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Mr.NO-GOOD´  作者: 慎之介
第六章:啓示の救世主編
79/106

十三話

「どこにあるんだ?」


メシアの部屋を探し始めて早二日……。


見つからないんですけど!?


なぁ~?


お前本当に何も知らないの?


【残念ながら】


使えん! こいつ使えん!


『まったくじゃ!』


【なっ!? 賢者様まで!】


聖書の原本って、何処にあるんだよ~?


『やはり、あの不思議な材質の本かのぉ?』


え~?


やっぱりあれが大元?


でも、逆に情報が少なくなっただけの本だぜ?


【原本とは、そういうものではないですか? 増えている部分は、後で書き足されたのでは?】


まぁ、そうなのかな?


あの世からの亡者が復活するのと、世界で大きな戦争、天使の人類への攻撃に、天変地異か。


メシアと悪魔に関する記述が全くないな。


まぁ、俺だけが読める文字だし、見た事もない材質でできた本だし……。


一番それっぽいか……。


それよりも!


『そうじゃ!』


神様との交信用アイテムって何処だよ!


それが一番欲しいんだよ!


【それは、分かりません】


使えん! 使えんぞ! こいつ!


『使えん若造じゃ!』


【そんな事言われても……】


あ~あ……。


面倒だな~。


やってらんね~……。


****


俺は、魔力を感じた物全てを床に並べた。


普通のマジックアイテムしかないしな~。


他に、魔力があるのは……。


あの、訳の分からないゲートみたいなのくらいか?


『そうじゃな。豪華ではあるが、アイテムには見えんな』


ですよね~。


どっかに設置予定だったものかな?


金だよね? これ?


【たしか……弟がよくこのゲートの中に立って、一人ごとを言ってましたね。何でしょうかね?】


はぁ~!?


ちょ! お前!


『最悪じゃ、この若造!』


そうだ! このバカ造が!


【えっ? 何が?】


これが交信用アイテムだよ!


ちょっと考えれば分かるだろうが!


『そうじゃ!』


早く! 言えよ!


俺の二日間返せ!


【でも、お二人も分からなかったじゃないですか……】


『黙れ! 若造が! それよりも、どうやって使うんじゃ?』


【はぁ~……。中に立って、魔力を出してましたね。私はてっきり、魔力を測定でもしてるのかと……】


黙れ! 馬鹿造が!


どうしよう……。


やっぱり、やってみるかな?


『そうじゃな……』


****


俺は、ゲートの中に立ち、左腕に魔力を流してみた。


「うおおおおお!」


その瞬間、頭の中に映像?


いや! 情報が流れ込んできた?


何だこれ!?


聖書に書かれていた情報が、映像として見える。


くそっ!


なんだよ? これ!


頭が割れそうだ!


映像の中で、人が大勢死んでいく……。


老若男女関係なく、圧倒的な力で人が死んでいく……。


空が闇に包まれ、海は真っ赤に染まる。


そして、人の築いたものが全て壊される。


これはいったい何だ?


俺が見ている映像の文明は、明らかに今よりも発展しているように見える。


未来の映像?


そんな事あるわけがない!


只の幻覚なのか!?


俺の見ているこれは、いったい何なんだ!?


人々が抵抗しているようだが、化け物達にどんどん殺されていく……。


何なんだよ!


(それこそ、過去の映像だ)


なっ!?


誰だ!


(私は神……。さあ、新たなメシアよ。人類を導くのだ)


がああああ!


頭が割れる!


(滅びの道から救うのだ。優秀な遺伝子を持った三百人の人間を……)


三百人!?


何を!?


(それ以上は救えぬ……。さあ、真に覚醒するのだ)


やめろ!


くっそ! 頭が!


(さあ!)


意識が……。


『しっかりせんか!』


【私達がついています!】


ジジィに若造……。


頭の痛みが……。


【情報流入を、私達が肩代わりします!】


よし! 意識がはっきりしてきた!


