第9話 興味
闇市で、情報屋リズに出会ったが、リズが背負い込んできた面倒事に烈達は巻き込まれてしまった。
「私は居場所を転々としているんだよ〜!だけど今回はさすがに長居しすぎたかな〜!」
そう文句を垂らすリズは素早く、私兵を5,6人倒す。その時烈達を縛る影は解放され自由になる。リズはあまりの人数に苦戦を強いられている。
烈が提案する。
「よし、助けてやるからその対価として情報をよこせ!」
突拍子のない烈の提案にリズは呆気にとられていた。
傭兵の1人が大剣を振り上げる。ルナの火輝石魔法が炸裂、振り上げた剣が炎が傭兵の鎧に当たった時、熱伝導により傭兵を火傷させ戦闘不能にした。。
ミリアの風の刃が援護し、傭兵に傷をつけ吹き飛ばす。
セレナの結界がミリアとルナ達が対処できない攻撃を防ぐ。
リズの闇輝石魔法が影から傭兵を刺す。
烈が気合を入れる。
「くらいやがれぇ!」
平等の天秤発動。
カァーン
辺りは白く光り、やがて晴れると
力は平均化されていた。
「なにこれ、不思議な感じだよ〜」
リズが知らない感覚が身体を襲う。
「今だ、みんな! ぶっ飛ばせ!」
傭兵の力が弱まり、ルナの炎が轟く。
しかし数が多い。力が一緒でも数が多ければほとんど無意味だ。ルナが押される、セレナが護衛でいっぱいいっぱいだ。
ミリアも不意打ちが出来ないため正面で戦う。
でも押されてしまう。不利だ。
こうなればまた逃げるしかないのか……
いや違うだろ。
烈は過去の記憶がその行動を無くした。
「うぉー!」
烈は私兵達の頭上へ出る、「平等の天秤」の発動のせいで体力が多少失われている。しかしだからなんだというのだ。
自分ばかり引いてたら
「平等じゃねぇーだろ!!」
1人の傭兵を押し倒す。そして、乱雑に強引に私兵を殴りまくる。他の傭兵に反撃も食らう、痛すぎる。傷を負う、鋭い痛み。負けない!
ミリアとリズが烈が注意を引いてる間に着々と敵を薙ぎ倒す。
ルナが炎ためる。初めて見る技だ。
「レツが、自分の身を犠牲にして頑張っている。私も貢献しなければ!」
メラメラと湧き上がった火炎は、収束し、粘度の高い炎剣となる。
その隙に攻撃をされないようにミリアが先陣を切りルナを援護する。
「うぉーだぁぁー!」
風と共にミリアは私兵を殴る。
そして溜まりきったそのルナの剣に宿る炎は私兵達を包み、焼き払った。
その後の戦いは終わった。リズが短剣を収め、微笑む。
「君たちすごく強い人だよ〜。まるで私とおなじ強さみたいかな〜。」
核心を突かれた。
「鋭いな、さすが情報屋。」
烈はリズに「平等の天秤」について説明した。
リズはとりあえず烈達を信用したようだ。そして、烈に興味がとてつもなく湧いたようだった。
そして烈はリズと話し合う。
「君は、シャルトを使って叶えたい願いは平等だよね〜」
烈は頷いた。
「異端だね〜。」
リズが褒めるような笑顔でそう言うと今度は不気味に微笑んだ。
「でも力が弱い気もするかな〜」
だが烈には平等の天秤がある。
そう言おうとした時、リズは察した。
「平等の天秤、面白い能力だけど自分には使えないでしょ?ならさ、もし自分以外の味方が居ない時の対策とかしてるかな〜?」
烈はそこまで気を使ってなかった。
今までは仲間がいる前提。だがデザイアルでどうなるかは分からない。
「1つヒントを出してあげるよ〜、さっきの戦闘の借りね〜」
烈はこくりと頷く。
「応用だよ〜。自分でも勝てるように工夫をするかな〜。平等の天秤を使い、相手を弱体化させた時できることだよ〜。それはまともな戦いだよ〜。さっきの戦いより、君は基礎的な体力を持ち合わせていないことがわかったかな〜」
真っ当なこと。
その言葉を烈は深く刻む。このままではいけないからだ。
リズは言いたいことを言い切ったあと、話を切り替えた。
「デザイアルの予選のことだよね〜?、こっち来て欲しいかな〜」
そう言うと酒場を出ていった。
◇◇◇
そして酒場を離れ、人気の少ない場所へと移った。
薄暗く、情報の受け渡しに最適だ。
「んじゃ、早速情報を吐いてもらうか」
烈は本題に入る。聞くことは、デザイアル予選の会場だ。
