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Mr.NO-GOOD´  作者: 慎之介
第八章:魔界と運命編
96/106

四話

「はぁ……はぁ……」


俺は、眠っているサリーから離れる為に走っていた。


真っ暗な森を一人で走る。


「ぐあ! はぁ……はぁはぁ」


上手く体が動かない……。


何時ものように夜目がきかない。


大地の鼓動も何も感じ取れない俺は、岩に躓いてその場に倒れるがそれでもすぐに立ち上がり走り出す。


まだ、数メートルしか離れていない。


これじゃあ、駄目だ。


もう少し我慢するんだ。


俺は走っているつもりだが、多分歩いている程度の速度しか出てないだろう。


くっそ……。


動け、ここじゃあ駄目だ……。


「ぐああ……ぐうううう!」


バシャっと大量の血を吐いた俺は、声を殺す為に服を噛み締める。


「ふ~……ふ~……うううう」


くっそ……。


くそったれぇぇぇ!


「うっ……ごはっ!」


ぐううう……。


おさまれ……。


おさまってくれ……。


服を噛んだままの俺が、亀のように丸まり波がおさまるのを待つ。


****


「はぁはぁはぁ……」


それから一時間ほどで、何とか苦痛の時間が終了してくれた。


それと同時に、雲に隠れていた月が姿を現す。


目の毛細血管が破裂したかな?


月が真っ赤に見える……。


あ~あ……。


少しでも俺の闘争本能が鈍れば、すぐこれだよ。


本当に……。


やってらんね~……。


『あのお方は……』


分かってるよ。


いくら師匠でも、死にかけた人間を都合よく復活させる方法なんて無いんだろ?


青生生魂で、戦いが終わるまでの延命……。


あそこで終わるしかなかった俺には、十分なチャンスだ。


クソコントローラーを、ブチ壊すまでもてばいいだけだ。


それだけでいい……。


【しかし、必ず死ぬとは……】


少し気を緩めただけで、これだぞ?


クソ偽神を倒せば、間違いなく死ぬって。


まあ、さらに黒幕がいたぁぁぁぁぁ!とかなら、そいつ倒すまで死なないかもだけどね。


『あのお方は……』


分かってるっつってるだろうが!


アホか!? ジジィ?


師匠は、誰よりも死ねない苦しみを知ってるんだ。


都合よく、俺の寿命分生きるような方法が無いから、この方法を選んだんだ。


怨むなんてお門違いだ。


感謝してるよ……。


俺はまだ戦える。


【貴方は、本当にそれでいいんですか?】


ああ……。


どうせ俺は不幸の塊だ。


生きてたってろくな事が無いんだ。


やる事やって、笑いながら死んでやる。


【……】


未来なんて必要ない。


今の俺に必要なのは、戦いと負けない為の力だけだ。


それ以外なんて、必要ない。


『絶望に囚われない為に、希望を捨てるか』


捨てるも何も、最初から希望なんて持ってない。


世界は残酷なんだ。


奇跡なんて起きるわけがない。


全ては、あるがままに……。


なるようにしかならないんだ。


これが、人を不幸に巻き込み続けた俺への結果なんだろ……。


後悔も絶望もクソ食らえだ。


それから、修練をした俺はサリーの隣へと戻り眠った。


最近は、誰の夢も見ない。


あれはきっと、俺の弱い心が作ったものだったんだろう。


大丈夫……。


俺は、大丈夫……。


俺は、まだ戦える。


俺は、まだ真っ直ぐ前に進める……。


****


「えい!」


おえっぷっ!


ええ!? 何!?


「レイ! 朝だよ~!」


俺の腹の上には、笑顔のサリーが乗っていた。


どんな起こし方してやがるんだ……。


「ね~! お腹すいたよ~!」


「分かった……。分かったから降りろ」


「え~? おはようのチューとかは、いらないの?」


えっ!?


マジで?


え?


欲しいって言えば、この美人とキスできるの?


マジでか!?


