第25話 邂逅
その倒れた人間のそばに着くと
「大丈夫か!?」
と烈は呼びかける。倒れている少女は目を半分ほど開けると
「お腹……空きました…。」
と言った。今ここに来たミリアに烈は
「ミリア何か食べるもの買ってこい!」
「了解!」
と、ミリアにお金を渡し何かしらこの子のために食べ物を買ってきてと頼んだ。
ミリアが帰るまでの数分、烈はずっと呼びかける。
「寝るんじゃねぇぞ。俺が来たから大丈夫だ。寝るな。お前は生きろ!生きるべき人間だ。」
やっとのことでミリアが帰ってくるとすぐにパンを食べさせ水を与えた。
1口目は烈がさせると、少女は目が開き自分で食べるようになった。
その様子を見て2人は安心した。
少女は食べ終わると安心したかのように深呼吸をする。そして立ち上がり
「お二人とも、助けて頂きありがとうございます。」
と見た目と反して言葉遣いが丁重だった。
少女は自身の銀色の髪を綺麗にし話した。
「私の名前は、エリカ……ガジェと言います。」
スチームパンクの服を着ていて、本物の人形のように見えた。
「俺はレツ・スズキ」
「私はミリア・クロウ!ミリアって呼んでいいよ!こっちはレツね。」
エリカは目を見開き烈を見た。
「あなたが、レツ……。」
烈はその言葉に違和感を覚えた。
「俺を知ってるのか?」
エリカは目を爛々にして頷く。
「知ってるもなにも、平等平等と予選であれほど豪語してたじゃないですか!忘れられないですよ!」
どうやら予選を見ていた客の1人だったようだ。
「痺れましたよ、あれは。」
感嘆に包まれた言葉を聞き、烈は笑みを隠しきれなかった。
「そうだろそうだろ。平等は至福だろ〜。」
初めて平等を分かち合える人間と出会えたことに烈は嬉しく思っていた。
烈は平等を語り始めた。そんな烈の話をエリカは熱心に聞く。
ミリアは完全に置いてけぼりにされていた。
我慢の限界に達したミリアは二人の間にひょこっと飛びでた。
「ねぇ!、レツ、もうすぐ日も暮れるし宿探さないといけないじゃないの?」
それを聞いて烈もハッとする。
「そっか、忘れてたな。」
ミリアがエリカを見て提案する。
「エリカも連れてこーよ!1人じゃ心配だよ。」
と言うとエリカが手を振る。
「いやいや、そんないいですよ。」
烈が便乗してくる。
「いやこんな所に少女を置いていくのは人間として平等を目指すものとして捨ておけない。」
と言うとエリカは視線を逸らして頬を赤らめた。
そしてボソッと
「そこまで言うのなら……お願いします。」
と承諾の意を示した。
適当な宿を見つけると烈は店の前に立ち止まった。
そんな烈の行動にミリアは困惑する。
「どうしたの?入らないの?」
そう聞くと烈はミリアに近づく。
「ミリア、お前に頼みがある。というかお願いだ。」
ミリアは固まる。
一体何なのかが分からないからだ。
「えっとその……俺と一緒に寝るのはダメか?」
ミリアはまるで毛が逆立った猫のように驚く。
その言葉に面食らったミリアは言葉が上手く出ずにいた。しかし別に一緒に寝ること自体はそこまで嫌悪感はない。
そうしてると烈が続きを話す。
「なんでかって言うとな、トントンの時は余裕があったけど意外とかかったから、金が無くなると困るので節約のために部屋を少なく……したい。もちろん無理には」
ミリアは唖然とした。
しかしブンブンと顔を振り笑顔になって
「全然いいよ!さっさと行こ!」
と言って、中へ入っていく。
外装が綺麗だったのは当然のことだが、中はより磨きがかかっている。
白い大理石の上には赤いカーペットが1面中に敷いてあり、そこから見上げると、烈でさえ見たこともないシャンデリアが鎮座していた。
