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第30話 水と油

ついに始まる。神が主催する、欲望渦巻く信念の戦い。デザイアル。


開始は、0時0分ちょうどに始まる。


「よし、行くぞ。」


ーーー


開始48時間前


デザイアル開始までかなりの時間があるが、デザイアルの会場はとてつもない観客に見舞われていた。


観客以外にも、下見として来ている出場者もちらほらいる。


「へぇ〜、予選会場を破壊してこうなったのかな〜。元々仕組まれていたのかな〜」


そして平等を目指す人間の仲間もまた、情報を得ていた。



「ねぇ〜レツー。本番まで暇だよぉぉ……。」


セントラル・ルミナの喫茶店で軽く昼食をしていると、ミリアがそう叫ぶ。


「少し、早く着きすぎてしまったな。完全にやらかした。」


烈も少しの計画の齟齬に若干の冷や汗をかく。


「私のせいですか?」


申し訳なさそうにエリカが見上げる。

そんなエリカをミリアが抱きしめる。


「違う違うよぉーレツの計画性の無さだよー。エリカは居てくれるだけで癒しだよー!」


エリカは嬉しそうな顔をした。


何もすることなく暇なので、デザイアル会場に向かおうとするが、大事なことに気づいた。


烈は震えた。


「まてまてまてまて、デザイアル会場知らない……。」


ミリアが口を開け青ざめる。

烈達があたふたすると、エリカが提案した。


「と、とりあえず予選会場に行きません?」


その提案に烈は


「いいなそれ!よ、よしゃ行こう!さすがエリカ!」


「うれしいです」


そう言って、昼食を終えたあと、爆速で予選へ向かうことに。


「レツお兄ちゃん、デザイアルについてもう少し教えてくれません?」


予選へ向かう途中にエリカに問いかけられた。

詳しくはあの巻物に書いてあった通りだが、説明するならリズの方が上手い。


「ざっくり言うと、それぞれの思想を持つ1000人の内から戦い抜いて、たった1名の優勝者を決めるって感じ。試練内容に関しては知らされてない。ただ神主催ということもあるしな、油断しない方がいい。」


