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不死の軍団  作者: svn
14/18

■DOWN TOWN

黄昏。華やかに彩る色が目映い。何色と表現したらいいんだろう。

夕食を楽しもうと街を探検する。風がフッと吹き抜けると、香りを運んでくる。

どこもかしこも、お芋。お芋。お芋。お芋の香ばしさが漂う。

看板には「名物」「本場」「元祖」。ありとあらゆる宣伝文句が軒を連ねる。

こういう時は私の勘が冴え渡るのよ。私はリナ。兄バースに会いに来たけど、またまた寄り道。

賑やかな街並みに、次兄のリュートはもちろん、幼馴染のキースまで浮足立っている。

バターの濃厚で芳醇な香りに誘われ、つい店内を覗く。

大盛況なお店、の隣。お世辞にも賑わってるとは言えないそのお店に足を踏み入れる。


***

「何人さんだい?」痩せこけた頬に無精髭。エプロンは煤汚れが目立つ。店主さんのようだ。

席に案内してもらうと、注文前だと言うのに、もう料理が出てきた。

ベイクドポテト。これは美味いやつだ!

あっつあつ、ホクホク。香り立つバター。クーッと鼻から吸い込むと食欲が前に出る。

圧倒的な量だけど、案外あっさり食べられる。

ベーコンの塩味も、サワークリームの酸味もあって、飽きずに完食よ。

バースお兄ちゃんに会えない苛立ち。でも、そんなこと考えてる場合じゃない。


***

「こんなに食べられるかしら」キースの妹、エレナの声。

もう誰かが次を注文してくれてたみたい。出てきたのはボリュームたっぷりのステーキ。

切り分けるのも一苦労の分厚さだったけど、豪快にナイフを入れると案外簡単に切れた。

漏れ出る肉汁は、ベイクドポテトもどこへやら。私を夢中にさせた。

パク。お肉を頬張る。噛んでも噛んでも溢れ出る旨味。「うんまい!」

さぁもうひとくち、というところで、「乗せてみな」と店主さんの声。

どうやら肉にマッシュポテトを乗せて食べろっていうことらしい。

!!!!!

お肉だけでも美味しかったのに。なんてことなの。これを、「感動」と言うのね。

肉の野性的な味わい。それをマッシュポテトの理性が受け止める。

これならいくらでも食べられちゃう!なんて思っていると、店主さんは「秘密兵器」と渡してくれた謎の小皿。

恐る恐る、肉とポテトのうえに乗せる。

!!!!!!!!!!

「私、これ好き!!」つい声をあげた。

振り返ると店主さんはニンマリ。してやられた。


***

全員、ウキウキ。

会話も忘れて食事をするなんて久しぶりね。

食後も皆で余韻に浸る。

私は、ついつい食べすぎてしまったお腹をさすりながら、あの歌を思い出した。

この世界の言葉ではない、知らないはずのあの歌。

女性の歌う、あの歌。

お休み前の下町の夜。にぎやかな夜に出かけたくなる、そんな歌。

店主さんへの感謝の気持ちで、つい歌い始めて、私の体から光が溢れる。

なにごとか、と厨房から出てきた店主さんを、感謝の光で包む。

「お嬢様、お料理の感想は、光ではなく言葉でお願いします。」

シンの呆れ声を聞き流しながら、私は光り続けたのだった。


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