■揺れる想い
今、湖畔の宿に宿泊している。
私はエレナ。伯爵領代官の兄妹、リュートとリナの旅仲間ってところね。
リナが湖畔の散歩に出てる間に、私は料理を習う。
宿の女将さんに、郷土料理を教えてもらう約束をしている。
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まずはソースから。小鍋に白ワイン、そこに少しのお酢。
今回は、そこにタマネギとニンニクのみじん切り。
で、弱火でじっくり煮詰める。鍋の半分ぐらいまで煮詰める。
煮詰まったところで、タマネギとニンニクを取り出して絞る。
絞ると旨味、風味がぐーっと引き立つ。
プロは、最後の一滴まで絞り出すんだって。
再度火をつけ、弱火のまま固形のバターを多めに投入。このまましっかり混ぜ込む。
まぜまぜまぜ。ふー。とろりとした、濃厚なソースが出来上がる。
ここで味見。塩加減をみておく。ちょっと塩が足りないかな?胡椒もいれよう。
さらにひと工夫。トマトの角切り、パセリのみじん切り。レモンの皮は隠し味。
豪華になった。ん。完璧。
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今回の主役は魚。使う魚は身に水気が多いらしい。
事前に塩を振って、水分を出す。しっかり拭き取ったら、もう一度塩で味付け。
ちょっと濃いめがいいかな?
そこに小麦粉をしっかりと、まんべんなく振りかける。
この粉がカリカリに香ばしく焼けて、美味しくなる。
鍋に植物油を少量。身が浸る分だけ。
鍋が冷たい状態で身を置いて、ゆっくり、じっくり火を通す。カリカリになったかな?
焼き目を両面、全体につけたら火を止める。今度はオーブンね。
身をふたつに切り分け、温度を上げたオーブンに優しく入れる。
オーブンって小窓から中をどうしても見ちゃうよね。
オーブンに入れるのは2回。2回目は向きを変えて火を通す。
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ソースを掛けたら完成よ。
というところで、香りを嗅ぎつけたのか、リュートと私の兄キースが駆け込んできた。
「あれ?リナは?」
まだ帰ってきてないらしい。でも、熱々が食べたいのよね、と待たずに食べようとするとリナが帰ってきた。
「ただいまー。あ、なに?できたの?たべたーい。」
ジュルリ。え?リナのよだれを啜る音?
まあ、リナったら、お行儀が悪い。立ったままでひとくちパクリって。
「美味しい!塩加減最高だわ」
そりゃ、そうよ。私が丹精込めて作ったんだもの。
「ちょっと!ミーノに見せられないことしないで」
つい、声を荒らげてしまった。
その声でお昼寝から起きたミーノを抱き上げ、シンに料理を運んでもらう。
「さあ、みんな。いただきましょう」
リナは色気より食い気。いつもどおりすぎて感心した。
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食べ終わったころ、リナがいつもの体勢。歌う体勢に入ってた。
え?なんで?
驚く間もなく、彼女の歌が食堂に、宿に、湖畔に響く。
毎回違う曲。言葉は一切わからない。でも、いつも強烈に胸を打つ。
まさに女神。歌ってる間は、神々しくてまともに見れない。
もちろん、光ってるからだけど。
リナの気持ち、思いを体じゅうに感じる。
いつまでも一緒にいたい。そんな気持ち。すごく共感できる。
ずっと、ずうっと側にいられたら。
運命ってあるのかな?
ふと、リュートの顔を見てしまう。リュートは今どんな気持ちだろう。
私を受け止めてくれるかな?
彼への思いは昔から。リュートを例えるなら空。真っ青の、澄んだ空。
光り終わった後も、リュートの顔を見ていた。




