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第15話 平和の追求

修行するために貧民街へ行く、烈とミリア。ミリアが推薦する村へと向かう。


日が西に随分傾いた時、烈は村に着く。ミリアより、村の名前はゲレソナ村。烈は全身から汗をかいていて、周りの温度が高くなっている。

ミリアは元気そうに声を上げる。


「やっほー!みんな帰ってきたよー!」


村はルミナとは違って床も土で家もそんなに立派ではない。だが、ルミナのような活気はあり人がちゃんと生きているというのを感じる。


「おぉ!ミリアじゃねーか!」


大柄な男が手を振って近づいてくる。


「おぉ、クサリャーじゃないか」


この男の名前はクサリャーと言うらしい。

この男は頭のタオルや手袋などから分かるように加工職をしている。今も何か鉄を焼いているようだ。


「お姉ちゃん!」


その声に下を見ると、女の子と男の子が居た。恐らく姉弟であろう。


「おぉーお前たち、元気してたかぁー?」


子どもが元気そうにいるとなんだか笑顔になってしまう。

ミリアは慕われているように見える。


「ミリアちゃんこの男の子はどなたなの?」


主婦層の方がミリアに問いかける。


「ほら挨拶して」


と、ミリアが烈をつつく。

そして烈は大きな声で話す。


「俺はレツ・スズキ!平等を目指すものだ。」


自信満々でそういう。

ミリアが笑いそうになる。

そして皆は笑う。


「ゲレソナ村へようこそ!よろしく!レツちゃん!」


皆が歓迎してくれた。

なんだか烈も嬉しくなる。


「ねぇ、レツ……?」


ミリアが何か言いたそうだ。


「良いよ行ってこい、俺は一人で行ける。お前と違って子どもじゃないからな。」


と、ミリアの気まずそうな顔を壊してやった。

ミリアが一瞬眉間を寄せたが、すぐに戻りありがとうと言って子どもとどこかへ行った。


烈はこの町の人たちと仲良くなって色々知識をつけなければならない。


「ミリアは、いい子だろ?」


クサリャーがそう言う。


「まぁ、子どもっぽくて騒がしいけど、それなりに助かってはいる。」


クサリャーが口を大きく開け笑う。


烈は、村を散策している。

そしたら突然誰かに声をかけられた。


「貴方がレツ・スズキさんですか?」


見るとご老人が居た。


「はい、私がレツ・スズキです。」


「そうですか、ミリアちゃんの……。あ、すみません。自己紹介がまだでしたね。私はこの村の村長のゲレナ・トーテムです。」


自己紹介が済んだところで本題に入る。


「良かったら少し上がりません?」


村長の家へ招待されてしまった。

断る理由もなく了承し、そのまま家に向かった。


村長の家といえど、他の家と大差なく佇んでいた。中に入ると綺麗に整えられており懐かしい香りを感じた。そう、線香の匂いだ。


「こちらに上がってくださいレツさん」


烈は、敬語にちょっと慣れていない。


「もうちょっと砕けた言葉でいいですよ。」


「じゃあレツくん。」


ゲレナ村長の導かれるがまま進むとゲストルームに案内された。椅子が2つ、ソファー1つ。いかにもである。ゲストルームにはマナーがあるだろうが、烈は知らない。ので適当に座ることに


