

痛かったなぁ。

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