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第18話 改善点

「予想以上だよ。僕は君を甘く見てたかもしれないね。」


しゃがみこんで烈を見る。

烈はもう動けない。ここまでかと半分諦めている。


ゼノが烈に手を差し伸べる。

烈は腑に落ちない。どういう風の吹き回しだ?


恐る恐る手を伸ばすと立ち上がらせてくれた。


どっちにしろ烈は動くことは出来ない。岩に腰掛け、ゼノの話を警戒しながら聞く。


「レツくん、ごめんね。今のは全部演技だよ。」


鼻血をローブで拭いながら衝撃な一言を落とす。

烈は怒った。


「冗談でもそういうこと言うんじゃねーよ!」


ゼノは烈を見ながら静かに笑う。

烈はゼノの行動に引いてる。


「君らしいね。君の思想を試していたんだ。君ならどうするか、をね。」


続けて話す。


「君が思う思想がもし、僕との戦いでへし折れてしまう程度だったら本気で殺すつもりだったよ。」


ゼノから殺気が際立つ。


そよ風が吹く。少し肌寒い、ミリア達は今頃何をしているのだろうか。


「なんでお前はそこまで俺に執着するんだよ。」


当然ながらゼノの行動には疑問しかない。


「別に、ただ君には他の人にはない異質なものがあったからね。僕の勘は的中率100%だよ。」


当たってる。神のいたずらかと思えるほど、的中している。


「しかし、ここも随分懐かしい所だ。なんでレツくんはここにいるの?」


それはこっちの知りたいところだ。と言おうとしたがそれよりも気になることがある。


「懐かしいってなんだ?お前は魔女を知っているのか?」


ゼノが手を振って答える。


「ごめん、懐かしいだと語弊がある。レツくんはここの魔女の話を知ってるんだね。」


ゆっくり話し始めた。


「魔女というのは代々人を呪うために存在していると言われている。それは悪魔であり、忌み子なんだ。」


「実際、目撃情報が少ない。ただ推測することに分かることは、あいつらは人間を殺すことになんら躊躇を求めない。」


烈は目を閉じ深呼吸した。しかし怒りが滲み出ていて、それを見兼ねたゼノは烈に話したかったことを話す。


「レツくん、僕と修行しないかい?」


突風が吹く。

突然、そんなことを言われて烈は呆気に取られていた。


もちろん烈は疑問に思う。なぜデザイアルで敵である存在に鍛錬を積ませるのか。


「僕のシャルトの願い事、聞きたい?」


言うまでもないが、あぁ、と了承の意をゼノに述べた。しかし


「僕の願いは君にとてつもなく似ていると思うよ。もし君が強くなったら、デザイアルで十分にやっていけるようになったら、教えてあげよう。」


そう冷たく微笑むように烈を見つめた。

烈が望む平等な世界。それと類似しているゼノの願い。とても気になる。それに警戒はあれど修行をつけてくれるとのこと。断る理由はない。


「いいぜ、お前が平等を目指してるかは知らんが、修行できるなら構わねぇぜ」


承諾の意を介し、2人は奇妙な間柄が芽生えた。

一息ついたところでゼノが話し始める。


「言っとくけど僕の修行は厳しいよ?なにしろ一月でまともな人間に育てなきゃダメなんだから。」


烈はその言葉にイラッときた。しかし事実なのは間違いない。


「僕の修行は夜がメインだよ。」


厳しいと言っていたが夜だけの修行だと案外楽そうに聞こえる。


「夜以外もやったら体がもたないからね。」


その言葉にドキッとした。

地獄のような日々が()()戻ってくるのか……。


「それじゃあ明日の僕との修行でしてもらうルーティーンは」


それは地獄のようなスケジュールだった。

全部聞き終えた時、烈はゼノに質問をした。


「ゼノ、お前は平等をどう思う?」


思想を試していた。とゼノは言っていた。ならば平等を目指す烈に何かを見出そうとしていたのではないか。


「面白い考えだと思うよ。でも難しいんじゃないかな。なにしろ、互いを思いやらなければならないのだから。」


平等とはなにか、今ひとつ難しいところではある。

しかし烈みたいな不平等な人間を増やさないために平等は必要だとは思う。が、実現が本当に難しい。


「でもそんな難しいことは出来る、だろ?」


烈が口角を上げる。このルミナリスには不可能を可能にする物がある。


「シャルト……だね。君の終着点。」


烈が空を見上げ反論する。


「いや、それだけじゃねぇよ。シャルトを使って平等な世界をこの目で見た時、その景色を使って俺は現実世界で平等を目指したい。」


ゼノは一瞬目を開いたあと直ぐに目を閉じて微笑む。


「そういえば、そうだった。君は異世界から来た事。今度は実現することで君の思想を見せてよ。明日の夜、ここで待ってるよ。」


そしてゼノは岩から身体を起こし、手を振って闇に消えていった。烈はそれをみとどけたあと、走って村へ帰っていった。



時刻は既にゼノとの戦いが昨日の事となった。

リヤとミリアとどんな顔をして会えばいいのか分からない。トルも許してくれそうだろうか。


明日からデザイアルまで過酷な毎日が続きそうだ。


不安と億劫さが募りため息を漏らしてしまった。