「あははっ! 何真顔になってるのよ! 嘘だよ~!」


嘘かぁぁぁぁぁぁい!


「でも……。そんなに嫌がるなんて、私そんなに魅力ないかな……」


俺から離れながらボソッと……。


ええ~!


ちょ! 待てよ!


キスが……したいです!


出来れば、その先も!


****


なんて言えない俺は、小川の水を汲み何時も通り朝食を用意する。


はぁ~……。


『根性無しが……』


五月蝿い! へし折るぞ!


キスしたいって言った後で、嘘って言われたらどうすればいいんだよ!


【チキンですね……】


お前も粉々にするぞ!?


「え~……明後日には、イザベラ様のいる町につくと思うの」


「そうか……」


「でも、レイが私を担いでくれれば、明日には着くと思うな~」


はぁ~?


嫌じゃボケ!


「御褒美は、私が何でも言う事聞くって言うので……どう?」


はっは……。


そんな見え透いた罠に……。


……。


『何を作っておるのじゃ?』


「レイって器用だよね~。これで私を担いでくれるの?」


「ああ……」


俺が、近くの木を切って作ったのは背負う事の出来るようになっている、ベルトのついた椅子。


【面白いぐらい罠にかかってますけど?】


ど……童貞卒業……。


『エロガキが……』


【情けない……】


いやいや! こっちの方が、早く目的地につくから!


それだけだから!


【作りながら、卒業卒業言い続けてですか?】


『うん! お前は馬鹿じゃ!』


誰が馬鹿だ!


折るぞ! コラ!


****


俺は、サリーを背負い、荒野を走る。


「わ~……。いい天気だね~。鳥が旋回してるよ~」


それ、モンスターだから!


お前気付かないだろうけど、実は走って逃げてるから!


「鳥さんも気持ちよさそうだね~」


お前! 能天気でいいな~!


速度! 速度を上げねば!


追いつかれる!


「ああ~、風が気持ちいい……」


「あんまり……太陽を直視するなよ?」


「も~……、モンスターに追われてても私の心配?」


分かってて、能天気なのかよ!?


馬鹿か!?


馬鹿なのか!?


「そんなに優しくしなくても、私はレイを嫌いになったりしないよ?」


こいつは……。


もしかして、昨日の事まで覚えてるんじゃないのか?


「レイが居れば、あんな私でも倒せるモンスターなんて怖くないよ~」


これが本当に嘘の仮面なのか?


女ってこえ~……。


「なんか楽しいね~?」


「速度を上げる。黙ってないと、舌をかむぞ」


俺は、日が暮れるまで走り続けた。


俺の背中からは……。


歌が聞こえていた……。


サリーが……。


本当に、サリーが楽しんでくれているなら……。


「あっ! 到着ね?」


「ああ……」


****


日が暮れ始めて、森の中にある川についた俺は、サリーを降ろした。


「喉渇いた~!」


「まて! そのまま飲むな。一度沸騰させてからだ」


「え~? 少しくらいいいんじゃないの?」


「ここで気を抜いて、お前に体調を崩されたら面倒だ。少しだけ我慢しろ」


「う~ん……。あ! 魔法で川に炎を!」


「止めろ。むやみに生態系を壊すな。十分くらい待て……」


「は~い……」


この世間知らずは、野宿の作法も知らん。


火をおこし、水を張った石の鍋を沸騰させる。


そこに、一昨日採って乾燥させた野草を入れる。


「うわ~! おいしい! 何これ?」


「体にいい野草だ。紅茶は無いが、これで我慢しろ」


「いい! 全然問題ない!」


さて、食料でも捕獲しに行くか……。


「レイ?」


「うん?」


「えへへっ……。ありがとう!」


****


俺の体内の魔力が落ちたせいもあるけど、ここの大陸のモンスターはレベルが高すぎる。


何でだろう?