と、記憶を辿り説明した。エリカは納得して、歩みを速めた。手を繋いでるため、烈も強制的に引っ張られていく。


「そうなったらですよ!レツお兄ちゃん。敵情視察と行きましょう!」


「デザイアル本戦会場の場所もわかってないのに……。」


走りに走り数分後


深く緑が茂っているが木々の間を覗き見ると、荒野が写り更に奥へと視線を写すと果てしなく大きい建物が見えた。


「あれさ、予選会場じゃないよね?」


ミリア達の記憶違いなどではなく、それは真新しく予選会場では無くなっていた。


「そのはずなんだけども」


3人が驚愕しているとコツコツコツと後ろから何かが聞こえてきた。


「恐らく、予選会場に何らかの仕掛けがあって、その仕掛けが発動したために生まれた建造物ってことだよ〜。」


全員後ろを向くと知っている顔があった。


「2人とも久しぶりだよ〜。元気にしてたかな〜?」


「リズ!」


リズの顔を見てミリアは喜ぶ。そしてぎゅーっと思い切り抱きつく。


「ミリアちゃんも相変わらずだよ〜。ほんとに修行してたかな〜?。」


リズの姿を見てみると、特に目立った変化はないが、よく見ると少しだけ傷があるというところだろうか。


「ところでレツくん、その子はだれかな〜?」


リズがエリカについて問う。烈がエリカを見ると烈の影に隠れていた。烈は正直に誤解のないように話す。


「この子はエリカ。1ヶ月間で仲間になった、俺と同じく平等を目指す「魔女」だ。」


リズの顔がきりっとなる。


「ちょっと見せてくれる?」


「あぁ」


リズの誘いに応じた。そしてエリカが怖がらないように烈が包む。そしてリズがエリカの目の前にやってくると、


顔を触ったりしはじめた。


「いやいやいや、何してんの?」


烈が突っ込むが、リズはやめない。頬を伸ばしたり、または圧縮したり、リズが辞めると、エリカの頬は赤く腫れていた。


「痛いですー……。」


烈がリズの頭にチョップする。


「あいたっ。痛いんだよ〜!」


リズが頭を抑える。


「何してんだよ。」


烈がそう突っ込むと

リズが奇妙にニヤリと笑う。


「魔女なんて初めて見たかな〜。だからすこしだけ我を忘れてたんだよ〜。」


その態度に烈は呆れた。


「それよりもなんだよあれ。ちゃんと説明してくれ、どうなってんだ?」


烈はあの予選会場があったと思われるところを指さす。リズが痛みを抑えながらそこを見たあと、語り始めた。


「色々回って行った結果、面白い情報が手に入ったんだよ〜。だけどあの会場がどうやってできたのかはわからないかな〜。ただ一つだけ分かったのはー」


烈がゴクリと固唾を飲む。


「あれがデザイアルの会場だよ〜。」


通りで、と合点のいった烈は、そのデザイアル会場へと行こうとする。


「レツレツ、今行って大丈夫かな?、出場権狙うやつもいるけど、出場権を持っている人が狙ってくる可能性もあるんだよ?」


ミリアは烈を心配する。

烈はそれを鼻で笑う。


「それは俺たちが修行してきた意味をぶち壊す論だ。そんなんで引き下がれねぇよ。つべこべ言わず行くぞ!」


そう言って烈はエリカを引っ張って会場へと走る。


置いてかれたミリアとリズの2人は、ゆっくりと後を追う。


まるでガレージのように横長く世界を包み込んでしまうような巨大な建造物。


「これが……デザイアル!でかすぎだろ。」


エリカも上を見上げて口を開けている。


「高いですね!」


更に近づこうと歩もうした時ミリアの声が聞こえてきた。


「待ってよぉー」


と走りながらやってきた。

烈はひとまずミリア達を待ってあげた。


「早いよ!レツ!」


ミリアはぷんぷんと地団駄を踏む。

烈は申し訳なく思った。


「まぁ、つい興奮しちゃってだな。」


「レツくんならありえるんだよ〜…。」


リズも呆れている態度だった。

しかしミリアもふと上を見ると


「はぇ!?、でっっっっか!?」


と、烈よりも大きい声で驚いていた。


そんなこんなで烈達はもしかしたら残りの仲間がいるかもしれないので下見がてら、仲間を探す。


ちなみにデザイアルの塔自体は、中には入れないので、観客達は取り囲むように居る。


それを逆手に取り商売を始めている人間も居た。


「うわぁぁぁーー!!!」


突然悲鳴が聞こえた。


「これはやばい予感するね、レツ!ってあれ?」


烈はすぐに悲鳴の方向へと飛び出していっている。

エリカを引っ張りながら。


「ミリアちゃん、私達も急ぐかな〜。」


「おうよ!」


2人は烈達の後を追う。


「よぉよぉ、お前デザイアル出場者だよな?」


鍛え上げられた筋肉と美しいトサカの髪。

低い声はその身体に一致していた。


今現在はデザイアル出場者だと思われる人間に襲いかかっていた。


「突然何をするんだ!?」


そうするとトサカ男は相手を張り倒し、足を乗せて言う。


「ケハハハ!質問に答えろってーの、まぁお前が勝ったところ俺は見てるから答えは確実なんだけどな。」


「誰か助けてくれぇ!!」


倒された男は助けを呼んだ。


「お前の願いを叶えてくれるやつは居ない。ケケ、このまま野次馬含めて全員やっちまおうかな!」


辺りは野次馬に囲まれている。場所が場所のせいで人が集まっている。だがこんなに人がいても誰も助けにいかない。


「!、あそこか」


野次馬が円を作ってるおかげで、烈は騒ぎの中心を見つけることができた。

人と人との間を抜けていくと、ついに加害者と被害者を発見。


「棄権しやがれ!」


トサカ男がトドメを刺そうと拳を振り上げたことをきっかけに烈が飛び込もうとした瞬間、謎の男が現れた。


その男はトサカ男の肩の上にいた。


ゆらりと揺れる白髪はここにいる人間を魅了した。


「あぁ?誰だてめぇ、俺の肩からさっさと降りろ。」


純白に包まれたフロックコートを着る白髪の男は微笑む。


「これは失礼、秩序を汚す不届き者がいると聞いてね。もしかして君かい?」