「お茶を用意しますね。」


とゲレナ村長は席を立つ。

それは申し訳ないと思った。


「あ、お構いなく!!」


とその瞬間、お腹が鳴る。

烈は顔を赤く染める。


「ふふっ、お菓子も用意しますね。」


ゲレナ村長は微笑み、奥へと行ってしまった。

烈はその間、近くにあった本棚を見た。

おとぎ話と言った類もこの世界にはあるみたいだ。烈が手に取ったのは地理的状況に関する本。貧民街と邸宅街の違いについて触れているようだ。


「おじいちゃーん?」


と、玉を転がすような声が聞こえる。

ゆっくりと扉が開いた。


烈はその女の子と目が合う。その透き通る美しい翠眼と。

その子は驚いた拍子にドアの枠にゴツンと肩未満まで伸びた白緑色の髪を揺らしながら当たってしまった。


「痛たた……。」


烈は心配する。


「大丈夫ですか?」


そしたら


「いったいわね……!」


と、後頭部を抑えている。

そして烈を見たら


「あなた、誰!?不審者?」


と、突拍子もないことを言われた。


「いや、俺はゲレナ村長に、てか不審者じゃねぇ!」


と、言い合いをしている。

そしたら後ろから、音が聞こえる。


「何やってんだよ、リヤ。」


と、低い声が聞こえた。

扉から覗いたその顔は、またしても翠眼。今度は男の子だ。


「あぇ、お客さん?」


「俺はレツ・スズキです。ゲレナ村長に呼ばれて」


あぁなるほどと、手を打った。

どうやら状況を理解したようだ。


「リヤ、この人はお客さんだよ。失礼なこと言わないの。」


少し咎めたあと、奥からゲレナ村長が戻ってきた。

そして様子を見兼ねたのか、説明をしてくれた。



結果的に不審者じゃないことを証明できた。


「へぇー、ミリアの友達……。」


この子達は兄妹らしい。

面倒見の良いのが兄で、少し抜けている元気なのが妹


「私はリヤ、リヤ・トーテムよ。」


リヤが烈を睨みながら話している。

暗緑色の髪が目立つ兄が話し出す。


「俺はトル、トル・トーテムです。」


敬語で、世渡りが上手そうな人だ。

もちろん烈ももう一度


「俺はレツ・スズキ!」


しかし


「ねぇ、ミリアが帰ってきてるんでしょ?」


と、遮られてしまった。


「まぁな、俺たちがここに来たのはデザイアルへ行くためなんだよ。」


そしたらお茶を飲むゲレナ村長がむせる。


「なんですと!?」


「俺は平等を目指すためにシャルトを求めてる。」


平等を目指す旨を話した。


「おじいちゃん、シャルトって何?」


リヤが、シャルトについて聞く。


「シャルト……それを手に入れる争いの源、デザイアル。1000年前のデザイアルは世界が崩壊しかけたと言われている。」


烈もその話に興味が湧く。もしかしたらこの政治体制もシャルトによるものかもしれない。前のゼノの発言からもそう読み取れる。


「この不平等の社会もシャルトによってできたのか?」


烈は自分の確信を聞く。


「いや、それは分からない。輝石教会の教主様が何を願ったか、どんな試練内容だったかは分からないんだ。」


しかし確実な状況は取れなかった。

輝石教会教主、アガネ・ゼエル。謎が深い人物。

何を願ったのか、どんなものだったのか……。


「そんな危ないところになんで行くんです!」


トルがそんなことを言った。


「俺は平等を信じてるからな。」


端的に自分の信念を伝える。

ここから本題に入る。


「なぜ突然ここへいらっしゃったんですか?」


そう言われた。烈は予選であったこと、ゼノやガルドの強い力を見せられてから、強くなりたいと思い、ここで修練を積みに来たということを伝えた。


「ここで良かったら別にいいんですけど、あんまり鍛錬に向いていない気がするんですけど」


確かにそうだ。なにか憶測があってミリアはここに来た……とは考えにくい。

その瞬間、扉が開く、噂をすればなんとやらミリアがやってきた。


「やっほー!おじいちゃん……って、レツ!?」


なぜか烈が居て、ミリアは驚いた。

そしてリヤが突然立って、ミリアに抱きつく。


「ミリアー、久しぶりー!」