「あのね〜、そんな犯罪者みたいな聞き方しないで欲しいんだよ〜…。あくまで取り引きなんだからね〜」
烈はワクワクしている。
しかしリズは予想と違うことを言った。
「お金あるかな〜?。」
料金の要求、しかしそんなもの誰も持ってる訳もなく。そもそも戦闘の借りがあるはずだ。そう約束もした。
「さっきの借りはもう返したんだよ〜。だからチャラかな〜。今はもう恩人でもなく、ただの提供者と客だよ〜。まぁ、持ってないよね〜。じゃあ、」
リズの視線が冷たく光る。
烈は冷汗をかく。
「私もデザイアルへ連れてって欲しいかな〜。」
笑顔でそう言ってきた。
その笑顔は殺気も何もなく。裏も無さそうに見える。
何を企んでいるのか分からない。
だが、烈は行きたいと言ってるなら行かせてあげたかった。
「……おう、いいぜ!」
軽やかに答えた。
烈は一応注釈する。
「人数は多い方が有利だ。でもいいのか?願いは平等という願いだが。」
リズは笑顔で
「別にいいよー願いが欲しいんじゃなくて、過程が欲しいんだよ。」
烈は不思議に思う。
「過程?」
リズは上をむく。
「そう過程。これから私たちは努力してシャルトを手に入れる。その過程を私は楽しみたいの。別にシャルト自体は欲しくは無いよ。」
「ただ君たちがデザイアルの絶望に立ち向かうところをね。」
烈はますます分からない人間、と思った。だが、手の内を知ったことで信頼感は増した。少しだけではあるが、このパーティーの団結力は高まったようだ。
リズが新たに仲間に入ったことで
条件を満たし、情報を言ってくれた。
「そうだね〜、予選はルミナリスの主要都市、セントラル・ルミナにあるかな〜。言うても、町外れにあるみたいだね〜。」
そこは蒸気管が絡まっており、セントラル・ルミナが放つ、神々しい輝石の光。そして闘技場の周りには光とは対比の極みである。国と輝石教会が共同で支援している。
「でも最近は、予選が始まるから、より厳重なセキュリティが施されてるみたいかな〜。」
闘技場周辺は綺麗に「掃除」されているだとか。神々の政に逆らうと人間はどうなるか分からない。
「へぇ〜。そんなのに俺らが行くのか」
烈が言葉を落とす。
「何を気ーおとしてんだよ、大丈夫だって。そんなんじゃ平等なんて夢のまた夢だぞ?」
セレナが励ます。
「……お前そんな優しかったっけ。」
いつもと違う態度に烈は困惑を浮かべる。
「いつもこんなんだろ。逆にお前はそんなに臆病だったか?そんなんじゃなんにも勝てねーよ。」
なんともごもっともな意見だ。予選を勝ち抜くには、それ相応の覚悟と、チームワークすなわち「絆」が無ければ勝てない。
平等を目指すためにやってんだろーが。鈴木烈。
喝を入れる。
しかし、ふと
「こんなパーティーで俺らは勝てるのか……」
と烈はみんなの動向を探った。
すると、ミリアが突っかかる。
「んなぁー!失礼だなぁ!私はいい相棒でしょ!」
「どんな時でもレツの味方!親密度も底が見えないほどに深すぎる!これを相棒と言わなくなんと呼ぼうか!」
ミリアは腰に手を当て、鼻を高くし誇らしげに言う。
ミリアはすっかり烈に馴染んでいる。
「レツ、1人ではこの先やっていけないぞ?お前の平等の天秤も戦闘役がいなければ意味は無い。それとな、私も考えを改めたいんだ。」
「平等という信念の強さも、この予選を勝ち抜ければきっと答えは出てくる。」
ルナは覚悟を決めているようだ。完全にこのパーティーを信じきっている。
セレナが激しく突っ込む。
「私をここまで連れてきたんだからちゃんと見返りないと許さなーーい!。手ぶら無しで、というか平等にしなかったら、私殺されるよ!!」
セレナは息を吸う。
「絶対勝たせてよ」
将来への希望を胸に、
「気持ちがマイナスなら面白くないかな〜。どうせなら命がけに楽しく、行くんだよ〜。」
新たな仲間と共に、
「それじゃ行くか、セントラル・ルミナ!餞別の闘技場へ!」
「おー!」
烈の叫びに呼応する。
ついにワンステップを踏み込もうと決心した。
さっさと終わらせて平等にしたい。
そして烈達は次の目的地、デザイアル予選会場ヘと向かった。




