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第10話 共鳴する思想

ルミナリスの貧民街を抜け、烈、ミリア、ルナ、セレナ、リズの五人は荒野の街道を進んでいた。神願の試練「デザイアル」の参加資格を手にするため、

次の目的地はついに、デザイアルの予選会場、セントラル・ルミナ。


神域の聖峰へ続く道は遠く、大いなる輝石「シャルト」を求める旅は険しい。


日差しが眩しすぎる。天気に恵まれている。これも神の仕業なのかと疑心暗鬼となってしまう。


「よっしゃーさっさと行くぜー!」


烈はテンションが上がっている。

着く前にバテないといいとセレナは思った。


「うんうん!その意気だよ!」


ミリアが同調。


リズが髪をかき上げ、冷たく言う。


「予選なんて、雑魚の掃除だよ~。さっさと終わらせたいかな~。」


しばらく歩いてみると遠くに街が見える。その街はとても美しく、豪華に包まれている。


「んー、あれはセントラル・ルミナだよ〜。」


やはりあれがセントラル・ルミナ。貧民街と対比をなす存在。あの中央に王がおり、行政をしている。


セントラル・ルミナを遠目で見た。

囂しくそして転生前にいた東京のように眩く光っている。


まだ時間もあるし、進行方向にセントラル・ルミナがあるので少し寄ってみることにした。


そこで驚いたのは交通手段があるということ。だが、動力や交通の革命は起こっていない。

車や電車が通っていないのだ。人はみな、馬を使い移動をしている。


しかし、面白い移動方法もあるようだ。輝石による移動だ。今まで寄った街をちらっと見ると輝石を販売しているところがある。


恐らく移動系の輝石があるのだろう。

詳しくは知らないが。いやリズが居る。聞いてみよう。烈は尋ねる。


「ん?あるんだよ〜。」


状況を察して尋ねる前に教えてくれた。

情報屋なだけある…

烈も輝石を購入すれば、戦闘の幅がより広がるかもしれないと思いながら、街の中を散策する。


段々歩くとやはり目につくのはすごく大きい城。

ここの頂上で政治は行われてる。


◇◇◇


少しぐるっと探索した後

流石に予選会場へと急ぐ、


と思ったがミリアが


「なんだあれー!ねぇねぇレツー行ってみよーよぉ」


と、子どものように駄々をこねる。

烈はもちろんダメだと答える。


「ちょっと遅刻気味なんだ。早く行かないと予選の受付に間に合わないかもしれないんだ。」


その場しのぎの嘘をつく。しかしミリアがぷんぷんと怒っている。

烈は呆れて


「はぁー、予選が終わったら行ってやるよ」


そういうとミリアは目を輝かせるんるんと予選へ向かいだした。


「なにやってるのみんな!さっさと行かないと予選に間に合わないよーー!!!」


現金なヤツだ。

セレナがあははと笑っている。


荒野の先に、予選会場が見えた。巨大な闘技場、蒸気管が煙を吐き、輝石の光がきらめく。1000人の参加者から選ばれた者だけがデザイアルに進める。


予選会場へ入ると、ルール表が掲示されていた。

それをじーっくりと舐め回すように読むと、あることに気づく。


「なん……だと」


当日の発表されたルール、その内容は、


「まじか、予選は一対一形式かよ。」


予選は一対一のみで全てが決まるものだった

予想外な事態にミリアが目を輝かせる。


「一対一?とりあえず1戦勝てばデザイアル?余裕っしょ!」


烈は鼻で笑った。


「甘く見んなよ。強いやつがわんさかいるんだ。んまぁ、平等な社会を目指すなら、こんな試練くらい勝ってみせるぜ。」


だが、そうなるとやはり杞憂なのは烈の戦い。

烈は平等の天秤の効果を受けない。そうなると一対一では、不利の極みだ。勝てるか分からない。


ふと、リズの言葉が蘇る。


***


「応用だよ〜。自分でも勝てるように工夫をするかな〜。平等の天秤を使い、相手を弱体化させた時できることだよ〜。それはまともな戦いだよ〜。さっきの戦いより、君は基礎的な体力を持ち合わせていないことがわかったかな〜」