付近に居るモンスターを、何時も通り全て斬り殺す。


そして、木の枝で眠る鳥の首を刎ねる。


森の恵みに感謝……。


ジジィから聞いたキノコと、野草を摘んでサリーの元へ帰る。


「……昼間あれだけ歌って、まだ歌ってるのか?」


「うん! 気分がいいと歌いたくならない?」


「俺はならん」


「私、これでも城の聖歌隊にも入ってたの! だから、歌うのが好きなの!」


そう言えば、記憶の中にも歌ってるシーンが出てたな。


【それも、現実から逃れる方法だったのでしょうか?】


『いや……。本当に楽しそうじゃ。純粋に好きなのかも知れん』


まあ、下手ではないな……。


【かなりの癒し効果があると思いますよ?】


まあ、天が二物を与えた奴なんて、嫌ってほど見てきたからな。


こいつもそうなんだろう。


きっと他の事も、色々出来るんじゃね~の?


【そこまで嫌そうに……】


天才なんて大嫌いなんだよ。


胸にチクリと痛みが走る。


ちっ……。


俺は、焼けた鳥肉を食べる。


「今日も美味しかった! ありがとう!」


こいつと居るとペースが乱される。


さっさと、ババァに会わないとな。


「へ~……。じゃあ、そのスケオキって人が、今は国で一番偉いの?」


「多分な……」


痛みが大きくなると共に、体中が脈動し始めた。


おかしいな。


「それから?」


「あのさ……。今日は寝む気はこないのか?」


疲れてないのか?


「うん! まだ、眠くない! 昨日、なんだか何時もよりよく眠れたの!」


ちっ……。


余計な事しちまった。


仕方ない……。


「俺は、モンスターがいないか辺りを見回ってくる」


「あ……うん」


流石に限界だ。


くっそ……。


****


サリーから見えない位置にまで移動した俺は、膝をついて血を吐き出す。


「ぐうう……」


体が強靭になったし、魔力への耐性も高まってる。


それでもこれか……。


聖魔合成魔力は、人間では絶対に扱えないって事か……。


くっそ。


『体内の金属が浸食を速めておるな……』


俺の意思に反応してるのか……。


いったい何に反応してるんだ?


本当に戦闘本能や殺意だけなのか?


【分かりませんね。私達も浸食速度から法則を捜していますが、まだ見当がつきません】


唯一は、以前のように戦闘中には発作が来なくなった事が救いか。


くそ……キツイな。


「うう……ぐうう……」


「……神の慈悲を、我の手に与えたまえ……ヒーリング」


うん!?


ちょ!


しまった! 接近に気がつかなかった!


俺の体に当てられたサリーの手からは、回復らしい魔法の光が出ていた。


見られた!


ちっ……。


もう少しで、おさまるってのに!


「それじゃあ、意味がない。……うっ……はぁはぁ……止めろ」


「うん……」


「心配無い。戻ってろ」


「うん……」


サリーは、意外にも素直にその場を離れて行った。


くっ!


ううう……。


****


それから、しばらくして焚火をしている場所に戻った。


サリーは膝を抱えて座っている。


さて、なんて誤魔化そうか。


「悪いな。少し持病があるんだ。魔法では回復できない」


「うん。回復できないのは、魔法を使ってみて分かった」


「ちょっと大げさなだけで、大した病気じゃない」


「……それも嘘」


えっ!?


それもって……。


「私、知ってるよ。何時もレイが、食料を確保するってモンスターを全部退治してるのを」


こいつは……。


「私が、魔力を感知できないと思ってるでしょ? 出来るんだよ。だから、毎日安心して眠ってたの」


マジかよ。


まあ、俺に出来るんだから出来る奴が居てもおかしくは無い。


会った事がなくて失念してた。


そう言えば、昼間も只の鳥と鳥型モンスターに気が付いてたな。


「レイは、何時もそうやって生きてきたの?」


「そうやって?」


「自分を犠牲に、人の為に生きてきたの?」


何言ってるんだ? こいつ?


