第20話 隠された力
烈に見習い、ミリアも修行を開始しようとしていた。
しかしミリアは修行内容をリヤにしっかりと伝えておらず、
「私は何をしとけばいいの?」
自然とリヤに疑問を作った。
「私の輝石の攻撃を受けとけばいいよ!」
リヤは驚愕する。
「だ、大丈夫なの?それ。」
「大丈夫大丈夫!」
と、全くの信頼性の無い大丈夫をリヤは受け取った。
心配が募ったが、多少鍛えてはいるので力はある。
「私の制御輝石を試すだけだから、そんなに力は出ないはずだよ。」
そう言って、風を吹かすとミリアは宙に浮き、転んでしまった。
「アイタ!」
リヤは呆れながらミリアを起こした。
「制御の仕方がいまいち分からないなぁ?」
輝石を強く握ったり弱く握ったりしている。
「イメージを変えてみたらどうだろう。」
そこでリヤが提案する。
「イメージを変える?」
ミリアは恐らく工夫しきれていない。
より簡単に制御できる方法を見つければ良い。
リヤは具体的な方法を提示した。
「ミリアは多分抑え込めるっていう感じでやってるでしょ?。それを絞り込むイメージでやってみて、容量を減らすんじゃなくて範囲を減らすんだよ。」
ミリアはふむふむと話を真剣に聞いている。
「ほら、やってみてよ。」
ミリアは手を翳す。そしてキュッと滑らかにかつ素早く右腕の指を小指から順に閉じていく。
すると、緩やかな風が勢いを帯びて、それを犠牲に範囲が狭くなり、鋭い刃のようになった。
そしてそれを放つと、朽ちた廃墟の壁を小さく貫通した。
「おぉぉー!ねぇ!リヤ受けてみて!」
「死ぬわ!」
上機嫌でリヤに要求したが、ツッコまれてしまった。
「でもでもー……、」
と、残念そうな顔をしている。
仕方の無いなぁ〜と、リヤは渋々承諾すると、
ミリアの顔はパァーっと笑顔になる。
「いいよ来ても、多少の攻撃なら相殺できるから。」
ミリアが何かを思いついたかのように手を打つ。
そして輝石を2つ持って腕をクロスし身構える。
リヤも腰を低くし戦闘態勢に入る。
「決闘ってことだ!行くぞ、リヤ!」
なんでそうなるかは分からないが
とにかくやろう。
「行くよ!」
右腕にある風の輝石を翳し、左腕にある制御輝石を強く握る。そして右腕をさっきのように順に指を折る。
風が鋭く吹く。それは煙によって形作られ、素早く突き進む。
リヤは華麗に避ける。
ミリアは残念がり
「えぇーなんで当たんないのー……?」
と言い、リヤは腰に手を当て話す。
「軌道が丸わかりなのよ。やっぱりワンパターンだからいけないのね。曲げるのってできない?」
ミリアがうーんと唸る。
「やってみなきゃわかんない!」
結論を出せずにいた。
確かに実験しなければ確証は得られない。
「んじゃ、実践ね。もっともっと打ち込むわよ!」
先程と同じ工程で風を吹かす。今度は腕を引く。
しかし暴走して壁にぶつかった。
もう一度。もう一度。
時は流れミリアは疲れた。最後にもう一度全力で上に翳した。
その瞬間、ブワッと暖かい何かが通った。
上方向に風が流れたみたいだ。
「こうじゃない!?」
と、嬉しそうに語るが
「これ上方向に流してるだけよ、曲げなきゃダメでしょ。」
疲れたぁーと駄々を捏ねている。
どうやったって出来ない。何が足りないだろうとミリアは嘆く。
しかしリヤは少し考えてみるととんでもない事実に気づいた。
(暖かい風……?そうか!)
「ねぇミリア、あんたの輝石ってどういう仕組みかわかる?」
「知らない!」
ミリアは即答する。
リヤは自分の考えを出してみる。
「恐らくだけどその輝石は低気圧か高気圧を操る輝石、もしくはその両方。」
ミリアは頭に大きく「?」を浮かばせている。
「簡単に言えば、ミリアの輝石は空気の量、密度を操るんだと思う。風の現象は高気圧から低気圧へ……、えーっと」
リヤが淡々とミリアにわかるように説明する。
「空気は常に一定の量になろうとするの、だから低気圧、つまり空気の量が少ないところには必ず高気圧、つまり空気の量が多いがあって一定の量になろうとする時に」
「高いところから低いところへ流れていくのが風の仕組みなんだね!」
「そう!正解ピンポーン」
と、1回ミリアの頭をポンと撫でる。
そして更にリヤはミリアの技を発展させることにした。
リヤはミリアと少し距離をとった。
「低気圧を私に置いて、風を打ってみて!」
ミリアはよく分からなかったがとりあえず感覚で打つことに。
「てやぁー!」
風は鋭く吹く。リヤの頬を通り、壁を破壊する。
どうやらリヤにとっては失敗したようだ。
「さっきの威力をより強く出来たらいいんだけど……。」
ミリアは閃く。
威力をただ強くするには不必要なものがある。
「制御輝石をはずそう!いくよリヤ!」
しかしそれは威力を制御できなくなる。範囲を絞れなくなる。危険性の方が明らかに高い。
「ミリア!やめろーーー!!」
その言葉が届くには距離が遠すぎた。
ミリアは発動した。極度の低気圧を。
瞬間。風は音速を超えて壁を崩壊させた。リヤが直前に避けなければ肉体は崩れ落ちることだろう。
空は美しく雲ひとつの無い快晴となり、リヤは激しい耳鳴りに襲われた。
ミリアの目に映るのは白く無の世界━━━━━
「ミリア!ミリア!」
その声は風に乗って届くことは無かった。
ミリアは気絶した。急激な気圧変動によりミリア中心に高気圧が発生したのだ。
ミリアが目を覚ますとリヤの部屋にいた。
「ここは……?」
リヤはミリアが目を開けたことに気づいた。
リヤの目には涙が流れており、
「ミリアーー……!」
と、本気でミリアを心配していた。
一段落着いた時、リヤはミリアに起こったことを話した。極度の気圧変動によりミリアの魔力底を尽き、尋常じゃない圧力がかかった。
そしてリヤはミリアを酷く叱責した。
ミリアはとても反省している。
制御輝石を使わないで気圧変動させるのを禁止にした。
しかしそれだと、どうしても容量が減り輝石の力を最大限に使えない。
「じゃあ、私のデザイアルまでの目標は制御輝石を使わないで風輝石をマスターすることだ!」
後ろから熱気を感じる。リヤが怒っている。
「も、もちろん制御輝石を使って風輝石の操りをマスターしてから……ね?」
ミリアが強くなるためにはあの真空の力を借りなければならない。他に打つ手がないのでリヤは最後まで修行をすることに決めた。
「もっともっと強くなってやるーーー!!」
ミリアの未来は見えた。あとは実現させるだけ。
これをマスターできればとてつもない助けになる。
そしてまたあの廃墟へと足を進めた。




