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第22話 捨て身の戦い

修行を終えた烈とミリアの戦いが始まった。


ミリアの先制攻撃。土煙を上げながら風が烈を切り裂く。


しかし烈は直前に避ける。

真正面から来ることを予想していたからだ。


「威力が増してる……。強くなってんなミリア!」


烈は褒めた。

しかし風で遠くから打たれまくったら一向に近づけない。若干の不利に冷や汗をかきながら、遂に禁忌を発動する。


「俺も見せてやるぜ!見てろ!」


平等の天秤━━━━


辺りが白く

今までと違う平等の天秤。それは


「えっ!?なんで?私とレツしか居ないはずなのに私の力が減っている?」


自己を含む力の均等化。


「お前の力を俺が受け取ったんだよ。これで平等だな。」


ミリアは驚愕の顔を表す。


「え!?そんなことできるようになったの!?」


「すげーだろ。」


烈はドヤ顔をする。

ミリアは賞賛した。リヤがトルに話しかける。


「あいつそんなことしてたの?」


と、そんなことを聞くが平等の天秤の修行はゼノにつけてもらったものなのでそんなこと知る訳もなく


「初めて見た……。」


もの珍しい目で見ていた。


烈はミリアに接近する。しかしミリアは風を飛ばし、近づけさせない。


めんどくさくなった烈は捨て身で攻めることにした。


「うぇ!?な、なに!?」


真正面から進んでいくとミリアは驚いていたが、落ち着いて低気圧を置き風を飛ばした。


烈は風を殴る素振りを見せた。

トルとの修行を思い出す。肉を切らせて骨を断つ。


烈の腕はズタズタに引き裂かれたが風を受け流すことが出来た。烈の顔は強ばったがその流れ拳はミリアの顔面を吹っ飛ばした。


ミリアは痛ったー!と頬を抑えながら立ち上がる。

烈の怪我をした自分の腕はぶらぶらと垂れている。


「大丈夫!?」


烈は痛みに耐えながら次の攻撃を繰り出そうとする。


「余計な心配すんな!」


ミリアは低気圧を置く、ただし範囲は大きい。烈をとにかく吹っ飛ばすことに特化している。


「何をするつもりだ!?」


烈は手も足も出ずに吹っ飛ばされる。


そしてミリアは貯め始める。烈は手も足も出ない。

凄まじい集中力だ。


「……止めなやばいやつかもしれんな!」


烈は風の壁を乗り越えようと必死に手足を動かすが、ズルズルと地面だけが引きずっている。


「くっそまずい!」


そしてミリアはニヤッといたずらに笑い


「行くぞ!真空波ーー!!」


その瞬間雑音が消えた。


キーーーーーーン


耳鳴りがとてつもなく響く。全身に鋭い痛みが走る。

烈は凄惨なダメージを負ったが、それはミリアも同じことのはず。


しかしミリアは烈よりは怪我をしていない。

自分に申し訳程度の低気圧を付与し、一部を殺した。

だが客観的に見たらどちらも重症。

ミリアは「はぁはぁ」と息切れしている。


「トル、大丈夫?」


「まぁ、多少は……」


観客にも障害が起きている。烈達はそんなことに気がつかず。


ミリアは汗を拭い


「もっと本気だすよ!」


と、限界を超える気でいるようだ。

烈は負けじと叫び、走り出す。


「うぉーっ!くらえ!」


風が四方八方から襲いかかる。

烈は最初こそ避けるが次の風は避けることが出来なかった。損傷を負ったが、たかが風。連続すると他の風と混合してしまう。


その事を考えると必然的に間が空く。


「甘いな!避けやすいぞ!ミリア!」


風を仕掛けている内に

ミリアが溜め始める。烈が警戒するが、前回の技のクールタイムを考えると余裕を持って強制解除することが出来る。


解除することが出来た。


そして殴り合いに発展する。

烈がミリアを殴るがミリアは高気圧で身体を包みダメージを抑えた。


このままではミリアの勝機は薄い。リヤとの修行を思い出す。


***


ミリアが上手くリヤの動きを捉えられない時に教えられたこと。


「戦略を考える上で大切なのは、相手のことをよく考えてそいつなら何をするかを考えてそれを逆手にとる。」


「ミリア、あんたの気圧変動(それ)は不意打ちにも長けている。あんたなりに工夫しな、」


「はーい」


***


と言われたことを思い出し、

ミリアは烈の性格を考える。

1つ思いついたが必ずしもそうなるとは限らない。しかしそんなことミリアが考える訳もなく。


ミリアが自身の腕を風に乗せて攻撃する。

烈はトルの攻撃を思い出し、身体を横に向き当たる面積を減らし、腕を巧みに動かしその「風」を受け流した。


そして生まれた隙。反撃はされるかもしれないがたかが触れられる程度だけ。それだけじゃ攻撃には及ばない。


「そこだ!」


拳を突き出す。

しかしミリアはニヤッと笑い。


「引っかかったな!」


烈は必ずかカウンターに出るはずだ。避けたとしてもそんなに大きくは避けないはずとミリアは見込んだ。


「なに!?」


今回は運がよくミリアの勘が当たり、烈の身体に優しく触れる。

そうするとメキメキと何かが軋み、崩れかけそうな音がした。


「ぐはっっ!!」


烈は血反吐を吐く。

内蔵に損傷が与えられ血が流れ込んでいるのだ。


「ちょっとレツ大丈夫なの!?」


リヤが心配している。

トルが冷や汗をかく。


「高気圧をレツの体に付与したんだ。低気圧は恐らくミリア自身に、高気圧を選んだ理由は慢性的な攻撃を狙った?」


ミリアも腹を抱えながら次の攻撃を出そうとしている。烈は悶え苦しんでいる。そして力をふりしぼり声を出す。


「俺の体に……付与したな?お前も……この痛みを受けろ!」


平等の天秤━━━━━


まさかの二回目。今度は力の均等化ではなく痛みの均等化。


「ぐぅっ!?」


この声は2人の声。2人は倒れた。

そしてトルが叫ぶ。


「ミリア!制御輝石を思いっきり握れ!」


その声をトリガーにミリアは制御輝石を力いっぱい握った。


「大丈夫か?2人とも」


トルとリヤは2人に近づく。

気圧の変動が終わったことでミリアと烈は一気に


「ぷはぁー!!」


と息が抜けた。そして急いで呼吸をする。

そして2人は笑う。


高らかに笑う。トルも次第に笑い、リヤは呆れている。


「しっかし、ほんと強くなったなミリア!」


「レツ……もね!」


烈とミリアは互いに褒め合う。

そしてトルがこの戦いをフィードバックする。


「ミリア、お前は当たって砕けろすぎる。もう少しリスクの少ない方法で攻撃すべきだ。 レツはもう少し実戦を積むべきだったかな。体技を上手く組み込められて無かったかのように感じるよ。」


厳しい評価を貰った。ミリアと烈は顔が引き攣っている。


だが、そこには笑顔があった。

とりあえず無事に居てくれた事が嬉しかった。


正確には無事では無いのだけれども。

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