「自分を犠牲にした覚えはない……」


「それは、本当にそう思ってるのね……。でも、守ろうとして戦ってない?」


こいつのは、もう勘ってレベルじゃない。


洒落になってないな。


「そんな事してる覚えもない……」


「それは、嘘。でも、きっと無理に聞いても絶対に喋らないんだよね?」


「いや……」


「貴方は、何を背負ってるの? 何を守ろうとしてるの?」


「何も……」


俺は、ただ単に自分がやらかした事の責任をとりたいだけだ。


死ぬ前に。


俺の不幸に巻き込まれて死んでいった奴等に、今更俺は何もしてやれない。


メシアや天使を殺しちまったんだ。


責任から逃げたくはない。


ただ、それだけなんだよ。


「自分にまで嘘をついて……。辛くないの?」


「何の事か分からん」


「そう……」


「ああ……」


「なら! 私が今から独り言! いい?」


そんな事、確認するなよ……。


「どんなに辛い人生でも、逃げなければきっと道は開ける! 人は幸せになる為に、生れてきたんだから!」


ふん……。


綺麗事だな。


世界や人生ってのは、もっと残酷なんだよ。


希望なんて、何の役にも立たない物だ。


しかし……。


「それは、お前の意見か?」


「あ……昔、先生が言ってたの」


やっぱりな。


こいつも人生に絶望してるんだ。


今みたいな綺麗事のセリフは、こいつから出るわけがない。


「もう一つ、先生が言ってたの。いくら助けたくても、その相手が幸せになるつもりが無ければ助けられないって……」


それこそ、恵まれた人間の意見だ。


自分が相手より幸せでなければ、言えない言葉だよ。


「そうか……」


恵まれた人間に、何が分かるってんだよ。


『ひねくれ過ぎじゃ。お嬢ちゃんが泣きそうになっておる……』


こいつも嘘付きなんだ。


本当かどうか分からんさ。


昨日は本当の事を指摘されただけだったけど、人の生き方まで口出しするのは受け入れてやれん。


【昨日? やはり、何かあったんですか?】


何でも無い……。


「お前は、人の事を気にする余裕があるのか?」


「それは……」


「まず、お前自身が頑張って幸せってやつになって見せてくれよ。そうすれば、考えてもいい」


「うん……」


「さあ、もう眠れ。明日も日が昇れば行動開始だ」


「うん……」


俺は、サリーが眠ったのを確認して修練を行った後、眠った。


****


「バシャ……」


うん?


水の音で目を覚ますと、辺りはまだ薄暗かった。


日の出……。


空に太陽と月が浮かぶ時間……。


「ふぁ~あ……」


あくびをしながら、俺は上体を起こした。


う~ん……。


水浴びか……。


悪夢で寝汗でもかいたか?


まあ、ここまで知り合った相手を覗くのも……。


いや……。


でも……。


う~ん……。


サリーが美人なのは、確かなんだよな~。


でもな~……。


後、最低一日は一緒に過ごさないといけないんだよな~。


どうすっかな~。


水浴びをしているらしい、サリーの姿は朝靄ではっきりとは見えない。


あいつ嘘を見通しそうだしな~。


でも、チャンスは逃したくないな~……。


でも、ここで変なことすれば卒業のチャンスがなくなりそうだしな~。


う~ん……。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


へっ?


俺が、腕を組んで悩んでいる間に朝靄がはれていた。


悲鳴を聞いて振り向いた先には、既にタオルで体を隠すサリーの姿が……。


おいおいおい……。


もしかして、見ても無いのにって何時ものパターンですか?


マジでか?


おふぅ!


タオルを巻いたサリーに、ビンタをもらいました。


やっぱりねぇぇぇぇぇぇ!


そんなこったろうと思ったよぉぉぉぉぉぉぉ!


****


俺達はそれから会話もなく、朝食を食べていた。


「見た?」


「見てないよ……」


「あ……本当に見てないんだ」


「そうだよ……」


まだ、会話してくれるだけ今回はマシか。


何時もなら嫌われて終わりってパターンが多かったしな。


「あのね。一応言い訳してもいい?」


「どうぞ……」


「昔、一度城の兵士の人に入浴を覗かれたの」


「で?」


「日頃温厚な先生が、その兵士を平手でうちすえたの」


「で?」


「先生は、生涯で一人と決めた男性にしか裸を見せちゃいけないって、教えてくれたの」


「で?」


「でね? 暴力は絶対駄目だけど、痴漢行為に対しては絶対一度はお仕置きが必要だって……」


妖怪ババァァァァァァァァァ!