村に着くとほんのり明かりがついてるところがチラホラあり、安心感に包まれる。村長の家のドアを開けると誰も居なかった。恐らくみんな寝てるのだろう。


と、床をきしませないように歩くと人影が見えた。

リヤだ。リヤがこちらに気づく、烈は気まずそうにしながら歩きだす。リヤがいる方向に部屋があるからだ。


すれ違うその瞬間。


「別にそんな顔しなくていいわよ、わざとじゃないことぐらいわかってんだから。」


その言葉に驚いた烈は振り返る。リヤは顔を背いたまま


「レツもギスギスした関係は好きじゃないでしょ。私もずっと気まずいのは嫌い。」


そうキッパリと言って、自分の部屋に入っていった。

烈の心はなんだかスッキリした。良かった。ここで嫌われてしまったらどう過ごそうかを迷ってたから。


烈は疲れた身体を癒すためにお風呂に入ることにした。しっかりと確認しながらゆっくりと入っていった。


至福の時間で、久しい時間であった。

とにかく今日は休み抜くことに決めたのだ。


風呂をあがった烈は

自分の部屋に入る。時刻は2時、まだ起きれる。ゲストルームにあった本を漁り、持ってきたものをとりあえず読む。そこでふと思う。


地理的状況を見てみると不可解な点がある。

それは貧民街と邸宅街の境。不自然なほどに境が綺麗なのだ。まるで作られたかのように。


3時を過ぎると睡魔が眼を包むのでそのまま眠ることにした。



翌日、朝早く起きるとトルがスイダミンハを飲んでいる。烈が


「それ、俺も貰っていいか?」


と、おすそ分けを要求する。トルは即、了承の意を返した。


「ええよ、話したいこともあるし」


話したいこと……一体なんだろうか。

スイダミンハをカップに注ぎトルの前に座る。


「んで、話したいことって?」


トルがスイダミンハをソーサーに置き、ゆっくりと話し始める。


「よしレツ、俺と修行しないか?」


目を見開く。


「ちょ、レツ!?スイダミンハ零してるぞ!」


それで気づく、ピリピリと熱さを感じる。


「アッツ!!」


絶叫した。

零したものを拭いて、とりあえず替えの服をトルに貸してもらった。


「まじでかよ!トル!」


トルはニヤリと笑っていた。

戦いを嫌いと言っていたがあれはどうなったのか?


「お前が言った通りレツ、俺は君に対話をしたい。今日からデザイアルで余裕で通用する力を俺がつけてやるよ!」


ありがたすぎる。しかし烈にはゼノとい先客がいる。

修行を受けるには時間が、


「朝食後から日が暮れる前まではどうだろうか。これなら無理もないだろ?」


そんな心配は杞憂となってしまった。

2人の修行を受けることが可能となった。確実に強くなるに違いない、しかしその分心身に影響を及ぼす。


そんな小さなデメリットで平等を実現できるならやらない選択肢はあるだろうか。いやないだろう。


よってもちろん烈はゼノの誘いを


「あぁ、いいぜ。乗った。」


軽快に承諾した。

そして朝食を済ませた後、外へ出ようとする。そしたらミリアとリヤに会う。


「おはよー!レツー!どこ行くのー?」


ミリアは朝とは思えないテンションで問いかける。


「今から外でトルと修行をする。」


ミリアがおー!?と、心踊っていた。リヤは驚き呆れて、


「トールー!戦いが嫌いって言ってたのは嘘だったの?」


そういうとトルは


「別に、これは戦いじゃないよ。俺が嫌いな戦いじゃあないよ。俺はこういうのが好きなんだ。きっと。いや、レツだからかな?、」


と、そんなふざけたことを言うとリヤは鼻で息をフッと吐いて安堵を表した。


「やかましいこと言わないで出るぞ。」


烈が痺れを切らしトルを外へと連れてく。

烈の去り際にミリアが叫ぶ。


「絶対強くなってよー!」


と、応援をされる。

もちろん烈は


「おう」


と、若干後ろを向き口角を上げて言った。

一月後の自分が楽しみだ。



外へ出る。

外は賑やかでトルに挨拶する村人もいた。

村長の息子で、愛想が良いなんて強い。

そんな中、とある男が太い声で烈に話しかけてきた。


「おぉ〜い!レツー!トルー!」


その声の方向へ見るとクサリャーだった。

相変わらず歳を重ねているはずなのに元気で若い。


「レツ、どこかに行くのか?」


「あぁ、トルとな」


「そうかそうか!」


大きな声で笑う。笑う要素がどこにあるのか分からないが。何かを思い出したトルがクサリャーに質問する。


「そういや、俺の剣はできているのか?」


剣。貧民街の人間でも剣を持っているのはあまり見かけない。烈が世間知らずなだけかもしれないが。


「あぁ、あれはもう少しで出来そうだ。」


「そうか、まぁ急ぐことは無い……いや。レツのためにも頼んだぞ。」


烈のため?嫌な予感がするが、とりあえず荒野へ行く。


「さぁてと、レツ。基礎の格闘技を教えてあげよう、君との戦闘はあまり見てないから戦いの中で教えてやるよ。」


早速の戦闘。と言ってもトルはただ受け流すだけだろう。


「行くよ!」


トルが叫んだ。

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