「おぉー!リヤじゃまいかぁー!」


再開……と言ったところだろうか。

その時ミリアがトルの方を見て何かを思い出したかのような態度を取る。


「おっ、トル!レツレツ!私がこの村が鍛錬に向いてるのはトルのおかげだよ!」


なんの事か烈には分からなかった。

トルは少し目を開いていた。

そしてミリアはとんでもないことを口走る。



「トルは、私が知る中で1番強い人だよ!」



衝撃的な発言。

意外過ぎた。ごく普通の村人かと思いきやゼノやガルド達に匹敵する力の持ち主が現れるとは……。


「ねぇねぇ、トル、レツと1回手合わせしてみてよ!」


とミリアが不可能な事を突きつける。


「いやいやいや、勝てるわけないだろ。」


烈はすぐさま否定する。だが葛藤した。


「いや、勝たなきゃダメなんだ。」


決心した。

いずれは戦うのは当然。乗り越えなければならない。

しかしトルが


「いや、戦いませんよ。」


と、予想外の反応に

烈は目を丸くした。


「俺は戦いは好きじゃないんですよ。人を傷つけるのはもう……。」


トルは俯く。過去に色々あったようだ。人を傷つける。相当優しい人間のように見える。

なら少し言葉を変えよう。


「これは戦いじゃない。俺に挫折を味合わせるだけの対話だ。証明させろ、俺に弱さを。」


そう言ったらトルは、顔を上げた。その顔は目にハイライトが灯っている。

そしてため息をついて


「……分かりましたよ。」


と、了承してくれた。

リヤは驚いていた。トルが戦いが嫌いなのは本当のことのようだ。


「ダメだよ!あなたねぇ、トルがなんで戦闘を好きじゃないか知ってるの!?あんなに人を━━」


「リヤ、いいんだ。」


何かを言いかけた時トルは語頭を強調した。まるで何かを隠すかのように。

その発言にリヤは唇を噛んだ。


「じゃあ、外に出ましょうレツさん。」


烈はなんだか歯がゆいようだ。


「敬語じゃなくていいよ、なんか気持ち悪いし、タメだろ?」


敬語を使われるのに全く慣れない。

特に同年代以上に。


「まぁ、そうで……そうだね。」


善処して、敬語を外すのに努力している。


そして烈達は外へ出た。そして適当な広い場所へ出る。夕焼け空の下、荒野に立つ2人、十分な距離は取れている。

ミリアとリヤとゲレナ村長は遠目で見ている。


ミリアは胡座をかきながら、2人の様子を見ている。


「おぉー、最強と最弱の戦いだなぁー」


ミリアの声は大きいので割と聞こえる。

当然烈にも聞こえていて


「誰が最弱じゃ!」


と、突っ込まれる。

リヤが冷静に考える。疑問しかないのだ。


「なんでなの?初対面だとは言えどミリアに強いと言われたんだから勝てる算段が見えるわけないじゃないの……。どうしてそんなに自信満々な顔をしているの?」


烈の自信が全くほど理解ができない。果てしなく力が強いのか?奇策を効かせられるほどの頭が冴えてるのか?相手を疲労させるほど戦える持久力はあるのか?


ミリアがリヤを見て笑いかける。


「それが烈だよ!力は弱いけど思想(こころ)だけは誰にも負けないんだから!」


リヤは呆気に取られていた。


風が吹き通る。

烈が肩を回して、準備体操をする。

トルは、正装に着替えていた。黒のシャツにフチが緑のフロックコートを着ている。


誰かに似ている。


……ルナだ。ルナと同じ雰囲気を感じる。

まぁいい。とにかく烈は、壁を再確認しなければならない。目標、超えなければならない。


「手加減なしで頼むぜ。」


と、挑発しておく。


「まぁ、できる限り」


舐められてはいるようだ。

烈は本気で望むつもりだ。だが烈は平等の天秤を封じる。もし勝つ事が出来ても平等の天秤という不平等に頼った結果となる。成長には繋がらないし、


それは俺の平等()をねじ曲げる。


「それじゃあ行くよ。レツ。」


その掛け声とともに構えをする。そして瞳が光る。


烈は戦慄する。トルから湧き出る圧倒的な気迫に。

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