お前のせいで、俺は二回も殴られましたよ!


絶対お仕置きって、何ですか~!?


てか、爬虫類の水浴びに濡れ衣なんですけど~?


てか、初めて追いかけてきた時どれだけ必死になってたんだよ!?


どれだけ先生の言う事を、忠実に守ろうとしてるんだよ!?


軽く殺そうとしてたのは、お仕置きじゃない!


死刑って言うんだ!


こいつ馬鹿だ!


クソババァがぁぁぁぁぁ!


「そんなに怒らないで~……」


「怒ってない」


「怒ってるじゃない!」


「怒ってないって!」


「う~……」


あれ?


でも、ババァが一緒に居た時に覗かれた?


「あのさ?」


「なっ! 何?」


「覗かれたのっていくつの時?」


「十一歳の時」


なるほど……。


「その兵士って、ロリコンの変態だな」


「うん。先生も同じ事言ってた」


あれ?


ババァがキレたのって、そいつが変態だからじゃね?


俺、やっぱり殴られなくてよくね?


ああ! もう!


「もう、怒ってないからさっさと飯を食え。食ったら出発だ」


「うん! レイは優しいね」


「はっ?」


「一緒に居ると、相手の気持ちを楽にしていくんだね?」


なんか、みんなそう言うな。


「知らん」


「えへへっ。何でだろう? レイと一緒に居ると、私も本当に笑えてる気がする」


「そうか……」


それは何よりだ……。


うん?


「どうした? 辛い物は入れた覚えはないが、辛かったか?」


顔が真っ赤になってる。


あれ?


なんか変な物いれたっけ?


「いいな~。レイは、そうやって本当に笑えるんだね」


「は? いや……辛くないのか?」


「うん」


「そうか……」


「でも、本当に鈍感……」


「あ? なんだって? 聞こえないよ」


「何でも無い! さあ、早く食べよう!」


そう言ったサリーの笑顔は……。


ちゃんと笑えるじゃね~か。


まあ、俺が気をもむ必要も無かったな。


やっぱり、美人は笑顔が一番だ。


「えい!」


「痛っ! 何するんだ!」


フォーク投げてきやがった!


馬鹿か!?


「レイの、その笑顔駄目!」


「はぁ~?」


脳みそが沸いてるのか?


「だって! ドキドキして、折角のご飯の味が分からなくなるんだもん!」


はぁ~?


「早く~。早く出発しようよ!」


こいつ……。


「ね?」


くそ……。


いい顔で笑うな……。


【薄々は、分かってるんじゃないですか?】


『こいつに素直さを求めてはいかん』


【まあ、そうでしょうね】


五月蝿いよ!


さっきから黙ってると思ったら、何考えてるんだ!


『お前の馬鹿さ加減を、再確認しておった』


【子供の恋愛を、暖かく見守ってました】


ちょ! おま!


「ねぇ~! 早く行こうよ~!」


「あ! ああ」


覚えてろよ!


このクソ共が!


【ほらほら! サリーさんが待ってますよ?】


『ほれ、急げ』


むぅぅぅぅかぁぁぁぁぁつぅぅぅぅぅくぅぅぅぅぅぅ!



俺にはサリーと旅をしたこの数日が……。


楽しかったんだ。


毎日モンスターと発作に襲われるし、訳のわからない我がままに振り回されるけど。


サリーの歌も嫌いじゃないし……。


サリーが笑ってくれると、無性に嬉しくなる。


情けない俺は何時もそうだ……。


気を抜いてしまう。


今はそんな時じゃないのに……。


俺は、自分が大嫌いらしい。


嫌になってくる。


ふ~……。


やってらんね~……。

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