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調理と言っても、ミキサーにバジルペーストの材料を入れ混ぜるのと、
パスタを茹でて、それらを合わせるという単純作業。
私と先生は、分担し私はミキサー係、先生はパスタのほうを茹でる事になった。
レシピは、最初から配られていて、それを見ながらミキサーに材料を入れて・・・・
あっと言う間に終わり残り時間結構暇だった。
それは、先生も同じだったみたいで、先生はお鍋を見ながら本を読んでいた。
菫たちの方を見てみると、私たちと同じ分担方法をとっていて暇を持て余していた。
唯一賑やかなグループが
草香&加藤君グループだった。
どうやら、草香は料理が苦手らしい。
そういえば、加藤君も家では料理しないし・・・(汗)
そんなことを思いながら見ていると、お鍋から一本の束になったパスタが出てきた。
(手助け必要かな?)
(んじゃ、私は、草香の方を手助けするわ(笑))
(では、加藤君の方を・・・)
((よし!))
そんな事を菫と目で会話し、
「先生、チョット草香たち指導してきますんで
後お願いしても良いですか?」
と先生に声掛けると、
「うん、よろしくね~♪」
と、チョット嬉しそうに言われた。
どうやら先生も気づいていて、けど指導が面倒くさいらしい。
私は、加藤君を助けに向かった。
「ココで、みんな固まってても邪魔だからバジルソース作ろう」
そう言って、レシピを渡した。
「これの通り、ミキサーに材料を入れてね。」
加藤君は、言われた通り材料を入れていきスイッチを押した。
そして完成~♪
「あと、何すんの?」
「パスタ茹であがるまで待ってるだけだよ。」
それを聞くと加藤君は、カバンから漫画を取り出し読み始めた。
本を読んでいる先生。
漫画を読んでいる加藤君。
なんとなく似ていて、やっぱ兄弟だな~なんて思った。
やっとのことで、草香チームも完成!
みんなそろって一か所に集まり試食タイム♪
先生の茹でたパスタは、微妙なゆで加減でおいしかった♪
そのあと、いつもの様に雑談が始まった。
今日の話題は、料理の出来ない男子について。つまり加藤君のことだ。
「やっぱ、今時は料理ぐらい普通にできないとね~」
と菫。
「う~ん私苦手だから、料理できる人の方がいいな。」
と草香。
めちゃくちゃ加藤君に不利な話題でした(笑)
ちなみに本人は、「男子厨房に入らずって言葉しらねーのか!」
とちょっと切れてました。
「「「美紀は」」」と一斉に聞かれ、
「どおデモいいです。」
と答えておいた。
近頃、部活に入ったため、バイトの入り時間を遅くしてもらい、
その分、曜日を増やしてもらった。(6:30~)
こちらの都合で申し訳なかったが、「いいから、気にしないでね~♪」という店長の奥さんに甘えてしまった。
そして、今日もバイトの日。
バイト先へ
私の仕事は接客だった。
お店に着くと、さっそく仕事開始。
常連さんには、「今日は焼き上がりにあわせてきちゃった☆」というおしゃべり好きのおばちゃんや、「今日もバイトかい?がんばってるね~」とほめてくれるおじいちゃん
他にも、くるたびに声をかけてくれるお客さんたちがいて、楽しかった。
夜暗くなってきたころ、私と同じ学校の制服を着た男の子が店の中に入ってきた。
その子はパンをいくつかトレーに乗せ、レジに来た。
「ココでバイトしてるの?名前なんて言うの?」
はい?
「えっと・・・」
「覚えて無いかな?廊下でぶつけちゃって。」
廊下?ぶつけた?・・・・。
・・・・・・・・あぁ、思い出した。
「あの後、第二被害出ませんでした?」
「えっ、何?第二被害って?」
「だから、私の二の舞になった人出してませんよね?って」
「あぁ、うん、だいじょうぶだよ。面白い事言うね(笑)」
「いや、あれだけスピード出せば心配にもなるでしょ?」
「そんなに出てた?」
「出てました。廊下走ったらイケないんですよ!」
「ゴメン今度から気をつけるよ。肩平気?」
「大丈夫です。」
「よかった。」
「もしよかったら、名前教えて。」
「上野 美紀です。」
「美紀ちゃんね」
「お会計よろしいですか?」
「あっ、仕事中にごめんね。」
「いえ」
お会計を済まし、廊下でぶつかった男の子は帰って行った。
バイトから帰り、夕食は加藤君とおじさんの3人だった。
お風呂にも入ったし、さて寝ようかな?と思った時宿題をやっていなかったを
思い出し、机に向かった。しかも、よりにもよって私の苦手の数学・・・。
・・・・教科書・ノートを開き早?時間・・・・。
やっと、終わった。今何時?かなりたった気がする。
とりあえず、水でも飲んでこよう。
そう思い部屋から、キッチンへ向かった。
夜中だから当たり前なんだけど、真っ暗・・・。
キッチンへ行くと、人の気配(汗)
「誰?」
声掛けても返事無し。
とりあえず明りをつけようとスイッチを探しスイッチをONに!
そして居たのは、座り込んだ顔の真っ赤な先生。
「先生!先生!風邪ひきますよ!」
「う・・・う~~ん」
「水飲みますか?」
「う~~ん」
コップに水を入れ先生に渡すと、先生はそれを一気飲み。
「大丈夫ですか?」
そう言って先生からコップをうけ取り、また水を入れコップを渡すと
先生は、それをまた飲んだ。
「先生、ほら部屋で休んだ方がいいですよ。」
そう言って立たせようと、先生の右腕を両手で引っ張った。
すると、逆に引き寄せられ抱きしめられてしまった。
焦った私は、「先生、先生、起きてくださ~~~い(泣)」
と、起してみたものの反応なし。
動いたり、体に力を入れてみたものの駄目だった。
男の人の力というのは、格好強いらしい・・・。
改めて思ったのと同時に、朝までこのままなの?っていう疑問?が
浮かんできた。