***


烈は拳を握る。

そうなると、ここは頭脳戦だ。どれほど知恵を絞れるかが勝利の鍵だ。


ルールをより細かく説明しておくと

基本一対一の1発試合。


この試合を勝ち抜けば、本戦へ。

負ければそれまでとなる。


特設ルールとして、負けた者の中から乱闘形式で敗者全員で戦い勝ち残った1人のみ本戦へ出場権を得る。


受付の周りを見てみると、様々な奴がいる。


明らかに強そうなやつと、意外と細身だが、自信しかなさそうな顔。ボソボソと喋っていて不気味な奴もいる。


そいつらの中から俺は戦うんだな。

平等を実現するために、自分の思想を貫くためにこの戦いに勝つ。と、烈は拳を手のひらに跡が残るぐらいに握った。


そして、観客席へと足を運んでみた。


闘技場は喧騒に包まれていた。傭兵、冒険者、貴族の戦士。観客席には様々の教会の司祭や貴族が並ぶ。恐らくどこかに、王はいるかもしれない。暗殺阻止のためにあえて目立たないようにしているのだろう。


「レディースアンドジェントルメン!!」


高らかな声が闘技場の中心から聞こえてきた。

見ると、灰色のベストを着た蝶ネクタイの中年が居た。


「ミナサーン!!予選を勝ち抜いてデザイアル勝ち抜いてくだサーイ!!!」


どうやらカタコトのようで日本語(日本語と呼んで良いのだろうか)に慣れていないようだ。


この後予定が狂っていなければ試合の抽選だ。

受付での抽選の為に下に降りる。


予選では抽選で対戦相手が決まる。


この試合は20日間行われる。

そう考えると規模がとてつもなくでかいのだ。


烈は運が良いのか悪いのか初戦だった。


そして運命が決まるが如く、ここで誰と戦うかによって、勝敗は決まる。


そして選ばれたのは、


青い中途半端のオールバック。しかしセットというセットをしてきていないのか若干前髪が戻っている。金色の瞳の少年。革鎧に普通の剣よりも一回り二回りも違う大剣を背負う、厳つい雰囲気だった。


「へえ、こんな弱そうなやつが相手か。デザイアルへ行けたなこりゃあ」


烈が言い返す。


「なぁんだ?、見た目で判断すんなよ。俺はレツ・スズキ。お前、誰だ?」


男が大剣を地面に突き、吼えた。


「ライララ・ソウジャー。シャルトでこの腐った世界をぶっ壊す男だ。」


その思想に

烈が目を細める。


「世界を壊す? 何だ、その物騒な話は?」


ライララの目が鋭くなる。


「いいか?この世は不平等が普通なんだ。ならよ、


俺はシャルトを使いゼロから開闢する。」


烈の胸がざわついた。混沌としている憎悪。しかしこいつは


平等を目指している……?


だが、ライララの過激な思想は烈と完全には相容れない。


「滅ぼす? ふざけんな。世界を変えるなら、誰もが輝けるようにするんだよ!」


ライララが嘲笑する。


「偽善者め。この世界での平等なんて絵空事だ。いつ死にたくなかったら、棄権しろ!」


平等を諦めている……。


「いいや、そんなことは無い。平等を叶うことさえ出来れば、人は心には定着するはずだ!思いやりの心が、誰の心にも!!!」


議論が爆発しそうな瞬間、

放送が流れる。


「レツ・スズキ、ライララ・ソウジャーは、ステージへ集合してください。」


そして舌打ちをして、ライララは踵を返した。


ミリアは、烈を心配する。


「だ、大丈夫?レツ、心配すんなって、勝てるよきっと!」


烈の心に恐怖はなかった。

今ある心は、ライララの間違った平等を正す。本当の平等を教え込む。ただそれだけだった。

そして、その感情のまま観客席を後にする。


「みんな頑張ってくる。」


みんなはそんな烈の背中を見る。

応援してくれている仲間のために烈は、勝つ。


烈は、階段を叩き付けるように降りていく。


そして闘技場にて、2人は揃う。


「棄権しても良かったんだぜ?」


「何言ってんだ。俺の平等はここで終わらねぇよ。」


不穏な空気。辺りは始まってもいないのに騒がしい。

しかし2人には観客の声が聞こえない。


互いが互いの正しさを信じた戦い。そして思想(それ)を持ち込むことができる権利を巡る戦い。


ために溜めた結果

試合のゴングが鳴る。


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