これが啓示ってやつか!?


早く、ここから出ないと……。


うん!?


これは……。


ジジィ! 若造!


後、どれくらい我慢できる?


『なんじゃ!? まだ、もつが……。長くは無理じゃぞ!?』


悪いが少しだけ我慢してくれ!


【ぐうぅ! どうしたんですか!?】


情報に!


情報の先に気配がある!


今、確かに神と繋がってるんだ!


遡ってやる!


『分かった! 早くせい!』


(愚かな……)


おおお!


俺の意識は、情報の波を遡った。


白い光の先に……。


玉座に座る……。


あれが神!?


実体がある!


場所! 場所は?


****


(あくまで抗うか、死神の産んだイレギュラーよ……)


神の力なのだろうが、俺の意識が離れている間に、ゲートが燃え上がり始めた。


もう少し! もう少しで奴の居場所が!


ん?


熱!!


あじゃじゃじゃじゃ!


【いけない! 意識を身体に戻して下さい!】


うおおおお!


「はぁはぁ……。危ねぇぇぇ……」


意識をなんとか戻せた俺は、燃え上がるゲートから、転げるように逃げ出した。


はぁぁぁ……。


あ~あ……。


面倒な事になった。


『むう……』


【ふぅぅぅ……】


俺達は情報を遡り、ある事が分かってしまった。


今見せられた映像は、真実だ。


過去の映像ではあるが、同じ事がこれから始まるらしい。


はぁ~……。


【どうしますか?】


ああ?


馬鹿かお前?


【はっ?】


『やる事は、決まっておるじゃろうが』


最低三百人以上で生き残るんだよ!


じゃないと、俺がやった事が洒落にならなくなるじゃないか!


馬鹿だろ! お前!


【しかし……】


いやいや! お前、自分で地獄って言ったじゃん!


何故ここでしり込みするの?


【あれは、あの三人の事で……】


そんなもん地獄でも何でもないんだよ!


『そうじゃ! ある意味いつも通りじゃ!』


そうだ!


あ……目から汁が出る。


【それでは?】


神に実体があるって分かったからな!


『うむ!』


殴り倒しに行くんだよ!


【なるほど……】


あっ……。


でも、願い叶えてくれるって言ってなかった?


『なんじゃ? 未練がましい……』


彼女……。


『アホか! お前は!』


【情けない……。この後に及んで煩悩ですか?】


五月蝿い!


かなり重要事項なんだよ!


