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適応教室指導員 ポン&カン ~「助けて」と言えなかった親子のための教室~ ここは孤独と向き合う最前線です  作者: さとちゃんペッ!


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9/9

第8話 3年2組担任~若井亮介休み時間に愚痴をこぼす

ご覧いただきありがとうございます!

謹んでお届けします。

適応教室のことを保護者や子どもたちに伝えてきたが、6月になっても教室はからっぽだ。これはやはり、ポン先生のイメージが適応教室に合っていないからだと思われる。

わたしは校内を歩いて、困り感のある子どもに声をかけるってことをしている。



午前10時。休み時間になった。

わたしも一休みする。職員室でミカさんとお茶を飲むのが日課になってきた。


担任の先生方が、慌ただしく職員室にやってくる。

電話をかけたり、プリント類をコピーしたり。

愚痴をこぼすのもよくある光景。


お茶が飲めるスペースがある。

ミカさんとわたし、その日によって違うけれど、担任の先生方も来る。

一緒にお茶を飲みながら、子どもたちの話を聞くのも大事な仕事。

「適応教室を勧めている子がいるの。五月雨タイプの不登校でね……」

なんて話も時々聞くことができる。




時計は、10時10分を示した。休み時間って時間が進むのが早い。

3年2組担任の若井亮介先生が、コーヒーをマグカップになみなみ注いだ。

横顔を見て、ちょっとだけキュン。


学年主任の4年1組担任林田先生カップにもコーヒーを注いでいる。

わたしは聞き耳を立てた。

4年2組は最近、欠席児童が増えている。

「先輩聞いてくださいよ。もう、やってらんないっす」

「どうした?」

「ヒナタとケンスケが授業妨害。

立ち歩いて、友だちにちょっかい出して、逃げ回る」


「うわあ、何の授業で?」

「道徳っすよ。働くことの大切さを勉強しているのに。あいつら……」

「よくあることなの?」

「このごろは、だいたいそんな感じですね」

「そか。しんどいね。で、どう対処したの?」


「腹が立ったんで怒鳴りました。

ケンスケはごめんなさいって座ったけれど、

ヒナタは『なんでいけないんですか? 道徳つまんないから、こうしたほうがみんな喜ぶでしょ。なんでぼくだけ叱るんですか?』とかぬかして。

ただでさえ、女子の親から『クラスがうるさい』ってクレーム来てるのに、

だからびしっとやろうとしているのに、これなんですよ」


「そうかあ」

「ああ、もういやになるなあ。6年担任に戻りてー。6年生は人間ですからね、

6年だったら、『人に迷惑かけていいのか? え? どうなんだ?』っていうと、それなりに真剣に考えますからね。

3年って赤ちゃん。ヒナタもケンスケも赤ちゃんっす」


「うーん、そうかあ」

「はあ……、3時間目の授業、嫌だなあ。先生なんかやめて、実家の家業を手伝おうかなあって思いますよ」


「今年度中は辞めないでね。代わりの人とか、絶対に来ないよ。超絶教員不足」

「代わりは来ないでしょうね。ブラックですからこの仕事。 結局安い給料で、定額働かせ放題」


「ところで、昨夜は何時まで学校にいたの?」

「午後10時ですよ。昨日が学習指導案の締め切りだったでしょ。なかなか完成しなかったんで」

「ああ、英語の研究授業か。研究主任が張り切っているからねえ。

 締め切り厳守ってずっと言ってるものね」


「昨夜は女子の親の電話対応もあって……『クラスがうるさいから行きたくない』と言ってるって。カナなんですけど。登校渋りは去年からじゃないですか、あの子。

まるで俺の学級経営が悪いみたいな言い方されて、もう、やけくそですよ」


「でもちゃんと指導案出したのね、偉いじゃなーーい、若井さん」


チャイムが鳴った。若井は深いため息をついた。

「俺が不登校になりそうですよ」

「うんうん。放課後、ゆっくり話をきくよ。3時間目もがんばって」

「ああ、ヒナタにはガツンと言ってやりますよ」

若井先生と林田先生は並んで教室に戻っていった。


わたしは、その話を頭の中で繰り返した。そして、お茶コーナーを整頓した。

ティーバックを同じ向きにそろえて、ゴミを捨てる。

敬愛する就業支援スタッフさんに教えてもらったこと。

「みんなが憩える場所は、清潔に整えよう」


でも、やっぱり若井先生の話が気になる。

ヒナタくんも、何かストレスがたまっているんじゃないかな。来てくれたら話を聞くのに。



最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!

いかがでしたか?


感想をいただけるとすごく励みになります。

次回もどうぞお楽しみに!


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