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第17話 改革者

俺が越えなければならない「壁」


ゼノ。なぜここに居るのか、烈目当てなのか?


「そんな怖い顔しないでよ。」


警戒心を解くためかか、ニコッと笑うがそれが恐怖の象徴。


最初に会った時もそうだ。突然現れた。理由もなく烈にデザイアルのことも教えた。利点はないはずだ。変にライバルを増やすだけ。烈に何を期待してるのか……はたまた、ただ増やしたいだけ?


「僕が何しに来たか知りたそうな顔してるね。」


見透かされている。いやこんなのは普遍的反応だ。


ゼノは岩から降りた。黒いローブをヒラヒラとさせながら。


「当たり前だ。俺に突っかかりすぎだ。」


そう言うと、ゼノは腰に手を当てて言う。


「ごめんごめん、ただ少し気になったんだよね。」


烈に近づく。語り出すように顔だけを突き出す。


「君はこの世界の人間か?」


!? バレてる。誤魔化すか、正直に言うか。

ゼノに誤魔化しは効かなそうだ。そう思い烈は正直に話すことにした。


「……そうだ、俺はこの世界の人間じゃねぇ。」


ゼノが驚く。


「え、そうなの?」


二人の間に沈黙が走る。

微動だにしない。

そして最初に動いたのは烈。


「いやいやいやいや、お前が聞いてきたんだろーが。」


どうやらゼノは推測でものを言ったらしい。


「てか何その丸太。罰?贖罪?」


「あぁ、今外す。」


ゴロゴロと、身につけていた丸太を外した。


適当な部分があるが、当ててはいるので勘が鋭い人間なのだろう。と、その場を納得するための解釈をした。


「つまりレツくんはルミナリスの人間では無い……ということ、つまり異世界からの客人だ。なーんてね。」


そうか、異世界(ルミナリス)では日本(こっち)の方が異世界というのか。

烈はなぜ異世界に呼ばれたのか。この根拠を見つけるための手がかりがないのに考えるのは時間の無駄だ。


「俺にそれを聞くためだけに来たわけじゃないだろ。」


「逆、かな?偶然だよ、レツくんと会ったのは」


納得してしまった。烈に必然的に会うのは魔法かなんかの能力じゃなきゃ不自然だ。烈に会ったのは何かのついでということだ。


「じゃあ何しに来たんだ?」


「簡単だよ。」


それを言うと同時にゼノはゲレソナ村の方向へと歩みを進めた。

そして衝撃の言葉をゼノは口走った。



「ゲレソナ村を破壊するよ。」



は?。様々な視覚からの考えが烈の頭に無数に入る。差別。気分。快楽。私情。運命。共同。雰囲気。極端な感情。なぜ、破壊する。


「どいてくれないかな、レツくん。」


脳に直接届いた「不愉快」は、感覚神経から脊髄に行き運動神経へと繋ぐという、脳に情報伝達する判断を壊す脊髄反射によりゼノの行く手を阻んだ。そして烈の目は極限まで高めた獣の目をしていた。その目は蔑みと怒り、


そして不平等を踏みにじり、根絶しようとするもの。


「通すわけねぇだろ。なんでそんなことする必要があんだよ。」


ゼノが烈と距離を開ける。


「ゲレソナ村というかね……。トルっていう人間を知ってるかい?」


トル……!なぜトルを知っているんだ。

いや、確かにそうだ。ゼノやガルドを凌ぐかもしれない存在を知らないわけがない。


「トルの翠眼。あれは危険な代物なんだよ。野放しには出来ない。世界を崩壊しかねない。可能性は潰しておくものだよ。僕がシャルトで願う物を破壊しかねない。」


「じゃあ君も、壊すしかないね。レツくん。」


2人の緊張はピリピリと今にも破裂しそうなほど張っていた。ゼノは未知数の強さで未だに何の輝石を使用しているかが読めない。だが烈にはどうでもよかった。ただ、目の前の不平等を叩き直したかった。


「お前の不平等な思想を改革してやんよ。」


最初に動いたのはもちろん烈だ。


予選で見せた圧倒的な近接戦の強さ。

だが烈は近接以外で戦う術を持たない。だからこそ命懸けで戦う。いやないことは無い。


烈が大振りの右でゼノを殴る。

しかしひらりと避けられ横腹を撫でるように張り手をされてしまった。


ぶっ飛ばされ呼吸が1つ2つと出来なくなり3つでようやく吸えることが出来た。

烈は地面を這いずるように立ち上がり倒れたことで開いた土汚れた手は固く握られていた。


「君が僕に勝てるわけないだろ?」


その言葉を流し近づいて行く。


走り出したその時ゼノは目の前に来た。

殴られそうになる。その瞬間にゼノは怯んだ。


烈が倒れた時に持っていた土が目に当たったのだ。

これは痛そうな顔をしている。


その隙に全力で殴る。

右左右左右左と、連撃を繰り出す。


ゼノが充血した目を開けるとまるでその威圧感に圧倒されたかのようにぶっ飛ばされた。実際はただ反撃されただけ。


烈が息が切れそうながらに質問する。


「ゼノ……、予選の時に見せたあの力はどこいったよ。俺如きに使えねーってんじゃあねぇだろうな。」


「正確には今は使えないんだよ。僕は物質的に存在している輝石を使ってないんだ。」


輝石を使用していないだと?。だったらなんであんな強いんだよ。普通の人間が出していい力じゃない。でもまて、物質的に存在していない……言い方が妙だ。

そうか逆だ。形がない輝石を使っているってことだ。


「だから条件がある。この能力は太陽が出ている時にしか使えないんだ。」


弱体化した状態でもこんなにも差が出るものか。


「んじゃ本気で行くよ。」


そう言った瞬間閃光のように一瞬で烈の前に現れる。

殺気が溢れている、殴られる!