死ぬ前にせめて……。


「あの? 英雄様?」


おっと……。


「なんだ?」


本部探索を手伝ってくれているヒルダが、いつの間にか部屋へ入ってきていた。


「ゴルバさんが……」


「そうか! じゃあ、病院に行くかな。あ! あと、あっちは?」


「囚われていた人と信者達を送り届けるように、マルカの王が取り計らってくれました」


「悪いな。手伝わせて……」


「いえ……。私は、英雄様に二度も救われました」


「じゃあ、ヒルダ。俺は、病院に行くよ」


「はい! こちらは任せて下さい」


「ああ……」


****


俺は、教団本部から病院へ向かった。


回復を行ったが、体力低下で二日ほどゴルバが目覚めていない。


ゴルバには頼みたい事があるから、早く目覚めて欲しかったんだ。


「どうだ?」


「ああ。問題ないようだ」


病室に行くと、食事を済ませたゴルバが柔軟運動をしていた。


まあ、怪我は完全に治したから大丈夫だろう。


「それより、あれからどうなったんだ? この状態を見る限り、解決したのは分かるが」


「ああ、あの失敗作って言われてた聖剣と契約して、メシアを倒した」


「そうか! それで?」


「三人を助けて、信徒二人と地下にいた怪物は全部処理したよ」


「三人は?」


「まだ寝てる。相当酷い目にあったからな」


「何があったんだ?」


「え~っと……」


俺は、あの日の事を細かく説明し、ゴルバに頼みごとをした。


「そんな! お前は……」


「悪いが頼まれてくれないか? お前にしか頼めないんだよ」


ゴルバは顔をしかめたが、やがて大きく息を吐き出した。


「ふぅぅ……。その目は何を言っても無駄なんだろう?」


「ああ……」


「引き受けよう。俺は、お前の従者だ……」


最後まで上からかよ……。


「頼む……」


俺は、ゴルバと一緒に部屋を出る。


そして、途中で買った花束を持って三人の病室へ……。


部屋に入ると、メアリーとリリスがベッドから上半身を起こしていた。


よかった……。


「ゴルバ? ここは何処だ? ここはいったい……」


「病院だ……」


「それは、分かりますが……」


「説明はゆっくりしてやる……」


「そうか……。魔将軍が入院とは締まらないな……」


「そうでもない……」


「その前に、一ついいですか?」


「なんだ?」


「何故ここに、薄汚い人間がいるのですか? 汚らわしい!」


「そうだ! それに、そこに寝ているのはエルフではないのか!?」


「それも、説明しよう……」


****


二人をなだめる事をゴルバに任せ、俺は看護師を呼びとめカーラだけ病室を移した。


まだ目を覚まさないカーラを、俺は抱き上げ、看護師の後について病室を移動した。


ベッドに寝かせた瞬間、カーラが目を覚ました。


バシンと乾いた音が、病室内に響く。


痛いな……。


いきなりビンタかよ。


状況も分かってないくせに。


「触るな! この下郎が!」


そう言えば、こいつこんなんだったよな~。


「私に何をした!? 返答によっては、ただでは済まさんぞ!」


どう見ても危害を加えたのって、俺じゃないだろうに……。


「おい! 何処にいく貴様! おい!」


部屋を出るとヒルダが立っていた。


「英雄様……」


「手間だが、カーラの事……頼むな?」


「はい……。あの……」


「目的はさっき達成した。俺は、行くよ」


「あの!」


「頼んだぞ。じゃあな」


俺は、振り向かずにヒルダに手を振ると病院の出口へと向かう。


****


『皮肉なもんじゃな……』


あいつらが無事なんだ、問題ない。


【あの方法しか……】


だから……。


いいんだって!


これでよかったんだ!


これで……。


『確かに、これより我らが進むは闇の道』


ああ……。


あの三人は、十分すぎるほど苦しんだ。


もう、十分だ。


三人は、俺への想いから聖剣になる事に……神に抗い続けた。


それが、地獄の苦しみを伴うにも関わらず。


そのおかげで、聖剣化がなかなか進まなかった。


でも、身体を復元し聖剣の種を取り出しても、二度と目覚めない心の迷宮に迷い込んでしまった。


若造曰く、想いが余りにも強すぎたせいらしい。


だから、聖剣の力を使い……。


記憶を封印した。


俺への想いが、二度と目覚めない眠りにつかせてしまった。


目覚めさせるには、それを取り除けばいい。


ただ、それだけの事だ。


それで、三人は……。


幸せになる……。


なんの問題もない……。


ゴルバとヒルダがレーム大陸に送り届ければ、幸せに……。


問題ないんだ……。


****


「どうした? どこか痛むのか?」


「分かりません……。なんですか? これは……」


「なんだ? リリムが泣いているのか!?」


リリムの記憶も封印してるよ……。


「カーラ様!? どうされたんですか!?」


「いや……。なんなのだ? いったい私は……」


二つの病室に分かれた三人の目から、同時に涙が流れ落ちる。


まあ、その時の俺にはそんな事分からないんだけどね~。


****


病院の玄関を出た俺は……。


三人がいるはずの病室に、一度だけ振り返りそうになる……。


だが、ギリギリで我慢できた。


情けない。


俺の心は、まだまだ修行不足のようだ。




さあ!


行こうか!


『うむ!』

【はい!】


さて、これからどうなるんだろうな。


きっと面倒なんだろうな。


あ~あ……。


やってらんね~……。

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