第8話 3年2組担任~若井亮介休み時間に愚痴をこぼす
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謹んでお届けします。
適応教室のことを保護者や子どもたちに伝えてきたが、6月になっても教室はからっぽだ。これはやはり、ポン先生のイメージが適応教室に合っていないからだと思われる。
わたしは校内を歩いて、困り感のある子どもに声をかけるってことをしている。
午前10時。休み時間になった。
わたしも一休みする。職員室でミカさんとお茶を飲むのが日課になってきた。
担任の先生方が、慌ただしく職員室にやってくる。
電話をかけたり、プリント類をコピーしたり。
愚痴をこぼすのもよくある光景。
お茶が飲めるスペースがある。
ミカさんとわたし、その日によって違うけれど、担任の先生方も来る。
一緒にお茶を飲みながら、子どもたちの話を聞くのも大事な仕事。
「適応教室を勧めている子がいるの。五月雨タイプの不登校でね……」
なんて話も時々聞くことができる。
時計は、10時10分を示した。休み時間って時間が進むのが早い。
3年2組担任の若井亮介先生が、コーヒーをマグカップになみなみ注いだ。
横顔を見て、ちょっとだけキュン。
学年主任の4年1組担任林田先生カップにもコーヒーを注いでいる。
わたしは聞き耳を立てた。
4年2組は最近、欠席児童が増えている。
「先輩聞いてくださいよ。もう、やってらんないっす」
「どうした?」
「ヒナタとケンスケが授業妨害。
立ち歩いて、友だちにちょっかい出して、逃げ回る」
「うわあ、何の授業で?」
「道徳っすよ。働くことの大切さを勉強しているのに。あいつら……」
「よくあることなの?」
「このごろは、だいたいそんな感じですね」
「そか。しんどいね。で、どう対処したの?」
「腹が立ったんで怒鳴りました。
ケンスケはごめんなさいって座ったけれど、
ヒナタは『なんでいけないんですか? 道徳つまんないから、こうしたほうがみんな喜ぶでしょ。なんでぼくだけ叱るんですか?』とかぬかして。
ただでさえ、女子の親から『クラスがうるさい』ってクレーム来てるのに、
だからびしっとやろうとしているのに、これなんですよ」
「そうかあ」
「ああ、もういやになるなあ。6年担任に戻りてー。6年生は人間ですからね、
6年だったら、『人に迷惑かけていいのか? え? どうなんだ?』っていうと、それなりに真剣に考えますからね。
3年って赤ちゃん。ヒナタもケンスケも赤ちゃんっす」
「うーん、そうかあ」
「はあ……、3時間目の授業、嫌だなあ。先生なんかやめて、実家の家業を手伝おうかなあって思いますよ」
「今年度中は辞めないでね。代わりの人とか、絶対に来ないよ。超絶教員不足」
「代わりは来ないでしょうね。ブラックですからこの仕事。 結局安い給料で、定額働かせ放題」
「ところで、昨夜は何時まで学校にいたの?」
「午後10時ですよ。昨日が学習指導案の締め切りだったでしょ。なかなか完成しなかったんで」
「ああ、英語の研究授業か。研究主任が張り切っているからねえ。
締め切り厳守ってずっと言ってるものね」
「昨夜は女子の親の電話対応もあって……『クラスがうるさいから行きたくない』と言ってるって。カナなんですけど。登校渋りは去年からじゃないですか、あの子。
まるで俺の学級経営が悪いみたいな言い方されて、もう、やけくそですよ」
「でもちゃんと指導案出したのね、偉いじゃなーーい、若井さん」
チャイムが鳴った。若井は深いため息をついた。
「俺が不登校になりそうですよ」
「うんうん。放課後、ゆっくり話をきくよ。3時間目もがんばって」
「ああ、ヒナタにはガツンと言ってやりますよ」
若井先生と林田先生は並んで教室に戻っていった。
わたしは、その話を頭の中で繰り返した。そして、お茶コーナーを整頓した。
ティーバックを同じ向きにそろえて、ゴミを捨てる。
敬愛する就業支援スタッフさんに教えてもらったこと。
「みんなが憩える場所は、清潔に整えよう」
でも、やっぱり若井先生の話が気になる。
ヒナタくんも、何かストレスがたまっているんじゃないかな。来てくれたら話を聞くのに。
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