トサカ男が見た景色は影に包まれていた顔だったが、唯一その翡翠をはめ込んだような眼は煌びやかに光っていた。


「お前も死ねぃっ!」


と男が体全体を傾けた瞬間、白髪の男は担いでいた剣を構え、跳んだ。


「ちょっとそこにいると危ないかもね。逃げた方がいいよ」


倒れてる男に声をかけるが男は動こうとしない、いや動けないのだ。動かない男に呆れて、白髪の男はため息をつく。


「ま、それも一つの選択だよ。」


そういって大きく息を吸った。


「天之瓊矛」


精緻な剣は莫大な魔力に包まれ、白光する。

そしてその魔力は静かに凝縮され濃密な魔力の剣となる。


「聖輝流……」


そして白髪の男は徐ろに剣を下に振るった。


「殲刻」


風が上方向から襲い降ってくる。


烈はこれはやばいと思い、飛び出した。


「やめろぉー!!!」


烈の行動に、白髪の男は驚いた。


「ちょっ、レツ!?」


ただ必死に、2人を救うことだけを烈は考えた。

そして、


降り注いだ斬撃は土壌を削る。その時の衝撃で土埃が起き、石が巻き上がり、遂にはクレーターを作った。


「何も残らなかったか。」


白髪の男はゆっくりと地面に落ち、そう言いながら残念そうに見る。


「誰も死ななかったからな。」


後ろからの声に反応し、白髪の男は振り向いた。


そこには倒れている助けられた男2人と助けた張本人がいた。そして烈は少しの切り傷を拭きながら白髪の男を睨む。


烈はエリカの輝石により瞬時に2人を助けることに成功した。


「周りを巻き込みやがって、人の心あんのかよ」


そう言うと白髪の男は口に指を当て笑う。


「すごいね、君達。あれを避けるなんて。」


エリカが顔をしかめる。

烈は更に怒りが積もった。


「質問に答えやがれ、なんで人を巻き込んだ。」


当事者はおろか、観客にまで被害を及ばせた。

しかし白髪の男は悪気もなくきょとんとしている。


「まぁ、あの人がいけないことをしたからね。「捌く」のは当然のこと。」


「1つの悪事を裁くのに、無関係な人間はどうなってもいいと?」


「あぁ、いいとも。悪の捌きを優先だ。」


平然と常識のように言う。

まるで自分達が定義している根本的なものがかけ離れているように。


「こいつっ!」


烈は襲いかかろうとした。しかしとっさミリアとリズが止めに来た。


危機を察知したのだ。


「レツ!行くよ!」


そう言って烈を引っ張る。エリカも着いてくる。


「ごめんなさいねーっ」


謝罪をしながら去っていく。白髪の男はその姿を呆然と眺める。


「おいこら!話は終わって━━━━」


「まぁまぁ」


少し離れたあと

リズが耳打ちした。


「レツくん、あの人に近づかない方がいいかな〜。」


リズは真面目な声で訴えてきた。

烈は疑問に思った。


「あの人はね、」


白髪の男が呆然としていると後ろから甲冑兵がやってきた。


「何やっているんですか!騒ぎは起こさないでくださいと国王子から仰られたでしょう!」


「イザナ・ギルドラ団長!」


イザナは「すまんすまん」と謝罪と言えない謝罪をした。


「イザナ・ギルドラ……」


烈はその言葉を復唱した。

そしてリズは続いて言う。


「ちょうど100代目聖輝石騎士団団長だよ〜。」


「国のトップ級の人間ってわけか。」


烈は自分なりの解釈を言う。


「まぁ、簡単に言えばそうだよ〜」


烈は思う。自分の思想の対極の人間、戦いは避けられない人間。


「どうしたの、レツお兄ちゃん?」


烈は笑っていた。

強がりじゃない。今までは王政の政権が抽象的だった。しかし今は具体的な思想が存在した。


「いいや、エリカ。なんでもねぇよ。」


そして烈達は歩みを進めた。



「ほう、ここがデザイアル本戦。こんな感じなのか。」


赤髪の男がデザイアルを目の前に佇む。


「アルタ様、あまり表立たれては……」


アルタの護衛がアルタに対し注意をした。


「黙れ。2度はない。」


殺気を放った。これは比喩だとか強調だとかではなく本物の警告。


「若いうちに出られてよかった。久しい顔もみれたしな。」


アルタは身体を伸ばす。

そうするとふと思いついたことがある。


「この頑丈な門、ぶち壊してみるか」


デザイアルにそびえ立つ巨大な門。これを超えることができるのは試練当日のみ。


「ほな、いくか。」


力を貯め始める。寡黙な水面に一滴を垂らすように指先1点に集中した。


「アルタ様なぜそのようなことを!?」


「興味が湧いた、そんだけだ。」


そして突く。


業が深い(ディプスカルマ)


しかし門はかすり傷ひとつも付いていなかった。


「やはり、一筋縄では行かないか。」


すらっと後ろを向くと護衛に近づく。

なぜか護衛は息切れしており、持っている矛で立つのがやっとだった。




いえば、2度はないって言ったよな。」


そう言うと護衛の顔をアルタの手で包む。

そして


業は蝕む(ムニュラカルマ)、ソナタ・キムウラ」


護衛の名前を言った途端、護衛は苦しみ出す。

「何か」を吸い取られたかのように、護衛はカラカラに枯れ果て、逆にアルタは肌に艶を増した姿となった。


「カスいな、やはり。こいつを連れてけ」


アルタは手袋をギュッと深くはめた。

そしてカラカラに枯れた護衛は他の護衛に回収され、大事にはならなかった。



そのように開催前にも関わらずデザイアル会場では賑やかになっていた。

そしてまた新たに油が注がれる。


「あれは輝石教会だー!!!」


「あれって教主様じゃない!?」


とてつもなく飾られている迫力のある駕籠のようなものに人影が見える。


「あれが前回優勝者の、、アガネ・ゼエル教主。」


色こそは見えないが、圧倒的強者はそこにはいた。

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