受付の人間は、美しく着飾っていた。
烈は受付を済ますと、部屋に案内される。
なんと部屋は
ワイドキングサイズベッドがあった。
簡単に言えばクソデカベッドというわけだ。
ミリアはその光景を見た瞬間一目散にエリカとベッドへダイブした。
烈はベッドに座るとここの宿の概要を見た。
「はへ〜温泉なんてあるんやな。」
ダイブしてたはずのミリアはいつの間にか烈の隣へ来ていた。
「温泉?ってなに?」
烈は写真の浴場を指して答える。
「大きい風呂の事だな。色んな種類がある。入ってきたらどうだ?俺も行ってみたい。」
久しぶりに温泉が楽しめると思った烈は2人を温泉へ行くことを促した。
ミリアはエリカを見つめて笑顔で
「エリカ!行こ!」
と言った。エリカも笑顔になって。
「はい!行きましょうミリアさん!」
「ミリアでいいって!」
そう言うとエリカは少し恥ずかしがって
「じゃあ、ミリア……お姉ちゃん」
と照れくさそうに言った。ミリアに手を繋がれて行く瞬間。エリカは烈に耳を貸してほしいと言われた。
「レツさん、お風呂早めに上がってください。話したいことがあります。」
そう言い残し、ミリアと共にお風呂へ行く。
烈はなんの事かしばらく考えたが考えてもキリがないので烈も追いかけるかのようにお風呂へ直行した。
広々しく、ゴツゴツとした岩が床となっていて大変趣がある。
烈は掛け湯をして身体を慣らした後、ゆっくりと熱気溢れる水面へと足を突っ込む。
入れた瞬間足元に冷たいような感覚が一瞬ブワッとした後、燃えるように身体は温まっていった。
そして浸かったあと外から熱気により圧迫され、喉からつい声が出る。
「あ〜」
寝てしまいそうな心地良さに包まれ、それをつつかれるようなお湯の熱さ。烈はゆったりとしている。
露天風呂があることに気づき、早速赴こうと上がると、爽やかさを感じた。そのまま外へ出ると、ちょうど良い夜風に吹かれ少し肌寒い。
気持ち早歩きで水面に足を入れる。
先程の室内とは違うところ。それは外と内の温度差がはっきりしている。
出している頭は涼しく、それ以外は熱い。
烈は少しの間浸かっているとふと思い出した。
(そういえば)
***
「レツさん、お風呂早めに上がってください。話したいことがあります。」
***
(とかエリカが言っていたな。)
そう思い、烈は風呂から出ると颯爽に着替えて部屋に戻った。
部屋に戻ると、銀髪を揺らし、先程とは違う雰囲気をした少女が1人佇んでいた。
「待ってましたよレツさん。」
エリカはついさっき部屋に着いたみたいだった。ミリアはと言うと全ての風呂を網羅すると言って様々な風呂を楽しんでいる最中だそうだ。
「それでなんだ?話したいことって。」
ついに本題へとはいる。
窓際で立って話している。座って話すほど穏やかな話題ではないのだろうか。
「レツさんは誰にも偏見を持たず、平等に接してくれるんですよね?、少なくともそれを目指しているんですよね。」
烈は答える。
「あぁ、そうだ。そのために俺はデザイアルへ行く。」
続けて話す。
「だがな、エリカ。誰しも平等に接すると言っても俺は世界を不平等にするやつは許せない。それだけはわかってくれ。」
エリカは何かを安心したかのようにほっと胸を撫で下ろす。そしてまた息を吸い上げゆっくり吐く。
「良かったです。そんなレツさんになら話しても良さそうですね。」
烈は不思議に思う。
なぜこんなにも確認作業を行っているのか。
「何を話すんだ。」
エリカは心して言う。
「信じて貰えないかもしれないですが私━━━━━」
直後、ここで出されるはずのない単語が聞こえてきた。
「━━━━━魔女なんです。」
烈はその言葉を聞き戦慄した。