ドゴッ


なんとか防━━━ぎきれてない!強すぎる。

烈は一旦距離を置く。朝買った輝石があれば良かったのにと後悔している。


だが輝石がないのは相手も同じ。

反撃する隙がないのがダメだ。1対1は厳しい。



そうだ。1対1じゃなく、1対多だ!

ゼノに攻撃を仕掛ける。

ゼノは低い姿勢でカウンターの構えだ。しかし烈はゼノの頭上を回転しながら飛び越え目の前にある顔を掴み回転の勢いで烈はゼノを地面に叩きつけた。


ゼノはギリギリで受け身をとる。受け身をとったといえど多少の脳震盪はある。烈はその間に下準備をする。


持ってきた丸太や民家にあった鍬やレーキをまばらに置く。

ゼノが立ち上がったところで烈は再び近接戦に戻る。鍬のような武器があったが使わない理由は、小細工をしているのがバレないようにするためだ。


烈はゼノに右ストレートで殴り込む、しかしゼノに顔面を殴られてしまった。その時に唇を切ってしまった。


烈が怯んだ瞬間にさらに追撃で腹に足蹴りを食らわされてしまった。


ぶっ飛ばされた。だが予想通り……!

2つの丸太を持ってゼノに突撃する。


「急に武器を持ち始め多少攻撃力が増えたか、」


ゼノが警戒する。しかし烈は突撃する。

突然1つの丸太をゼノの頭上へ放る。注意が上へむく。そして思いきり真っ直ぐに残った丸太を投げる。


烈は丸太の陰に隠れながら横に移動する。


ゼノは2つの丸太を防いだ。そして烈がニヤリとゼノの横に出てくる。


華麗なる右ストレート!!!


「喰らいやがれ!!!」


しかし正面丸太を止めた時の右腕の肘で防がれてしまった。


「僕にそんなもん簡単なトリックに引っかかるとでも?」


烈は笑う。


「策は二重三重に考えておく。そうだろ?」


ゼノは顔が引き締まる。烈はゼノを押し切る。ゼノはよろめいている足がふらっとなり、やっと足の位置が定まった瞬間に


「炸裂しろ!」


勢いよくゼノの後頭部に鋭い衝撃が迸る。レーキだ。レーキの先を踏んだことにより柄の部分が当たったのだ。

前に倒れそうになった所で烈がゼノを押し倒す。

マウントを取った。烈の心に余裕が生まれた。


「なんでだ、トルが何をしたって言うんだよ!」


よく顔を見てみると鼻血を出したボロボロのゼノが喋りだした。


「翠眼、トルはマタオクロスという緑色の眼をしている。彼の眼は彼の強さの秘密だよ。そういう一族なんだ。彼を殺す理由……そうだね、彼に生きててもらっては困るからね。彼が生きていたら僕の願いが果たされない。」


理不尽だ。そんなもの理不尽だ!


「お前の願いってなんなんだよ!」


「君には関係ないだろ。」


そう冷たく言い返し烈の重点をずらし、立ち上がった。


「もう君には策はないだろ?」


その通りだ。もう策なんて無い。

ここの踏ん張りで勝敗が決まる。


体力が許す限りの猛攻を続ける。

烈左フックを決める。ゼノが反撃する。丸太を再度あげる同じ作戦。そんな単調な攻撃を続けている。


烈の息が切れてきた。喉から音が鳴る。限界が近い。


「諦めなよ、もうさぁ。」


ゼノも疲れてはいるが、烈よりは体力に余裕がある。

ゼノが烈の顔面を殴る。防ぎきれはしなかったが、多少のダメージを防ぐ。


「諦めるわけねぇだろ。ここで終わるわけねぇだろ。」


トルは烈に対して優しくしてくれた。

応援してくれると言ってくれた。それを理不尽な理由で破壊することは許さない。


「ここで負けたら、デザイアルにも出れなくなる。神は見ているからね。」


ゼノはどこまで烈の思想を踏みにじるつもりなんだ?

ゼノは烈にとどめを刺そうとする。


「終わりだ、じゃあね。」


ドスッ、と、烈はよろける。薄れゆく意識で浮かんだ光景。


***



「レツ、君と一緒に平等を目指したい。自分がこれまでやってきたことが無駄じゃないと信じてみたい。」


「教会を追い出されたことに怒りが湧いている。そんな私にとって平等は良い世界か?」


「私もデザイアルへ連れてって。」


「それが烈だよ!力は弱いけど思想(こころ)だけは誰にも負けないんだから!」


「その悔しさを糧にして誰にも負けない強者と……なれ?」


「なってやるよ、お前にも負けない最強に。」


「俺は、復讐する。あいつらに。」



***


仲間達が俺を応援してくれている。

だからより思想が形になるんだ。俺がその思想を曲げたら、無下にしてしまったら━━━━━━━━━


「俺がここで負けるかよぉぉぉぉぉ!!!!!!!」


よろつく足を強く地面に叩きつけ、最後の力で顔面に全力で自分の身体をゼノに埋め込ませた。


2人とも風を切って吹っ飛ぶ。

地面に倒れ込み、時間が流れていく。


ゼノが立ち上がった。そしてゆっくりと烈に近づいている。

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