第八話 猫は嫌い
俺は、猫好きです。
ある朝の、朝食の時間
「レイン!ご飯が出来たぞ!」
俺は、急いで、食卓につく。
(おなか減った・・・)
日課である素振り1000回を終えると、ものすごい空腹に襲われる。
まして、俺は今、成長期というやつだ。
大きくなるために、体が栄養を欲している。
・・・俺の身長は低めだ。早く背が高くなって欲しい。
「今日の朝ご飯は何ですか?」
「ふふ・・・今日はレインが好きな、アレだぞ?」
エプロン姿のライナが、何だかニヤニヤしながら俺を見てくる。
好きなもの・・・何だろう。
「じゃじゃーん!」
・・・!こ、これは・・・!
「魚だ・・・!」
しかも新鮮な奴!いつもの干し魚とは違う!
「母さん・・・!これ・・・!」
「あぁ、レインが喜ぶと思ってな。」
これは嬉しい!
この辺りは、海に面していないので、魚の流通が少ない。
なので、新鮮な魚は高いのだ
「い、いただきます!」
ハムッ、ハフハフ ハフッ
旨い!
・・・今日はなんていい日だ。いつもより稽古を頑張れそう。
「そうかそうか、嬉しいか!」
ライナも、なんだか上機嫌だ。
昨日の夜、ライナが仕事に出かけるとき。「いってらっしゃい!」と言いながら抱き ついたのが、功を奏したか。
「・・・っ!」
その時、背後に気配を感じた。
振り返るとそこには・・・
「にゃーぉ」
猫だ。白い猫が居た。
俺のそばに寄ってくる。
「なっ、なんだ!・・・あ、あっちいけっ!」
追い払おうとしてみたが、無駄だった。
猫は、俺の膝の上に乗っかり、にゃあ、と鳴いた。
「うぅ・・・」
本では見たことがあるが、実物を見るのは初めてだ。
・・・怖い。
「か、可愛い・・・」
ライナは見ているだけで、助けてくれない。
俺は、恐る恐る、猫を持ち上げようとすると・・・
「にゃっ」
猫は、バッと、俺から離れていった。・・・助かった。
猫は、こちらをじっと見ている。
俺の魚をくわえながら。
「・・・」
許さん。俺は木刀を構える。
すると、猫は逃走するため、窓へ向かっていく。
「逃がすかっ!」
剣技の初歩、疾風斬。これで奴を・・・!
「ま、待てレイン!」
ライナに木刀をガシッと掴まれた。
母さん、邪魔!その猫殺せない!
そうしている間に、猫を取り逃がしてしまった。
「母さん!どうして止めたんですか!」
「だ、だって、可愛そうじゃないか・・・」
「でも、あいつは、俺の魚を・・・!」
俺の大好きな魚を!・・・そう考えると、悲しくなってきた。
俺が悲しそうな顔をしていると
「わ、分かった。私の魚をやろう。これでいいだろう?」
ライナが、自分の皿の上の魚を、俺の皿に乗せた。
「はい・・・」
くそ・・・あいつ。次に会ったら、確実に仕留めてやる。
朝食を終えると、ライナと稽古だ。
庭で、木刀の打ち合いをするのだが・・・、
庭に、あいつが居た。
庭で、盗んだ魚を食ってやがった。
「死ねぇぇぇええええ!!!」
「やめろ、レイン!」
ライナに、木刀で殴られる。割と本気で。
「ぐはばぁぁぁぁぁぁ!?」
俺は、壁に叩きつけられた。し、しどい・・・
見ると、ライナは猫にそっと近づきながら
「お、おいでおいでー」とか言ってた。
そして、猫を抱き上げる。
・・・よし!そのまま絞め殺せっ!
するとライナは、猫を撫で撫でし始めた。
「おぉっ・・・か、かわいいっ・・・!」
そのまま、奴の手をぷにぷにしたり、頬をすりすりしたり・・・
「か、母さん。何をしてるんですか?そいつは俺の魚を盗んだんですよ!?死に値します!!!」
「だ、だって。こんなにふわふわしてるし・・・にゃあって鳴くんだぞ!
可愛いじゃないか!」
可愛いって何だ。俺には理解できない。
とにかく、俺はそいつを許すことは出来ない。
「よし、決めた。・・・レイン!私はこいつを飼うぞっ!」
・・・はい?
「今日から、お前もうちの子だぁっ・・・!」
そう言いながら、猫を撫でくり回す。
飼う・・・?つまり、俺はこれから、こいつと一緒に暮らすのか・・・?
つまり、魚が出るたびに、奴に奪われる。
なのに奴は罪に問われない・・・。
そ、そんなの・・・!
「いやだぁぁぁぁぁっーーーー!」
奴の名前は、ミーシャに決定した(ライナが命名)
次から、ついに主人公が魔術を使えるようになったり、ならなかったり。